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ページID:103551更新日:2023年3月13日
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山梨県では、令和元年度より継続して河川マイクロプラスチック調査を実施している。令和3年度は、富士川水系のマイクロプラスチックの実態を把握するため、マイクロプラスチック調査を実施した。
また、令和3年度はマイクロプラスチックの発生要因となる河川散乱ごみの実態を把握するため、無人航空機(ドローン)を活用した空撮調査を実施した。
桜橋(荒川上流)、二川橋(荒川下流)、桃林橋(笛吹川)、濁川橋(濁川)、大津西橋(鎌田川)、浅原橋(釜無川)、富士橋(富士川)、南部橋(富士川)の計8地点
河川マイクロプラスチック調査ガイドライン(令和3年6月環境省)1に準拠して試料を採取し、各調査地点におけるマイクロプラスチックの個数密度(個/m3)*と推定質量密度(μg/m3)を算出した。調査回数は各地点1回とした。
個数密度:河川水域内おける1立方メートル(m3)あたりのマイクロプラスチックの個数で、地点ごとの比較に用いられる。
また、無人航空機(ドローン)を活用し、笛吹川の豊積橋付近と富士川の富士川大橋付近の人が立ち入れない河川岸を、合わせて約3kmの空撮を行った。空撮した映像を分析することで、河川内に潜在的に存在するマイクロプラスチックの発生要因となる河川散乱プラスチックごみの実態を把握した。
本調査のマイクロプラスチックの総計と採取時に測定したろ水量から、個数密度(個/m3)を算出した。大津西橋(鎌田川)が5.66個/m3と最も個数密度が大きく、南部橋(富士川)が0.15個/m3と最も小さかった。
一方で、本調査を実施した地点の中で最下流部である、南部橋では最もマイクロプラスチック個数密度が小さく、本調査を実施した地点の中で比較的上流域である大津西橋や濁川橋でマイクロプラスチック個数密度の値が大きくなっている。
撮影した動画から確認された河川ごみの分布を、地図上に赤色でマッピングした。その結果、河川ごみは調査地点全体の半分程度の場所で確認でき、主に川岸に沿って広く分布していた。
撮影された動画から、プラスチック系のごみが多いと推測され、ペットボトルやビニール袋、ビニールシートと思われるごみなどが確認された。また、各調査地点で確認されたごみの個数及び、飛行距離から算出した100メートルあたりの平均ごみ数は、下記のとおりである。
調査地点
|
ごみの個数 (個) |
飛行距離 (m) |
平均ごみ数 (個/100m) |
豊積橋付近 |
641 |
1340.85 |
47.81 |
富士川大橋付近 |
960 |
1806.61 |
53.14 |
今回の調査で、山梨県内の河川マイクロプラスチック調査は3年目となり、継続的にデータが蓄積され、富士川水系の河川の傾向が徐々に明らかとなってきた。調査結果の概要は次のとおりである。
多くの人が生活している市街地付近を流れる河川において、マイクロプラスチックの個数密度が大きくなる傾向が見られた。
南部橋を除くと、上流から下流にいくに従い、マイクロプラスチックの個数密度が大きくなる傾向が見られた。
山梨県と静岡県の県境である南部橋では、上流と比べマイクロプラスチックの個数密度が著しく小さくなっていたが、その要因は不明である。
しかし、桃林橋の調査結果のように、年度ごとの調査結果に乖離が見られる地点もあることや、調査地点のうち、最下流部の南部橋のマイクロプラスチック個数密度が最も小さい値となるなど、継続して検証すべき事項もある。今後、継続したデータの蓄積により、県内のマイクロプラスチックの動向をさらに見極める必要がある。