ページID:107220更新日:2022年12月26日

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令和4年12月臨時県議会知事説明要旨

令和4年12月臨時県議会の開会に当たり、提出いたしました案件につきまして、その概要を御説明申し上げます。

県と富士急行株式会社との間で締結した山中湖畔県有地に係る賃貸借契約については、平成29年10月に提起された住民訴訟を通じて当該契約が地方自治法第237条第2項にいう「適正な対価」によるものとは言えないことが明らかになったため、県は、違法無効であるとの主張をして参りました。

これに対し、あくまで土地賃貸借契約が有効である旨主張する同社は、住民訴訟とは別に、県を相手取って昨年3月1日付けで、同社の賃借権の存在並びに不法行為による損害賠償債務及び不当利得による利得金返還債務の不存在の確認を求めて訴えを提起しました。

山中湖畔県有地をはじめとした富士山麓地域の振興につきましては、同社が一定の貢献をしてきた経緯があることは確かです。

しかしながら、同社に貸し付けている県有地は、県民からお預かりしている、県民全体の貴重な財産です。

同社が不適正な賃料での契約の有効性を主張することにより、遅延損害金を除いても365億円に及ぶと考えられる賃料の負担を免れたまま、県有地の利用を継続している状態は、早急に正していく必要があります。

そのため、富士急行株式会社が提起した訴えに単に応訴するだけではなく、県民が被った損害の回復も併せて図るため、昨年7月に不法行為による損害の賠償又は不当利得による利得金の一部の支払いを求めて反訴を提起したところです。

1年以上にわたる計6回の口頭弁論を経て、先日、甲府地方裁判所により判決が下されました。

その内容は、富士急行株式会社の請求を認容し、県の請求を棄却するというものでした。

周辺環境に見合った現実的な「適正賃料」、すなわち、現況を基礎として県民資産の実勢価値を反映した賃料を求めるという本県の趣旨が汲まれない判決内容となったことは、極めて残念であると言うほかありません。

いずれにしても、県有地などの県民資産を運用する県としては、その運用の在り方、方法、仕組みを透明で公平なものにしていかなければなりません。

また、県民資産から生まれる利益を県民に最大限還元しなければなりません。

そのことは、論を待たないはずです。

この山中湖畔県有地問題は、県民全体の財産の行方を決する重要な問題です。

しかし、これまで県民の皆様の目に触れることなく、ひっそりと処理され続けてきました。

一方で、住民訴訟が始まって以降、この「県有地問題」は、法廷だけでなく県民の皆様から選ばれた県議会でも活発に論じられることとなり、県民の皆様の前に問題の所在が明らかになりました。

このこと自体、歴史的な意義があるものと考えております。

改めまして、この歴史的な課題に対し熱心な議論を交わされておられます県議会議員の皆様方に対しまして、この場をお借りして深甚なる敬意を表する次第です。

従前から述べているように、県有地の貸付による利益は、当然ながら将来にわたり、あまねく県民全体に最大限還元されるべきものです。

私は、県民利益の最大化に向け、最大限の努力を傾注することこそ、知事として、そして、県民の皆様からの負託を受け県政に携わる者としての基本的な責務であると信じております。

山中湖畔県有地の現状をこのまま容認・放置すれば、県民全体の財産からもたらされるべき適正な利益を県民に還元できない状態、すなわち、適正な県民の利益が阻害されている状態が継続することになります。

したがって、県有資産の管理について第一義的な責任を有する県知事たる私としては、県民の利益を守ることを第一に考え、県民資産の実勢価値を反映した賃料を受け取り、県民の皆様に還元するべく、あらゆる手段を尽くして最大限の努力を払わなければならないと考えています。

今般の第一審判決は、あくまでも「一通過点に過ぎない」ものです。

判決内容については真摯に踏まえながらも、県民全体の財産を活用していくルールと在り方については、なお議論を深める必要があると考えています。

この県有地問題をどう改善したらよいのか、どう運用すべきなのか、得られた利益を県民全体にどう還元すべきかについて、議論を尽くしていくことこそ、県民に対し果たすべき私の責務であります。

このため、上級審において、これまでの主張の補充をしながら更に議論を深め、県有資産のあるべき活用の在り方について、裁判所に御理解いただくため、甲府地方裁判所による判決の速やかな取り消し及び県の請求を認容するとの判決を求めて控訴する必要があるとの判断に至った次第であります。

この控訴を行うには、既に御議決をいただいている反訴に係る部分を除き、地方自治法第96条第1項第12号の規定に基づく議会の議決が必要となります。

また、控訴提起には、民事訴訟費用等に関する法律に定める訴訟手数料を納付する必要があることから、補正予算に所要の経費等を計上しております。

控訴状の提出期限は、年明け早々の1月4日となることから、年末のお忙しい時期と存じますが、臨時県議会を招集させていただいた次第です。

何とぞ、よろしく御審議の上、御議決あらんことをお願い申し上げます。


令和4年12月26日

山梨県知事 長崎 幸太郎

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