トップ > 組織案内 > 県教育委員会の組織(課室等) > 埋蔵文化財センター_遺跡トピックスNo.139宮沢中村遺跡(南アルプス市)
ページID:4589更新日:2017年6月2日
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南アルプス市の遺跡
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所在地南アルプス市宮沢字東宮沢 時代鎌倉時代・江戸時代 報告書山梨県埋蔵文化財センター調査報告書第181集2000年(平成12年)3月刊行
宮沢中村遺跡は旧甲西町、現在では中部横断自動車道が開通している場所にあります。この遺跡からは多くの磁器が発見され、同じ柄で同じ大きさの磁器が何点も出ていることから日常的に使用されていた物も含まれていることが分かりました。そのなかでみられた当時の技術を紹介します。 1.上部から見た焼継ぎあと 2.底から見た焼継ぎ印 現在ではリサイクルやリユース(再使用すること)という言葉がありますが、これはずっと昔から生活の中でごく普通に行われてきた生活の知恵です。 上の2枚の写真を見て頂くとわかるように、茶碗は大きく割れています。現在なら捨ててしまいますが、1790年頃から広まった『焼継』(やきつぎ)といわれる技法によって割れた茶碗・皿などを貼合わせ使えるように直す商いが増えたそうです。 3.1.のアップ写真 4.2.のアップ写真 焼継とは、白玉(粉)と呼ばれる接着剤を加熱して溶かし、壊れた焼き物を貼り合わせる技法です。その対象となるのは、ほぼ磁器に限られ、透明もしくは、白く濁ったガラス質の焼継剤が3.の写真では帯状に確認できます。焼継剤は低い温度で溶けるガラスと釉薬の一種と推測できます。 2.の底に薄く赤い点が複数あります。4.を見ても少々わかりにくいのですが、これを『焼継印』(やきつぎいん)と言います。焼継師が発注者を忘れないように描かれたものと推測され、焼継剤に赤色等の顔料を加えたものを用いて文字や記号を描いたという事例があります。約200年前の各地の遺跡から多く発見されており、高級品ばかりでなく日常使用している茶碗や皿にも施されていることから、簡単で安価な修復法として広範囲に普及したことがうかがえます。 0023宮沢中村遺跡
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