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ページID:119385更新日:2025年2月17日

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令和7年2月県議会知事説明要旨

令和7年2月定例県議会の開会に当たり、提出いたしました案件のうち、主なるものにつきまして、その概要を御説明申し上げますとともに、私の所信の一端を申し述べ、議員各位並びに県民の皆様の御理解と御協力をお願い申し上げたいと存じます。

はじめに主要案件の概要を申し述べます。

国の補正予算成立に伴う、本県の物価高騰対策については、これまでと同様に三つの原則に基づいて実施いたします。

第一に、支援の持続可能性の観点から、県は価格差を補てんするのではなく、県民の所得の向上・底上げにつながる支援の積極的な実施に集中いたします。

第二に、オール山梨で効果的な対策を実施するため、市町村と役割を分担し、住民生活に身近な市町村は生活者支援に、県は事業者支援にそれぞれ重点を置くこととし、市町村ともこの方針を共有しております。

第三に、県の支援は、その場限りで費消されるものではなく、後々までその効果が積み上がる、「積み上げ型」を目指すものであり、企業の経営基盤と県民の生活基盤の双方の強靱化を進め、明日を切り拓く基礎体力を向上させることを基本と致します。

中でも、省エネ・再エネ設備の導入と賃上げ環境の整備に重点的に財源を投入し、増加に歯止めがかからないエネルギーコストへの対応と、物価高騰に追いついていない賃金上昇を強く促して参ります。

また、物流業界においては、燃料費の高騰だけでなく、いわゆる「物流の2024年問題」によって人手不足に拍車がかかっているため、業務効率化や安全対策、労働環境の改善に対する支援を行います。

これらに加え、農林水産業などについても、コスト削減・生産性向上につながる設備の導入などを幅広く支援して参ります。

将来にわたり安定して利益を生み出していく経済体質を本県にビルトインし、その利益が個人に還元されることで、県民の皆様が将来の見通しに安心と確信を持つことができる社会づくりを推進して参ります。

なお、このほか、先ほど申し上げた三原則の例外的な位置付けとはなりますが、公定価格で収入が算定される福祉施設等に対しては、令和6年の公定価格改定後も物価高騰が継続していることに鑑み、光熱費や食費などの高騰分を支援することと致します。

また、これらの対策に先んじて、先般発表したとおり、市町村の生活者支援実施までのつなぎとして、生活困窮者に対する灯油券の配布を現在実施しております。

これらの物価高騰対策に係る予算として、86億円余を計上し、2月補正予算は、国の内示を踏まえた公共事業費303億円余などを合わせて、一般会計で478億円余となっております。

次に、当面する県政の課題について御説明いたします。

先ず、富士山の保全に係る取り組みの推進についてです。

来年度から、富士山保全協力金を廃止する一方で、通行料を4千円に引き上げ、下山道へのシェルター設置や七合目救護所の開設期間の延長など、安全対策を更に強化して参ります。

昨年は、世界遺産登録時のユネスコからの「宿題」の解決に向け、登山規制を導入するとともに、新たに富士トラム構想を提案し、重大な方針転換を図りました。

御案内のとおり、登山規制の導入は、弾丸登山や救急搬送を大幅に減少させるなど、大きな効果を発揮し、国内外から高い評価をいただいております。一方で、「軽装登山」やゲート閉鎖間際の「駆け込み登山」への対応など、更なる安全対策の必要性が指摘されているところです。

これを踏まえ、来年度からは、登山ゲートの閉鎖時間を二時間前倒すとともに、登山に必要な装備の確認と遵守事項を誓約させる機能を通行予約システムに追加し、誓約を守れない登山者に対しては、県有登下山道の利用を制限するなど、厳しく対処して参ります。

また、ルールやマナーを守り、安全な登山を行っていただくため、富士山レンジャーによる登山者指導を強化いたします。

なお、富士トラムについては、後ほど御説明いたします。

次に、人口減少危機対策についてです。

御案内のとおり、人口減少問題は、消費の減退から国内マーケットの縮小を招くとともに、働き手不足から産業の活力を奪ってしまうため、長期的な経済停滞の要因となり得るものです。

我々の調査によると、「そろそろ子どもを持ってもいい」と思う年収のラインは、20年前には300万から350万円程度だったものが、現在は450万から500万円程度となっております。

この上昇分は、物価の変動だけでは説明がつかないものです。

では、何がこの原因として考えられるか。

子を持ち始める年齢が30歳前後だとして、20年前のその世代には、社会が豊かになっていく実感や経験、確信がありました。

これに対して、現在の30歳前後の方々は、「失われた30年」の記憶と経験が強く先行し、自分が社会とともに豊かになっていく確信を持ち得ず、結果、今まさに500万円の年収がなければ、子どもは持てない、という判断に至っているのではないかとも推察しております。

こうした状況を打破するためには、社会全体が豊かになることを目指しつつも、少なくとも、若者が「頑張れば報われる」という期待と実感を抱くことができる社会を構築しなければなりません。

