トップ > 組織案内 > 県教育委員会の組織(課室等) > 埋蔵文化財センター_遺跡トピックNo.466縄文時代のエゴマ
ページID:80821更新日:2017年7月5日
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土器に残されたエゴマの果実花鳥山遺跡の出土土器は、縄文時代前期後葉の諸磯式と呼ばれる型式の土器で、最新の年代測定研究によると、その年代は6100~5600年ほど前と考えられています。 エゴマの圧痕を持つ諸磯C式土器 これらの土器を再度丹念に調べ、表面に植物などの圧痕(あっこん)があるかを観察してみました。圧痕というのは、土器が焼かれる前の粘土がまだ柔らかい時に、その表面に植物や昆虫が押し当てられて、プリントされた痕跡を指します。 この圧痕のある空洞にシリコンゴムを注入し、型取りをしたレプリカを走査型電子顕微鏡でみると、数千年前の植物や昆虫などを鮮明に観察することができます。レプリカ法と呼ばれるこの方法で、花鳥山遺跡の縄文土器からエゴマの果実が数多く発見されました。 走査顕微鏡で観察したエゴマの果実圧痕 エゴマとシソは、実は同じ植物?!現在のエゴマ畑 エゴマとシソは、実はペリラ・フルテセンス(Perillafrutescens)と呼ばれる同じ植物に分類されます。エゴマの学名はPerilla frutescens var.frutescens、シソはPerilla frutescens var.crispaで、2つの植物は変種の違いになり、両者は自然交配が可能です。 ところが、この2つの植物は食品栄養学的には全く違う性質を持っています。100グラム中の成分を比較すると、シソはタンパク質3.4グラム、脂質0.1グラム、炭水化物8.9グラム、エネルギー量4.1キロカロリーであるのに対し、エゴマはタンパク質17.7グラム、脂質43.4グラム、炭水化物29.4グラム、エネルギー量54.4キロカロリーと極めて栄養価が高く、脂質を含む割合が突出しています。 縄文人にとって、エゴマはとても大切な食べものであったようです。
土器に練り込まれたエゴマ表面に圧痕がある土器をX線透過装置(レントゲン)で観察すると、土器胎土の内部にも、植物の種実らしき空洞があることが分かってきました。土器内部の痕跡は肉眼では見ることができないため、潜在圧痕(せんざいあっこん)と呼ばれています。 花鳥山遺跡出土土器のX線画像 この潜在圧痕の正体が何かを知るために、CTスキャン分析装置を用いて、さらなる観察を行いました。すると、表面で観察されたエゴマと大きさや形がほぼ同じで、エゴマに特徴的な網状の凹凸が観察されました。したがって、土器の中にもたくさんのエゴマ果実が隠れていることが分かりました。 土器胎土中に混入したエゴマ果実のCTスキャン画像
これらの果実は、おそらく土器製作に使う粘土の練り込み段階で混入されたものと考えられます。 縄文人は、土器の中になぜエゴマの果実を入れたのでしょうか?謎が謎をよんで、考古学者を悩ませています。
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