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ページID:23384更新日:2023年5月15日
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山梨県では、広大な山梨県有林において県民ニーズを反映した森林管理を進めるため、「県有林管理計画」を樹立し、この計画に基づいた管理を行っています。
県有林管理計画の基本方針は、次の2点です。
この基本方針を念頭に、県有林課経営担当では、次の2つの事業を大きな柱とした森林経営業務の執行総括をしています。これらの事業は、当県内の4地域(中北、峡東、峡南、富士・東部)に配置された林務環境事務所においてそれぞれ実施しています。
森林が有する国土保全、水源かん養、地球温暖化の防止、自然環境の保全等、多面的な機能の維持増進ならびに県有林から産出される木材資源の質的充実を図るため、森林整備を計画的に推進しています。
循環型社会構築への寄与を念頭に置きながら、環境負荷が少なく再生産可能な資源である木材の計画的・持続的な供給に取り組んでいます。
さらに今後、山梨県有林では、森林の整備や木材搬出に貢献する作業用路網の整備を一層推進することにより、上の2大事業の相乗効果を高め、森林経営のさらなる効率化も図っていきます。
新聞、段ボール、ティッシュペーパー、家の柱や家具、ベンチ、薪、木炭・・・
木材は、私たちの生活に欠かせない身近な物の原材料として様々に利用されています。
たとえば野菜を畑で育てることと同じように、木材は森で育てます。
そして山梨県有林材を育てている森は山梨県有林であり、その面積は県土のじつに3割を占めています。
県有林課経営担当では、この広大な山梨県有林から生まれた木材を、自然環境の保全に配慮しつつ、持続・再生産可能な資源として管理し、活用しています。
ここでは県有林材が生産されるまでの流れを簡単にご紹介します。
木材の収穫が完了した土地で再び森を作ります。
木を植える前に地面を片づけて、植える作業をやりやすくします。
野菜作りにたとえると、畑の土を耕し、畝(うね)を立てる作業がこれに相当するでしょう。
じごしらえ完了後の様子
苗木を植える作業です。
野菜作りにおける苗植えと同様な作業です。
植付作業の様子
苗木が順調に育つように世話をします。
野菜作りにたとえると、除草作業がこれに相当するでしょう。
育てたい造林木の成育の妨げとなる植物を取り除き、造林木を健全ですみやかに成長させるために最低限必要となる作業です。
小さな苗木を成長の早い雑草木から守ります。
刈り払い機による下刈作業の様子
木に巻き付いて枯らすツルをやっつけます。
ツルによる造林木の幹折れや幹曲がりを防ぐことが目的です。
ナタによるつる切り作業の様子
育てたい木の林に割り込んできた別の木を取り除きます。
育てたい造林木の成育の妨げとなる他の樹木を除く作業です。ただし、造林木以外でもケヤキやクリなど有用な広葉樹はなるべく残すようにしています。
除伐作業の様子
成長を支え合ってきた仲間達。間伐された木は残された木にタスキを渡します。
野菜作りにたとえると、間引き作業がこれに相当するでしょう。
本数が多すぎると、もやしのように細い木になってしまいますが、間伐をして本数を上手く調整すれば一本一本が太くなり、森としても健全で、将来的に木材としての価値も高まります。
一方、伐採された間伐木も太さや長さによって様々に利用されています。間伐は、林の密度や構造を調整する保育技術ですが、条件次第では収穫も兼ねるという奥の深い作業でもあります。
チェーンソーによる伐倒作業の様子
伸びすぎた枝をカットしてさっぱりさせます。
野菜作りにたとえると、整枝や剪定の作業がイメージとして相当するでしょうか。
木を製材して柱材にしたとき、太い枝のあった跡は節(ふし)となって表れます。
節のない木材は一般的に市場での価値が高いことから、優良材生産を目的とする場合に行います。
枝打ち作業の様子
シカやクマによる森林被害が深刻になっています。
シカやクマなどから葉や樹皮の食害、剥皮害を受けるおそれのある林において、忌避剤や剥皮防止帯などの防除策を重点的に行っています。
忌避剤散布の様子
剥皮防止帯設置の様子
山火事から木を守ります。
防火線は、尾根や民有林との境などに設けた無立木地帯です。これにより、森林火災の勢いを抑え、延焼を食い止めます。
防火線の様子
森林を守り育て、さらに育った木を市場へ運び出すための作業道路をつくります。
作業現場近くに車道を開設することで、造林、保育といった森林整備や木材の収穫搬出作業の効率化につながります。
作業路の様子
成長した立木を商品として売り出します。
立木を伐り倒します。
チェーンソーを使い、品物となる木を傷つけないように、そして次に紹介する集材や造材の作業がやりやすいように、立木を一本ずつ根元から伐り倒します。木を伐るタイミング(林齢)は、木の種類や現場状況に応じて決めています。
伐倒作業の様子
丸太を1箇所に集めます。
林地のあちこちで伐倒された木を、架線(ワイヤーロープ)などによって林道端などに集める作業です。木材の搬出に必要なコストのうち、この集材作業にかかる経費が最も大きな部分を占めています。なかでも手間のかかる架線を使った集材過程は一般的にコストも高くなるため、伐採林地の近くに作業路網を整備することで、コスト縮減につながります。
架線集材作業の様子
タワーヤーダによる集材の様子
林道脇へ集材された様子
適当な長さの丸太に切りそろえます。
チェーンソーを使って、伐倒した木の枝と梢を切り落とす「枝払い」と、決められた長さの丸太を作る「玉切り」をする作業です。丸太の太さや長さによって市場での価値が大きく異なることから、市場ニーズを的確に把握して、丸太の長さを決定します。
玉切り作業の様子
市場や製材工場などへ売り出します。
伐倒、造材された丸太をトラックに積み込み、林道などを通って運搬し、木材市場などで丸太を降ろすまでの出荷作業です。
運材トラックへの積み込み作業の様子
木材販売で得た収益は、造林費用などに充当します。
県民の財産である県有林材の販売で得た収益は、県の財産収入として再び造林費用等に還元します。また、山梨県有林は県内最大手の木材供給者という立場でもあり、安定的に木材を供給することにより、県内の林産業の振興と木材流通の活性化に寄与しています。
木材市場の様子
山梨県森林組合連合会(http://yskr.jp/)
事務所山梨県中央市極楽寺1214
TEL055-273-0511FAX055-273-0549
南部町森林組合
事務所山梨県南巨摩郡南部町内船7754-1
TEL0556-64-2064FAX0556-64-2352
共販所山梨県南巨摩郡南部町南部8013-1
TEL0556-64-2045
甲斐東部材産地形成事業協同組合
事務所山梨県大月市初狩中初狩3274-2
TEL0554-25-3111
一年とかからず収穫できる野菜もありますが、木材は、背丈ほどもない苗木を植えてから、数十年かけて一本の大木に育てたのち、ようやく収穫が可能となります。林業は、まさに一世一代の大事業といっても過言ではないかもしれません。
そして、その現場における作業は、山地における厳しい自然条件の中での仕事を請け負った多くの林業事業体の皆さんの汗によって成し遂げられてきたものでもあります。
県民から様々な役割が期待される県有林をフィールドとしたこの森林経営事業を、先人から現在の私たち、そして未来の山仕事人へと、これからも世代を越えて絶え間なく引き継いでいきます。