そのため、県では、働き手がスキルアップすることで、企業の収益アップにつながり、それが賃金アップという形で還元される、スリーアップの好循環を生み出すべく取り組みを進めております。

スリーアップの起点となる、従業員のスキルアップに向け、人材育成の共通プラットフォームとして、キャリアアップ・ユニバーシティを令和五年度から運営しておりますが、実践的な講座の更なる充実を図って参ります。

また、これまで人口減少危機対策に向けて行ってきた調査によると、良好な住環境と出生率との間には正の相関関係があることが明らかとなっております。

そこで、住環境の充実に向け、市町村と連携し、若年世帯・子育て世帯を中心に、住宅取得やリフォーム費用などに対する支援を拡充いたします。

また、リニア開業を見据え、単なる家の大きさや性能にとどまらず、「まちづくり」の視点も含め、子育て世代にゆとりある高品質な生活環境が提供されるよう、調査・検討を進めて参ります。

次に、ケアラー支援についてです。

本年2025年は、全ての団塊の世代の方々が後期高齢者となる年であります。

これに伴い、今後、介護需要が急速に増加し、家庭や職場、地域など、あらゆる分野への影響が懸念されております。

本県では、昨年来、この社会の構造的な課題に向き合うべく、ケアラー支援を最重要施策と位置付け、「介護離職ゼロ社会」の実現に向け、取り組みを進めております。

そのための基礎的な第一歩として、現在、多岐にわたる支援情報を一元的に掲載し、生成AIの実証も盛り込んだポータルサイトの構築を行っており、四月から運用を開始いたします。

また、地域包括支援センターとその先のケアマネジャーへの円滑な接続に向け、県全体のフェイス・トゥ・フェイスの相談体制についても検討を行っております。

本格的な事業展開は、昨年の9月補正予算に計上した調査の結果を十分に踏まえ、本年六月補正予算以降に実施して参ります。

現在、本格的な事業展開に向け、家族ケアを実際に行っている方々や関係団体の方々から、直接お話を伺う機会を積極的に設けております。

家族ケアの在り方は、多様で複雑化しており、親の介護以外にも、子育てと重なる「ダブルケア」や、本県が先行して対応しているヤングケアラーなど、複合的な環境要因があると指摘されているところです。

そのような中、不登校の児童・生徒を抱える家庭についても、様々な負担が重くのしかかっている現状を伺ったところであり、今後、その支援に特に力を入れて参りたいと考えております。

本県公立小中学校の不登校児童・生徒数は、10年間で2.7倍に増加しており、このうち三割以上は何らの支援にもつながっていない現状にあります。

こうした状況を放置していては、その御家族にとっても、そもそも仕事に就きづらい状況をもたらしたり、また、働いていても離職を余儀なくされたりするような状況に追い込まれてしまうことが懸念されます。

このように、不登校問題は、児童・生徒だけでなく、その子を抱える家庭自体の社会的つながりを希薄化させるなど、貧困問題と強い関連性を有していると指摘されているところです。

これらを踏まえ、不登校児童・生徒の学びの機会と居場所の確保に加え、その家族を支える観点から、フリースクール利用料に対する新たな助成制度を創設するとともに、社会的つながりを回復させるために必要な施策を検討するための実態調査を行うことと致しました。

この結果を踏まえ、スクールソーシャルワーカーの養成や増員などの取り組みを進めて参ります。

加えて、現在構築中のケアラー支援に係るポータルサイトに、不登校児童・生徒に向けた支援情報も掲載し、情報発信の強化に努めて参ります。

更に、不登校児童・生徒の実態に配慮した特別な教育課程を編成できる「学びの多様化学校」を設置することとし、このため、設置検討協議会において、その具体的方策の検討を加速させ、可及的速やかな実現を図って参ります。

その際には、義務教育を修了せずして学齢期を過ぎた方を対象とした夜間中学との併設についても検討して参ります。

このほか、市町村教育委員会と教育支援センター、フリースクールなどによる官民連携会議を開催するなど、不登校児童・生徒に対する包括的な支援を強化いたします。

今後、誰一人取り残されることなく、全ての子どもの可能性を引き出す教育の実現を図るとともに、家族ケアの負担によって、県民一人ひとりがそれぞれの活躍に向け、阻害されることのない社会の実現を目指し、的確な対策を確立して参ります。

次に、県政の主要課題について、予算に計上いたしました事業を中心に、御説明申し上げます。

はじめに、公約の第一の柱、「ふるさと強靱化」に関する取り組みについて申し述べます。

先ず、防災・減災、県土強靱化の推進についてです。

本県の防災・減災の根幹を成す考えは、「発生しうる危険」にあらかじめ真正面から向き合い、平時から市町村や関係機関と連携し、絶えず対応力の強化を図ることであります。来年度は、先ず、県内の避難所の対応力向上に向け、能登半島地震に係る検証も踏まえ、避難所の望ましい施設・運営基準などを検討するべく、必要な調査・分析を行います。

