トップ > 組織案内 > 県教育委員会の組織(課室等) > 埋蔵文化財センター遺跡トピックスNo.0468百々遺跡
ページID:81464更新日:2017年8月4日
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南アルプス市の遺跡
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百々遺跡の概要百々遺跡は一般国道52号(甲西道路)改築工事および中部横断道自動車道路建設工事に伴い平成11年度から12年度までの2年にわたり発掘調査が行われました。調査の結果、平安時代の集落遺跡であることが確認されました。 南から百々遺跡と八ヶ岳を望む。
所在地:南アルプス市百々地内 時代:弥生~中世 報告書:山梨県埋蔵文化財センター調査報告書第201集『百々遺跡1』 山梨県埋蔵文化財センター調査報告書第212集『百々遺跡2・4』 山梨県埋蔵文化財センター調査報告書第213集『百々遺跡3・5』 山梨県埋蔵文化財センター調査報告書第231集『百々遺跡6』 調査機関:山梨県教育委員会・山梨県埋蔵文化財センター
【土層の剥ぎ取り】埋蔵文化財センターで実施する遺跡発掘調査のほとんどは開発に伴うものであり、調査終了後は工事により遺跡は破壊されます。そのため、発掘調査では写真撮影、測量による図面作成、文字による記載等を行い「記録保存」することで遺跡を後世に残します。そのなかで石器や土器などの遺物は現地から取り上げて保存することができます。しかし、住居跡などの遺構や土の堆積状況(土層)などは実物を保存することはできません。そこで土層は「剥ぎ取り」という技法により現地から取り上げて保存することがあります。剥ぎ取りは写真や記述では表現しきれない土層の詳細を残すことができます。また、剥ぎ取りを前にして、調査後に土層について再検討することや調査に係わらなかった人たちと議論をすることも可能となります。 次項では、百々遺跡を例にして、土層の剥ぎ取りの様子を紹介します。
【百々遺跡での剥ぎ取り】百々遺跡では住居跡の発掘調査に際し屋根材が確認されました。希少な事例のため土層の剥ぎ取りを行い保存することとしました。 <屋根材の写真> 屋根材が確認された住居跡。中央部の帯状に掘り残した部分の濃色部が屋根材です。 屋根材の部分拡大です。
<剥ぎ取りの手順> 土層の断面に接着剤を塗布し、布を貼り付けていきます。
布を丁寧に断面に密着させます。
接着剤が硬化して土層が布に定着するまで待ちます。その後丁寧に剥がします。
剥ぎ取った土層をセンターへ持ち帰り、薬品で表面処理を施します。 板などに固定します。これにより展示・保存が可能になります。 上の写真は年度末の遺跡展での展示の様子です。
なお、剥ぎ取った土層は実際の土層に対し左右が反転した鏡像となるので、観察するときには注意が必要です。 |