ページID:57271更新日:2023年2月8日
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山梨県消防学校は平成23年度から消防職員を対象に、高気密における熱環境下での火災性状等に関する知識及び高度な注水
技術を習得させることを目的に濃煙熱気実火災研修を実施しています。
このページでは、濃煙熱気実火災研修の概要について紹介します。
注水訓練 密閉型訓練
火災現場と同様の熱、煙を体験させるとともに、火災性状等に関する知識及び高い注水技術を身につけさせることを目的とします。
1 熱環境下における危険状況把握能力の向上とフラッシュオーバーの予防策の修得
コンテナ内(密閉室内)で起きる火災性状の様々な段階、フラッシュオーバーまでの前兆現象を観察・体験することにより、火災の危険性を認識 し、予防策をとることができる能力を向上させること。
2 フラッシュオーバーを遅らせる活動技術の修得
高度な注水技術を用いることにより、フラッシュオーバーを回避又はその発生を遅延させ、危険な環境下において隊員の安全を確保し消防活動が実施できる能力を向上させること。
コンテナ内部で木製パレットを燃焼させることにより、熱気や煙を発生させ火災性状を体験的に学ぶことができる訓練設備です。
平成22年度に初代設備を導入、平成27年度及び令和元年度にコンテナを更新しています。
火災濃煙熱気消防訓練設備の全景
実技訓練の前には、コンテナ内部において火災性状の説明を行います。
実技訓練の説明 火災性状の説明
1 熱環境測定のための注水訓練
この注水技術は、環境測定を目的として実施するものです。
注水により水滴が落ちてこなければ、天井は100℃以上となっているのでフラッシュオーバーの危険性があると認識します。
注水時間は、1秒程度とします。多くの水を出すと熱バランスを崩し、煙や熱が降下してくるので注意が必要です。
熱環境測定のための注水(指導者の実演)
※この注水技術は、フラッシュオーバーの危険性がある環境において、密閉空間上部の温度を推し量るための1つの方法であり、現行の消防戦術を変更するものではありません。
2 爆発的燃焼を抑制するための冷却注水訓練
この注水技術の名称は、「攻撃的冷却注水」といいます。
フラッシュオーバーの発生を遅らせるために行う高温ガスへの冷却注水です。
研修においては、壁と天井のつなぎ目あたりに直径30cm位の広さで注水します。
長い時間の放水は、サーマル・レイヤリング(熱成層)を崩し、隊員が熱傷を負う危険性があるので行ってはいけません。
攻撃的冷却注水(指導者の実演)
※この注水技術は、フラッシュオーバーを回避又はその発生を遅延させ、危険な環境下において隊員が避難できる時間をつくるための1つの方法であり、現行の消防戦術を変更するものではありません。
1 密閉型訓練
初期から最盛期になるまでの火災性状を観察し、熱環境の時間的変化を体験する訓練です。
フラッシュオーバー発生前の現象を観察することが可能です。
※燃焼させる木材の量、天候等の影響により現象の発生の状況は異なります。
進入前の様子 コンテナ内の状況
2 開放型訓練
熱環境下における高度な放水技術の修得のための訓練です。
進入前の温度表示 開放型訓練の進入
コンテナ内の状況