また、避難所において、高齢者などの要配慮者に対し、福祉的支援を行うDWATディーワットについて、人員の確保や実践的な支援力の強化を図って参ります。

加えて、発災時に災害ボランティア等の外部支援を円滑に受け入れ、適切に配置するため、県社会福祉協議会に調整・企画機能を持たせた災害ボランティア・福祉支援センターを設置いたします。

これらの取り組みにより、県内の災害対応力の質的向上と面的展開を図って参りますが、例えば、南海トラフ地震のような大規模災害時には、国家的な視点で、近隣県や国と連携し、県境を跨いだボーダーレスな一体対応が不可欠であります。

昨年から山梨、静岡、長野、新潟の中央日本四県と関係省庁とともに、「大規模災害時における外国人観光客の超広域避難に関する研究会」を立ち上げ、年度内の取りまとめに向けて精力的に議論しております。

来年度以降は、本県内あるいは近隣県で大規模災害が発生した場合における、多数の一般住民の広域避難に係る近隣県との連携の在り方について、議論を進めて参ります。

また、来年度の公共事業については、引き続き、県民の生命・財産を守るため、防災・減災対策に資するインフラ整備に重点を置き、国制度を積極的に活用しながら、事業量を確保し、県土強靱化を進めて参ります。

次に、水素社会実現に向けた取り組みについてです。

水素関連の取り組みについては、昨年から本年にかけて、大きく前進しております。

昨年11月、カナデビア株式会社が、P2Gシステムの心臓部である水電解スタックの量産工場を都留市に建設することを決定いたしました。

最近では、東京都の取引所において、本県の生産したグリーン水素の取引が開始されたところです。

また、本年秋には、サントリー白州工場において、大規模なP2Gシステムが稼働する予定であります。

本県は、引き続き、この分野における日本のトップランナーとして、力強く前進して参ります。

一方、「水素社会」という言葉はよく耳にしますが、そもそも、来るべき水素社会とは何か、という具体的なイメージは、いまだ社会的に共有されているわけではありません。

このような中で、我々山梨県がそのイメージの一端を提案することができないかと考えております。

例えば、一定のコミュニティ単位でグリーンに発電した電力を、我々のP2Gシステムによって水素に換え、各家庭にボイラー燃料として提供・還元するといったイメージであります。その第一歩として、本県では、昨年からカーボンフリー農業を推進しておりますが、来年度は具体的な実証に取り組んで参ります。

先ず、農業用ハウスへのグリーン水素を活用した加温機の導入に向け、現在、企業との共同研究を進めており、来年度中には、果樹試験場での栽培試験を開始いたします。

また、大学との共同研究により、果樹試験場のビニールハウスに次世代太陽電池を設置し、発電効率や農作物への影響について、調査・実証を行います。

将来的には、農業だけでなく、他の分野においても水素と再生可能エネルギーを活用したシステムを構築し、ひいてはエリアとしてのカーボンフリー化に貢献して参りたいと考えております。

こういった我々の水素社会のイメージを、国内外のパートナーと知見を共有しながら、国際的な議論につなげ、まさに「世界基準」で施策を推進していく所存です。来年度は、富士五湖自然首都圏フォーラムの「富士グリーン水素コミュニティ・コンソーシアム」において国際シンポジウムを開催し、カリフォルニアやインド等の海外の代表や、水素関連企業にも御参加いただき、議論を深めて参ります。

そして、水素社会とは何か、その水素社会で本県が担うことができる役割、あるいは担うべき役割は何か、を明らかにし、個々の水素関連施策を推進するに当たっての大局的な方針とするため、新たに「水素社会実現戦略」を策定いたします。

次に、地域経済基盤の強靱化についてです。

強靱な経済体質を獲得するため、県内企業には、水素関連産業をはじめ、医療機器や航空宇宙防衛関連産業といった、本県産業体質と親和性が高く、かつ、成長性のある分野への参入を積極的に促しております。

水素関連産業については、先ほど申し上げたとおり、カナデビアの工場誘致が実現し、県内全体で「研究・実証」から「実装」へと移行するスピードが加速していきます。

このため、水素製造装置の設置やメンテナンス業務などの周辺ビジネスに県内企業が参入できるよう、技術力向上や人材育成を新たに支援して参ります。

このほか、医療機器関連産業については、引き続き、メディカル・デバイス・コリドー構想に基づき、「全県ファウンドリー化」とグローバルなサプライチェーンへの参入を積極的に支援して参ります。

航空宇宙防衛関連産業については、産業支援機構に新たに支援窓口を設置し、参入やマッチングに対する支援を強化いたします。

また、国内需要の減退が見込まれる地場産業の振興に向け、世界基準の視野のもとにマーケットを切り拓いていける人材を確保するべく、新たに基金を設け、海外先進地への留学を支援する給付型奨学金制度を創設し、意欲ある若手職人等に成長の機会を積極的に提供して参ります。

