高速道路の主な役割、整備効果、ストック効果
高速道路の主な役割
高速道路は、道路の持つ役割の中で、特に、人や物の移動において大きな効果をもたらすものです。そして、このような直接的な効果ばかりでなく、地域の活性化、生活環境の向上など間接的な効果も極めて大きなものがあります。
特に、少子・高齢化社会を迎えている我が国では、高齢者の救急件数が増加していて、素早い搬送と治療が要求されます。このような救急医療業務において、高速道路は命を支える道路として貢献しています。
また、地震や台風・水害などの大きな被害にあった時、ライフラインが機能停止になると悲惨な状況になります。このような緊急時には、遮断された道路の代替機能を果たし、迅速な復旧活動の柱となり、暮らしの安全を守る道路となっています。
高速道路の整備効果
本県における高速道路の整備効果
昭和57年11月10日中央自動車道が全線供用されて以来、この高速道路は本県に非常に大きな恩恵を与えてきました。特に、首都圏との時間短縮による効果は大きく、モータリゼーションの発達とともに、本県の産業・経済・文化等の向上に大きく寄与しています。
また、中部横断自動車道の実現により、東名高速、新東名高速、中央道、上信越道、及び北陸の各高速道路が連結され、太平洋と日本海が4時間で結ばれます。さらに関越道を介して北関東道と一体的な機能を果たすことにより、北関東3県及び甲信静3県を結ぶ「関東大環状ネットワーク」の一翼を担う重要な交通基盤となります。
東西軸の中央道に、南北軸の中部横断道が加わることで、本県の発展に大きく寄与するものと期待されています。
中央自動車道の全線開通がもたらした効果
新宿から甲府までの所要時間は半分以下に
- 昭和57年11月に中央自動車道西宮線の勝沼ICから甲府昭和ICの延長23kmが開通し、中央道367kmが全線開通
- これにともなって東京へのアクセス性が飛躍的に向上
- 新宿から甲府までの所要時間を国道20号利用の場合と比較した結果、半分以下の1時間40分に
物や人の交流が大幅な促進
- 産業面では開通で県内に先端企業の進出が相次ぎ、工業製品出荷額の対前年度伸び率は、開通直後の昭和58~60年に3年連続全国一
- 農作物では特産のぶどう、ももの全国展開に拍車がかかった
- 観光面では、全線開通以前から人気ある富士北麓地区に加え、峡東果実温泉郷や八ヶ岳周辺地区の観光客も増加
- 首都圏からの身近な行楽地として山梨県が周知された
- 同時に沿線住民の行動圏も拡大され、東京との文化交流も活発化
(出典:国土交通省)
中部横断自動車道は、静岡県静岡市を起点に、山梨県甲斐市を経由して長野県小諸市に至る132kmの高速自動車国道です。
代替路の確保1(強くてしなやかで国際競争力のある国土の形成)
- 中部横断自動車道の整備により、上信越自動車道、中央自動車道、新東名高速道路の3本の高規格道路が結ばれる事で、、高規格幹線道路のネットワークが強化されます。
- 首都圏直下型地震や東海地震等の災害時は、既存の東名高速道路利用のルートに環状ネットワーク利用のルートが加わることで、中京圏と首都圏間の災害普及や被災支援が強化されます。
代替路の確保2(国際拠点港湾との連携)
- 内陸部の産業は、東アジアの発展などに伴い輸出の依存度が高まっており、物流に重要な国際拠点港湾や重要港湾への円滑なアクセスが課題です。
- 中部横断自動車道が整備されることで、日本海側と太平洋側の国際拠点港湾等と内陸部が連結され、広域的な物流体系が形成されます。
安全安心の向上(異常気象時における代替道路の確保)
- 峡南地域は地形や地質等の特性から大雨などの際に通行止めを実施する事前通行規制区間が多数あり、通行止めの際には孤立する集落が発生することから、代替道路の確保が急務となっています。
- 中部横断自動車道が整備されることで、孤立集落の解消が期待されます。
移動時間の短縮(山梨県と静岡県の移動時間が約1時間短縮)
- 中部横断自動車道が開通すると、山梨県と静岡県の移動時間が短くなります。例えば、甲府市内から静岡市内までの移動時間は、国道52号を利用する場合に比べて約1時間短縮されます。
医療活動の支援(山梨県及び静岡県の第3次医療施設の1時間カバー圏域が拡大)
- (仮称)南部IC周辺から、第3次医療施設までの搬送時間は、1時間を超過していますが、中部横断自動車道が整備されることで、1時間以内に短縮されます。
- 搬送時間が短縮されることで救急率の改善が見込まれます。
(出典:国土交通省)
高速道路のストック効果
ストック効果とは
ストック効果は、整備された社会資本が機能することで、整備直後から継続的かつ中長期にわたって得られる効果です。
また、ストック効果には、耐震性の向上や水害リスクの低減といった「安全・安心効果」や、生活環境の改善やアメニティの向上といった「生活の質の向上効果」のほか、移動時間の短縮等による「生産性向上効果」といった社会のベースの生産性を高める効果があります。
(出典:国土交通省)
本県における高速道路のストック効果事例