ページID:22779更新日:2023年5月17日
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当センター看護科は、利用者が安心して健やかに生活できるよう質の高い看護の提供に努めています。利用者の成長を助け、生活を支援するために、摂食嚥下訓練、呼吸リハビリ、身体のポジショニングなど重心看護に必要な知識、技術の向上に努め、看護の専門性を高めています。
利用者がその人らしく、生涯幸せに過ごせるよう療育の心を大切に、これからも日々工夫しながらきめ細やかな看護を実践し、一緒に成長していきたいと思います。
障害児・者の生命と人権を尊重し、健康で一人一人のQOL(生活の質)の向上を目指した質の高い看護を提供します。
重症心身障害看護分野における専門的知識、技術を理論的に探究し、質の高い看護を提供する看護師の育成に努めます。
あけぼの医療福祉センターの看護師は山梨県立病院機構から派遣されています。そのため3施設(山梨県立中央病院・北病院・あけぼの医療福祉センター)共通のキャリアラダーに基づいて、個々の看護師の成長を支援しています。また、令和2年度に重心看護教育カリキュラム「重心看護領域」を作成し運用を開始しました。新任者・新卒者を含め、全ての看護師が重心看護について知識を学び、質の高い看護が提供できる看護師を育成する教育プログラムとしました。
「重心看護領域」
【評価する実施項目】 重心看護 (1)摂食 (2)ポジショニング (3)呼吸リハビリテーション (4)医療的ケア 1. 気管切開 2. 胃ろう 3. 栄養管理 (5)福祉サービス
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【5つの習得段階(ステップ)】 Ⅰ 指導を受けながら実践できる Ⅱ 自立して行える Ⅲ 個別性を重視して行える Ⅳ 状況に応じて行える Ⅴ 指導が行える
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看護科教育委員や所内教育委員が中心となり、新任者や現任者の教育研修を企画・運営しています。また、看護研究や多職種による症例検討会を実施するとともに、安全管理、感染予防、倫理などの研修も行っています。
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<その1:重症心身障害児(者)の安全な移乗動作> 重症心身障害児者は、障害の程度や分類に応じて介助方法の注意点が異なるため、実践の場でより安全に移乗を行えるよう、理学療法士から講義と実技指導を受けました。 |
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<その2:在宅支援研修> 医療的ケアが必要な重症心身障害児者の在宅での生活を支えるために、今年度新たにできた医療的ケア児支援センターとあけぼの医療福祉センターの役割について講義を受けました。
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<その3:事例研究発表> 看護師全員が受け持ち利用者1例について事例研究としてまとめ、口演またはポスターで発表しました |
令和3年度にセンターに採用となり、2年目を迎えた看護師と指導者に聞きました。
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1.あけぼの医療福祉センターに就職してよかったこと 利用者さんと一緒に季節の行事やイベントを楽しめて、「生活を支援して いる」と感じられること、また、周りの先輩方もとても優しいので、安心して仕事を学べることです。 2.これまでの看護の学びで大変だったこと(それをどうやって乗り越えたか) 重症心身障害児者看護に触れることがなかったので、関わり方が分からず難しかったです。重心看護を先輩たちから丁寧に教えていただき。ケアできるようになりました。入所者さんのひとつひとつの仕草の意味を今後も常に考えていきたいです。 3.これからの目標(チャレンジしたいこと) ご家族との連携がまだまだできていないので、コミュニケーションをとりながら、利用者さんのより良い生活を考えられるようにしたいです。 <先輩へ一言> いつも私のことを気にかけて様々な面から指導くださり、ありがとうございます。無駄なくテキパキとした動きと、それでいて入所者さんそれぞれのことを想った支援ができていて尊敬しています。 |
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1.1年目の新人を迎えてよかったこと 約20年ぶりに新人教育(指導)に携わり、経験値や慣れではなく看護の基本に戻り、自身の看護を見つめなおすことができました。 2.看護を教えることで大変だったこと 全てに看護には根拠があり、重症心身障害児者看護の暗黙知の部分をどう形式知にして指導したらよいのか悩みました。 3.新任者にメッセージをひとこと 訴えることのできない入所者さんとたくさん関わって、入所者さんのサインやメッセージをくみ取りながら、思いに寄り添えるナースになってください。
1.1年目の新人を迎えてよかったこと とても新鮮な気持ちになれたことと、指導をするにあたり一つ一つの看護や技術を振り返ったり、考える機会となったことです。 2.看護を教えることで大変だったこと 学生の時、コロナで実習もできず、就職していきなりの現場で大変だったと思います。また、重症心身障害児者の特徴でもあるコミュニケーションが十分とりにくい利用者さんへの看護はとても難しかったと思います。 3.メッセージをひとこと 先輩たちと一緒に考え、学び、利用者さんによりよい看護を提供できるように頑張りましょう。 |
当センターには「重症心身障害領域における看護の質の向上を図る」ことを目的とした、日本重症心身障害福祉協会認定の重症心身障害看護師5名が活動しています。活動内容は、「骨折を予防する看護」「気管切開に関する看護」「医療的ケア児等の意思決定支援」など様々であり、各病棟で教育的活動をしています。
また、山梨県のインクルーシブ教育システム推進事業に協力して、医療的ケアを必要とする児童生徒が通う特別支援学校の教員等に対し、特定行為実践のための基本研修など知識・技術の指導を行い、障害者が地域で生活できる体制づくりを支援しています。
<月1回の重症心身障害看護師会議> <気管切開患者に関する看護の研修会>