次に、生活基盤の保障に向けた取り組みについてです。

県民一人ひとりが安全・安心な生活環境の中で、健康で豊かな生活を送ることができるよう、その脅威や不安を可能な限り解消し、生活基盤を保障することは、「ふるさと強靱化」の根底であります。

先ず、いわゆる「闇バイト」対策についてです。

昨年の夏以降、大都市圏を中心にSNSを使って犯罪実行者を募集する、いわゆる「闇バイト」による強盗が相次ぎましたが、逮捕された者の多くは若者とのことです。

「闇バイト」への応募者は、犯罪グループに、自分や家族の個人情報を掌握されてしまっていることから、犯罪への加担に気付いて抜けようとしても脅迫を受け、捨て駒として繰り返し犯罪を実行させられています。

未来ある若者が、安易な気持ちから「闇バイト」に応募してしまい、人生を破滅させないためにも、「闇バイト」対策を強化する必要があります。

そこで、「闇バイト」の危険性を周知する広報啓発を強化するとともに、応募してしまった後でも犯罪グループから抜け出すことができるよう、応募者本人とその家族に対し、個人情報への対応を含めたシェルター機能を有する避難場所を提供するなどの保護対策を進めて参ります。

次に、難聴による認知機能の低下を予防する取り組みについてです。

加齢による難聴は、本人が気付かないうちに進行し、適切な支援や受診につながりにくいと言われていますが、近年、国立長寿医療研究センターから、難聴が認知症の発症リスクを二倍上昇させるとする調査結果が示されるなど、難聴と認知機能の低下の間には一定の相関関係が確認されております。

WHOも、認知機能の低下防止や認知症リスクの低減のために有効な手段として、補聴器の使用を推奨しておりますが、補聴器が高額であることなどから、十分な普及に至っていません。

このため、県では、来年度から補聴器購入に対する補助制度を創設するとともに、難聴や補聴器に関する正しい知識の普及などを通じ、介護予防に資する高齢者の補聴器使用を推進して参ります。

なお、生活基盤の保障という観点から、現在、生活保護世帯の実態調査を進めており、県民の健康で文化的な最低限度の生活が真に担保されているか、県として検証していきたいと考えております。

次に、公約の第二の柱、「『開の国』づくり」に関する取り組みについて申し述べます。

先ず、富士五湖自然首都圏フォーラムを中心とする国際交流についてです。

富士五湖自然首都圏フォーラムでは、富士五湖地域、ひいては本県を世界的な価値創出の場とすることを目指しておりますが、先ほど水素社会実現に向けた取り組みにおいて触れたとおり、このフォーラムは、本県がグローバル・プレイヤーとして国内外のパートナーと共創するための窓口となっており、国際的な集合知の形成に向け、大きく寄与しているところです。

本年度の国際交流の成果を改めて御報告いたしますと、昨年11月にカリフォルニア州を訪問し、フォーラムの三つの国際コンソーシアムのテーマ、すなわち、アート・水素・ソーシャルビジネスのそれぞれについて、現地の団体と提携協定を締結いたしました。

また、12月にはインドを訪問し、同国最大の人口を誇るウッタル・プラデーシュ州と、互恵関係の構築に向けた基本合意書を締結し、技術交流と人的交流の分野における取り組みの具体化に向け、合意を得たところです。

このほか、ネパールとは人材育成について、ベトナム・イェンバイ省とは幅広い分野での交流について、それぞれ覚書を締結したところです。

この先、各地域との間で国際的な知と人材の交流を進展させていくためには、本県がそのパートナーとして、そして個人のレベルでは移住先として、世界に伍して選ばれる魅力あふれる地域になっていかねばならないと考えております。

特に人材の受け入れに関しては、海外から来られる方々に、本県を「第二のふるさと」と感じてもらえるよう、日本語学習や医療保険の加入などについて、更なる環境整備を進めて参ります。

また、民間レベルでの交流の深化に加え、各県の国際交流を束に、より強固な関係構築を図るべきと考えております。

現在、インドと交流を持つ関係自治体と連携して「日印知事会議」の実施を検討しており、同州だけでなく、力強い成長をしているインドと日本の間の地方交流の促進に向け、先導的な役割を果たして参ります。

また、本年は、中国・四川省と友好県省締結四十周年となる年であります。他の地域も含め、これまで築き上げた絆を一層深めていくとともに、新たな地域と知見を交換しながら、豊かな選択肢と様々な新しい可能性がもたらされる「開の国」において、交流の成果が県民の豊かさに着実に結びつくよう取り組んで参ります。

なお、昨年11月の訪米時に、世界最先端のシンクタンク「スクリプス研究所」を訪問し、地球温暖化研究の世界的権威、ヴィラブハドラン・ラマナサン教授と会合を持ちました。

その際、カリフォルニア州知事が主導する「地球温暖化対策国際会議」への招待を受けたところです。

そのため、議会会期中ではありますが、この国際会議に参加し、グリーン水素に係る本県の取り組みやビジョンを紹介し、今後のグローバルな水素社会のビジョンづくりや国際的なルールメイキングを主導するべく討議して参る所存です。

次に、少人数教育の拡充についてです。

昨年12月議会で表明したとおり、来年度から25人学級を小学校五年生に拡大し、再来年度からは六年生までの小学校全学年に導入いたします。

教師不足への対応については、教師の欠員が発生しうる当面の間は、国の基準を上回る基準により、教師が確保できる最大限の範囲内で学級編制を実施することと致します。

財源の確保については、電気事業会計からの繰入金を更に増額し、必要となる教職員給与費を計上しております。

本県の子どもたちが自らの可能性を拓き、将来に羽ばたくことができる教育環境を、持続可能なものとして確立することは、「山梨県100年の大計」であり、引き続き最大の熱意と覚悟をもって尽力して参ります。

次に、新たな挑戦への支援についてです。

現状での停滞、現状の甘受、現状への満足は、これすなわち、「衰退への道」であります。

そのため、本県は、スタートアップやものづくりといった枠組みに囚われず、この「開の国」における「あらゆる挑戦とその実現」を支援しております。

来年度は、山梨中央銀行にも参画いただきながら、一般社団法人「やまなし官民連携イノベーションセンター(仮称)」を設立し、公共の一端を担うソーシャルビジネスに出資を行うなどして、地域課題の解決を支援いたします。

複雑化・多様化する地域課題の解決に向け、地域が抱える様々な課題がビジネスチャンスとなる仕組みを構築し、行政の限られたリソースを補い、あるいは行政とともに公共を担う多様な主体の参画を促したいと考えております。

取り組みに当たっては、富士五湖自然首都圏フォーラムの「社会起業家・先進行政コンソーシアム」と連携し、県内に不足するリソースを県外・海外と連携して補う仕組みを構築して参ります。

このほか、スタートアップの成長段階に応じ、切れ目のない支援を集中して実施する「スタートアップ支援センター」を、本年11月に開業し、多様な人材が集まり、イノベーションが次々と生まれる施設として参ります。

また、食の分野においても、若手料理人が本県で腕を磨き、自分の店を持ち、魅力ある飲食店が増加することで、若手料理人の挑戦が増加するという好循環を目指して参りたいと考えております。

そのため、来年度から、地域おこし協力隊制度を活用し、県外から来た若手料理人が県内の有名店で腕を磨きつつ、県事業に関わりながら生産者との関係を構築する後押しをして参ります。

次に、デザイン先進県の構築に向けた取り組みについてです。昨年11月に山梨デザインセンターを開設し、各産業や地域の高付加価値化に向けた取り組みを実施するとともに、県の政策形成にデザインによる思考や方法論を積極的に取り入れるべく、全庁的な推進体制を整備いたしました。

来年度は、山梨の「文化的テロワール」を明らかにするべく、調査・検討を実施いたします。

「テロワール」とはフランス語で「土壌」を意味し、一般には、その土壌がブドウに与える影響、ワインの「産地特性」を示す言葉として認知されております。

而して、今般明らかにする本県の「文化的テロワール」とは、本県の産業や文化を育んだ自然環境や風土的特徴と、人間の文化的営みや経験、歴史等の総体、いわば「山梨らしさ」であります。

この「山梨らしさ」を共通のバックボーンに、各種施策やデザインを展開することで、他の地域と差別化された新たな価値を提供して参ります。

最後に、リニア・富士トラムを見据えた本県の交通ネットワークの再編についてです。

ヒト、モノ、コトの移動と流通は社会の「基礎代謝」です。

その基礎代謝を担う交通インフラの強化は、地域の基礎体力の増強ともいうべきものであり、社会におけるあらゆる可能性を取り込む「開の国」づくりに向けては、極めて重要な要素であります。

この観点から、リニア中央新幹線の開業効果を現実的なものとさせ、これを最大限に発揮させるため、富士トラムなどを活用して新たな交通網を構築することにより、リニア中央新幹線の利便性の向上、利用者数の増加、停車本数の増加という好循環創出を推進して参ります。

来年度は、将来的な富士トラムの県内各地への延伸を見据え、県全体の二次交通網の抜本的高度化に向けた検討を進めるとともに、目下の現実も直視し、交通弱者対策やライドシェアといった課題を含め、県全体の公共交通網の在り方について、市町村や交通事業者も交えて検討して参ります。

検討に当たっては、位置情報に基づく詳細な人流データに加え、あらゆる社会経済センサスを活用し、現実的で説得力のある、そして何よりも実効力を伴った本県交通ネットワークの未来像を描き、JR東海へのリニア山梨県駅への停車本数増の働きかけに加え、市町村域内の交通網再編に向けた検討にも活用して参ります。

加えて、多角的に将来の交通網を検討するべく、リニア開業による新たな航空需要を踏まえ、本県への空港整備の可能性と課題について、予備的調査から更に踏み込んだ追加調査を行います。