医療・生活面での支援が必要な重症心身障害児(者)や肢体不自由児の入所支援、在宅支援の一環として日中一時支援・短期入所支援を行っています。ポジショニングや摂食訓練などのリハビリテーションを行い、身体機能の維持・向上に努めています。また、各病棟に就学児(小学部~高等部)がおり、隣接のあけぼの支援学校に通学できるよう、体調管理を行い、支援学校の職員と連携し、健康で安全に学校生活が送れるように支援を行っています。
重症心身障害児(者)と肢体不自由児が入所している「コルネット」「ピッコロ」「ビオラ」の3病棟からなり、「ビオラ」病棟は整形外科・歯科治療の手術患者、親子入所の受け入れも行っています。
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コルネット病棟では、医療的ケアを中心とする重症心身障害児者の看護を行っています。入所者さんの個別性に合わせ、内服や摂食訓練などを基本的なケアの他、人工呼吸器の管理、気管切開のケアなどをしています。 重症心身障害児者は言葉でのコミュニケーションが難しく、看護師の観察は、異常の早期発見のためには非常に重要です。当病棟の入所者さんの年齢は、小児から50代と看護の幅が広いので、入所者さん一人一人のニーズにあった看護計画を立案し、看護実践と評価・修正をし、病棟全体で安全な医療の提供を目指しています。 また、異常の早期発見だけでなく、現状をチームで共通理解するために受け持ち看護師を中心に、入所者さん一人一人の関連図を作成しています。それらを活用しながら、合併症の進行の予防策や地域移行の検討など、入所者さんにとってより良い医療提供を多職種と共に検討する取り組みも行っています。 |
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ピッコロ病棟には医療度の高い方から生活介護を中心とした方まで、様々な特性を持った重症心身障害者が入所しています。ひとりひとりの個別性や本人及び保護者の希望に沿った個別支援計画を立案し、その計画に基づいて看護を行っています。 医療的ケアが必要な重症度の高い利用者さんに対しては、支援課と協働し日々の活動や季節のイベントに参加できるよう支援したり個別的な活動を行っています。また、呼吸ケアやポジショニングは理学療法士と方法や効果について共有しながら行っています。 ピッコロ病棟はコロナ禍での短期入所及び日中一時支援の受け入れ病棟として、在宅で生活している利用者さんの支援を行っています。 利用者さんが笑顔で安心して生活できるよう、質の高い看護を提供していきたいと思います。 |
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ビオラ病棟には医療、生活面で支援が必要な重症心身障害者、肢体不自由児が入所しています。成長発達期にある入所児者の心身の成長発達、身体機能の維持・獲得を目指し、個々に応じた支援を行っています。 現在、約半数が隣接するあけぼの支援学校に在籍しており、支援学校で教育を受けている児童・生徒が効果的に学習できるように、安心。安全な療育の提供に努めるとともに、入所児の将来を見据え、障害のあ程度や個々のライフスタイルに合った豊かな生活が送れるように支援学校と協力しながら卒後支援に取り組んでいます。 また、当病棟は医療入院病床を有しており、障害児・者の整形外科手術や全身麻酔下歯科集中治療等の急性期看護を担っています。手術入院患者が安心・安全に入院生活が送れ、不安なく退院後の生活に移行できるように外来受診時より面談を行うなど、計画的に援助を行っています。
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医療型児童発達支援センター、生活介護の2つが開設されています。
それぞれに看護師が配置され、医療的管理のもと、支援課職員とともに保育園・所外活動・機能訓練など日常・社会生活が充実したものになるよう日々支援をしています。また、障害児者や家族が地域で安心して生活できるように家族支援にも力を入れています。
通園する在宅障害児の児童発達支援および治療(医療の提供)を行っています。集団生活の中で幼児期の発達を促しながら社会性と協調性を育てることを目的とし、遊びや体験を通して精神面の発達や摂食・排泄などの基本的生活習慣の習得を支援します。また戸外活動を行い、丈夫な体づくりをします。 母子ともに、安定した状態で、毎日通園できるよう保護者の心理的サポートや医療ケアの相談などに乗り、在宅での生活が安心して継続できるように支援しています。 |
在宅の障害者が通所することで、日常生活動作・運動機能の低下を防止するとともに、四季の移り変わりを感じるような行事や多くの人との関わりの中から社会性の向上を図ることを目的に活動しています。利用者の健康管理・摂食訓練・機能訓練を行い、健康の維持・管理に努め、保護者の家庭での療育の悩み等について相談・助言などを行っています。週に1回の入浴、散策や制作などの活動、スヌーズレンなどにより感覚を刺激し、集団活動を通して人とのふれあいを支援していきます。 |
心身障害児(者)を対象に、整形外科、小児科、泌尿器科、皮膚科、リハビリテーション科の外来診療を行っています。外来患者には、在宅療養の重症心身障害児(者)や発達遅滞児及び発達障害児、社会福祉村内の施設に入所や通所をしている障害者等が通院しています。
来院する患者家族が安心して、安全に受診目的が果たせるように、診察時の見守りや、家や学校でどのように過ごしているのか家族から聞き取り、医師に情報提供を行っています。初めて来院する患者家族には、診察前・後での声掛けを行い、家族の受けとめや思いに傾聴し、不安軽減に努めています。
様々な障害をもつ児者やその家族が日々を安定した状態で過ごせるよう支援していきます。
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手術担当看護師4名(病棟と兼務)が交代で手術室に入っています。 <歯科治療>何らかの障害で歯科治療が困難であり特別な配慮が必要とされる患者に対して、全身麻酔下での歯科集中治療を行っています。 <整形外科手術>主に運動発達を阻害する痙性や拘縮を解除する手術や、内反則・股関節脱臼に対する手術を全身麻酔下で行っています。 患者やその家族が安心して手術や治療が受けられるように一人一人の障害にあった関わりを行い、環境を整え安全安楽に治療が行えるように、医師や病棟看護師と連携し支援を行っています。 |