次に、富士トラムについてです。

富士山登山鉄道構想を契機に、多くの議論が活発に交わされた結果、鉄道構想に反対される方々のお考えとして「富士山への来訪者コントロールは必要」、「鉄軌道は工事に伴う自然破壊が懸念されるため反対」、「環境に配慮できれば電気バスでなくとも良い」という点が確認できました。

こうした御意見に真摯に耳を傾け、今一度真剣に検討を重ね、新たに提案した交通システムが富士トラムであります。

富士トラムは、軌道法の適用により一般車両の進入を制限することで、来訪者コントロールが可能です。

また、ゴムタイヤで走行するため、鉄軌道の敷設などの大規模開発が不要となります。

加えて、グリーン水素を動力源としうるなど、まさに県民の集合知と言うべき提案です。

現在、スバルラインにおける運行システムの適合性・安全性の検証や、車両の国産化に向け、メーカーにヒアリングや参入の打診を行っております。

現在実施している調査から、富士トラムと同様にゴムタイヤで走るモビリティが、スバルラインの急勾配や急カーブなどにおいても安全に走行できる性能を持っていることを、海外の運行事例から確認できております。

そのため、来年度は、富士山における運行ルート、途中駅・車両基地など必要な施設、事業全体の採算性や運営体制などの検討を迅速に行って参ります。

現在、富士トラム導入後の未来像について、県内の各市町村での説明会を開催しているところであり、今後も引き続き、住民説明会や意見交換の場を積極的に設け、丁寧にコンセンサスの形成と地域への理解浸透を図って参ります。

以上の内容をもって編成いたしました結果、令和7年度当初予算は、一般会計で5115億円余となっております。

次に、提出案件の内容につきまして御説明申し上げます。

今回提出いたしました案件は、条例案30件、予算案25件、その他の案件17件となっております。

先ず、条例案のうち、山梨県部等設置条例の改正についてです。

飛躍的な経済発展を遂げ、本県とも交流を深めているインドは、1998年にノーベル経済学賞を受賞したアマルティア・セン博士の出身の地でもあります。

博士は、インド社会の貧困や不平等を体験し、「生活の質」とは、人々がその特性に応じて実行可能な選択肢の中から、社会的に実現できる自由度が保障されているか否かが重要である、という「潜在能力アプローチ理論」を提唱されました。

私自身、知事としての職務にあっても、もしくは家庭を持つ一人の親や、高齢の親を持つ子としても、仕事と子育て・介護の両立の困難さや、物価高騰に直面した生活の大変さを、県民の皆様と同じように感じる一人の人間であります。

医療・福祉などの制度的支援を充実させていくことはもちろん重要ですが、仮に、福祉的救済を受けず自立している方であっても、自分たちの時間や家計を犠牲にして、本来ならチャレンジできる選択肢を諦めている県民がいる現実を、看過することはできません。

今回の組織改編の理論的基礎である「県民生活強靱化」の思想は、このような観点から、県民の生活・人生設計に焦点を当て、あらゆる悩みや不安に寄り添って、いかなる境遇にある県民に対しても、多様な潜在能力の発揮の機会、多様な選択肢が保障される地域社会を構築していこうとの思いのもとに着想を得たものであります。

先ず、県民一人ひとりの生活目線に寄り添い、妊娠・出産から子育て、学び直し、ケアラーなど、ライフステージに応じた生活支援を総合的に実現するため、県民生活部、多様性社会・人材活躍推進局、子育て支援局を再編・強化し、新たに「総合県民支援局」を設置いたします。

また、県民の潜在能力を保障するためには、県民はもとより、地域や社会の抱える課題を能動的に発掘し、行政知見による経験値に加えるに豊かな想像力をもって、行動力へと転じさせ、新規施策を切り拓いていく中核機能を充実させる必要もあります。

このため、若手職員も大胆に抜擢した、山梨県庁の新たな司令塔として、知事政策局を強化し、「高度政策推進局」に再編いたします。

加えて、潜在能力の保障とは、単に個人の生活支援に留めるべきものではありません。

山梨県そのものの潜在能力を深く追求し、そこに新たな価値を創造し、内外に訴求し、富を創出することで、はじめて生活実態が織り込まれた立体感のある県民生活の強靱化が実現します。

富士トラム、ヤマナシブランド、富士五湖自然首都圏構想など、文化と経済の両面から地域の魅力を高める重要プロジェクトを、俯瞰的・戦略的に推進するため、新たに「新価値・地域創造推進局」を設置いたします。

そして、この三局を「ヤマナシ生活・価値・地域創造本部」として構成し、副知事を本部長として統括させ、政策の統合力・推進力を強化して進めて参ります。

このほか、効果的かつ効率的な行政運営を更に推進するため、所要の改正を行うものであります。

県庁一丸となって、県民の皆様が抱える多くの課題に真正面から向き合い、解決に導くべく取り組んで参ります。

最後に、やまなし教育環境・介護基盤整備基金条例及びやまなし人材定着奨学金返還支援基金条例の改正についてです。

今般、県有資産から生じる収益を、教育環境・介護基盤の整備や人口減少危機対策の財源とすることを条例に明記いたします。

御案内のとおり、現在、県では、恩賜県有財産をはじめとする県有資産から得られる収益を最大化した上で、この収益を県民の皆様に還元するべく、高度活用を図っております。

県有資産からの収益は、国の政策動向や財政状況に左右されない県独自の財源となるものです。

一方、本県の未来を見据え、少人数教育の推進や介護待機、あるいは介護離職ゼロ、人口減少危機対策に中長期的に取り組んでいくためには、安定的な財源の確保が不可欠であります。

そこで、県有資産から生じる収益の一部を、これらの施策の財源とすることを明らかにし、施策の加速化という形で、県民の皆様への着実な還元を図って参ります。

この還元の在り方を条例として議会にお諮りし、いわば、議員の皆様、県民の皆様との共通理解として、本県を前に進めて参りたいと存じます。

その他の案件につきましては、いずれも、その末尾に提案理由を付記しておりますので、それによりまして御了承をお願い致します。

なにとぞ、よろしく御審議の上、御議決あらんことをお願い申し上げます。

さて、昨年は、多くの皆様のお力添えをいただき、様々な分野で大きな成果を挙げることができたと考えております。

富士山の登山規制や富士トラム構想の提案をはじめとして、デザインセンターの開設、P2Gシステム関連の工場の誘致など、長年の課題の解決に向けた道筋を立て、あるいは未来への布石を打つことができました。

一方、本県を取り巻く状況は、決して予断を許さないものであります。

国外においては、世界的な異常気象、出口の見えない紛争はもとより、主要国における政情の流動化、更には、世界的な貿易戦争やこれに起因する経済低迷のリスクも危惧されております。国内においても、相次ぐ自然災害に加え、不安定な政治・経済情勢にも懸念が高まるところであり、

団塊の世代全てが後期高齢者となる「2025年問題」や人口減少など、様々な構造的課題も顕在化してきております。

こうした状況にあっても、少なくとも、ここ山梨県においては、生活する皆様が豊かさの実感を得られるよう、私たちが先頭に立って、あらゆるチャレンジを躊躇なく実践していかなければなりません。

それこそが私たち山梨県庁に課せられた使命であります。

今後の施策の推進に当たっても、引き続き、人々が安心して高水準の豊かさ・幸せを追求できる社会へと進化させていく「ふるさと強靱化」を土台に、あらゆる可能性を取り込み、新たな価値が創出される、全ての人に対して開かれた「開の国」を目指して参ります。

特に、今後は、各分野の取り組みにおいて、目線を「世界基準」に上げることを強く意識し、未来への投資を積極的に行って参ります。

本県は、多くの分野で全国初、あるいは全国に誇るべき取り組みを数多く生み出して参りましたが、激変する国際情勢や、国内市場の急激な縮小を踏まえると、国内だけを見ていては、「持続可能な未来」を山梨の子どもたちに残すことができません。

これからは、富士トラムやグリーン水素は当然のことながら、他の分野も含め、世界を意識しながら取り組みを進めていく必要があり、我が山梨県はそれを実行できる能力が十分にあるものと確信しています。

一方で、この「現実」もまた、刻々と変化するものであり、行政だけで最適解にたどり着くことは困難です。

富士山登山鉄道構想を巡る様々な議論から紡ぎ出された富士トラム構想のように、最適解を導き出す過程において、山梨の全ての可能性を活かし、社会を構成する全ての方々の「当事者意識」の下で様々な意見をぶつけ合い、「集合知」を形成していくことが不可欠と考えております。

山梨県にとっては、競い合う競争相手も、共に創り上げる共創相手も、向き合うべきは「世界」であります。

その際においても、当然のことながら、各施策の推進は、足元の県民生活の現実を直視することが大前提となります。

「豊かさの実感」は、「今の生活の厳しさ」の超克があってこそのものであり、「県民生活強靱化元年」と位置付けた昨年以上に、現実を把握した上で、県民生活に寄り添い、各施策を「県民生活強靱化2.0」へと昇華させ、積極的に展開して参ります。

令和7年は、二期目の任期折り返しの年となりますが、へび年にふさわしく、従来の殻から脱却し、変化著しい時代状況に虚心坦懐に向き合い、山梨県の更なる進化・飛躍を目指し、貪欲に具体的な成果を求めて施策を推進して参ります。

最後に、ぜひ県民の皆様、そして本議会に御参集の皆様に、本県の若者の決意を、御紹介させてください。

つい先ごろ、メールにて寄せられたものです。

僕はこの四月に大学を卒業し、就職することが決まりました。

内定をもらったのは東京の会社です。

両親が甲府で生活しているので、山梨で就職することも考えたのですが、あえて県外の会社に就職することにしました。

両親はすぐにでも実家に戻ってきて一緒に生活して欲しいと言っていましたが、僕は少しだけ待ってとお願いしました。

僕には妹がいるので、妹たちの面倒も見て欲しかったのだと思います。

高校の同窓生らの多くも、山梨で就職しています。

ただ、僕は少しだけ、東京で働いてみたいと、両親を説得しました。

それは決して、学生時代に東京が気に入って、東京を離れたくなかったからではありません。

僕の学生生活はコロナ禍に始まりました。

大学の授業も最初はどうなるか分からず、しばらくしてリモートやオンラインが始まりました。

最初、期待していたバイトやサークルなどの活動もできず、このまま学生生活が終わるのかなと思っていた時、ようやくゼミも再開して、初めて同じ大学の他の学生と触れ合う機会もできました。

正直、もっと華やかなものを期待していた僕は、東京でひとりぼっちの生活にがっかりもしましたし、アパート暮らしの負担も大きいので実家に帰ろうかとも考えました。

でも、そんな時、僕はむしろ勉強に集中するいい時期ではないかと思うことにしたのです。

子どもの頃から、将来は公務員になろうと思っていたので、ゼミでは地方自治を選びました。ゼミでの発表には、先ず自分の故郷である山梨県をテーマに選びました。

コロナ禍だったのでなかなか難しい所はあったのですが、先ずはインターネットや過去の新聞記事などから山梨県の県政について学んでいきました。

知事である長崎さんの言葉に触れたのは、多分、その時が初めてでした。

2019年に知事になった時、議会で、百年の大計として、教育の重要性を挙げておられたのも初めて知りました。

最初は百年の大計ってなんだ、と思って、随分、大袈裟だななんて、そんなことを思ったのです。

でも、その他の議会での発言を読んでいる中で、僕にもだんだん、その言葉が身近に感じられてきました。

むしろ、勇気づけられてきたのかもしれません。

それは自分自身のことを考えるきっかけになったからです。

コロナ禍の身動きが取れない中で、自分の将来を考えるきっかけになったんです。

僕はなぜ教育を受けるのか。

何を身に付けたいのか。

何になりたいのか。

何をしたいのか。

どんな一生を送りたいのか。

教育を受けることの意味を考える中で、自分の人生だけでなく、親兄弟や、祖父や祖母らの人生の中で、僕自身が身につけたものはどんな意味を持つのか、とも思うようになりました。

教育は自分のためだけのものであると、学歴、教養、専門性は自分自身のためにあると思っていたのですが、もっと広がりのある意義があるんじゃないかと、そう考えるきっかけになったのです。

それこそが、知事が以前語っていた、「教育は山梨県百年の大計」の意味なのではないでしょうか。

教育はきっと、自分のためであって、他人のためにもなるのではないでしょうか。

結局、勉強して身につけたことは、最後は自分というものを超えて、家族はもちろん、社会全体のためになるのではないでしょうか。

すっかり県政の勉強にのめり込んだ僕は、「開の国」と知事が話しているのも知りました。

故郷は世界中のどこよりも大切なものです。

でも、ただ懐かしくて、安心できるだけの場所ではありません。

コロナ禍に始まった大学生活を終えようとしている今、僕にとって故郷とは、頑張る動機なんだなと、そう思います。

だから僕は、大学を出てすぐに故郷に戻るのではなく、東京で頑張ってから戻りたい、と思うようになりました。

もっと多くの人や出来事に触れてから故郷に戻りたいと思います。

気持ちはいつも故郷にあります。

でも、目と行動は外にもしっかりと向けて、自分自身を社会でもっと鍛えたいと思います。

そして必ずいつか、僕の中で機が熟した時に山梨に戻って、故郷に役立てるように自分を活かそうと、そう思っています。

まもなく大学を卒業される学生さんからのお手紙でした。

学生さんらしい、飾ることのない率直なお気持ちが綴られているように感じます。

二期目の県政も折り返しを迎えますが、たとえお一人であっても、未来ある若者の心の郷里を想う気持ちに新しい希望が芽生えたのだとすれば、それはここまでともに歩んでくださった県庁の仲間、県議会の同志の皆様、そして、ほかならない県民の皆様の御理解と御支援があってこそではないでしょうか。

この若者に芽生えた決意と希望は紛れもなく、ふるさと山梨が育んだものであり、「新しい未来」を創るものではないでしょうか。

私は改めて強く決意を新たに致しました。

志は高く世界目線で、そして故郷への強い思いを更なる県土深耕に。

山梨にあって、この若者のような志と決意が更に育まれるよう、残る任期も全力で、立ち止まることなく疾駆して参ります。

世界目線と県土深耕、私がそこに見やるのは、ほかでもありません。

それは、「世界」と「ふるさと」という、可能性の両洋です。

このどこまでも拡がる両洋をにらみ、私は残る任期に妥協なく臨んで参ります。

どうか、どうか県民の皆様、県庁の仲間、そして本議会に御参集の同志の皆様におかれましては、多様な智慧を戦わせ、限りなく開かれた可能性という両洋を、ここから先も進んでいこうではありませんか。

以上、所信に代えさせていただきます。

御清聴、誠にありがとうございました。

 

令和7年2月13日

山梨県知事長崎幸太郎

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