ページID:40045更新日:2021年12月16日
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「心のふるさと山梨」を基本テーマとして、心の片隅にある在りし日の農村風景や、良き思いを次世代につなげ農業農村が育む魅力あふれる県土の写真を募集したところ、総計566点の作品をご応募いただくことができました。厚くお礼申し上げます。
厳正な審査の結果、入賞作品18点を決定したので発表します。
なお敬称は略させていただきます。
賞 | 受賞者名 | 住所 | 作品名 |
---|---|---|---|
山梨県知事賞 |
小澤 宏 |
神奈川県小田原市 |
苗が宙を舞い |
審査委員長賞 |
清水 弘海 | 甲府市 | 収穫 |
農政部長賞 |
内藤 均 | 南アルプス市 | 早苗輝く |
季節賞(春) | 菊嶋 豊茂 | 笛吹市 | 桃花の雪化粧 |
季節賞(夏) | 大沢 加代子 | 愛知県愛西市 | ひまわり畑 |
季節賞(秋) | 遠藤 菊水 | 市川三郷町 | 実りの頃 |
季節賞(冬) | 阿井 美代子 | 昭和町 | 優しいひだまり |
入選 | 両角 哲男 | 長野県茅野市 | 春耕の季節を迎えて |
入選 | 雨宮 ますみ | 甲州市 | 台風前に急いで稲束ほし |
入選 | 内藤 裕己 | 中央市 | 米の草原 |
入選 | 谷本 修一 | 埼玉県川口市 | 富士の見える棚田 |
入選 | 三澤 拓弥 | 北杜市 | 祭行列 |
入選 | 渡辺 勝 | 忍野村 | 夏の朝 |
入選 | 野村 宗夫 | 甲府市 | 刈り入れ |
入選 | 滝田 公男 | 韮崎市 | 春の鼓動(1) |
入選 | 大柴 力 | 韮崎市 | 夕暮れ時 |
入選 | 岩谷 秀雄 | 甲府市 | 帰り道 |
入選 | 菊池 和夫 | 上野原市 | 晩秋の色 |
審査委員長 白簱史朗
第5回やまなし農村風景写真コンクールは、平成23年11月14日、山梨県庁本館特別会議室に於いて、午後1時30分より開始。先ず566点の作品を四季に分類し、それを春から順に夏、秋、冬と別々に優れた作品をピックアップした。本年で5回目、昨年にも増して新しい作者、作品が選出されたことはまことに喜ばしく、更に女性の進出には目覚しいものがあり、そこがまた男性作家と比較して、男性の見落としたモチーフを独自のカメラアイで捉えた作品の多さに一驚した。
選出は山梨県知事賞、審査委員長賞、県農政部長賞各1点に加えて春夏秋冬の季節賞を各1点、計7点から始まり、入選11点を加えられ、総計18点が恙なく選出された。
選出された作品は、さすが566点中から選び抜かれたものだけに、どれも素晴しく、順位決定に審査委員は相当頭を悩ました。
だが、何といっても31点強(最終選考数)より1点の選出となる狭き門だけに惜しくも落選された作品中には惜しいと思われるものが相当数あったことは致し方ないとはいえ、残念だと審査委員を口惜しがらせたものだった。
その第一の原因は、何といっても流行のデジタル写真が多かったことに起因する。デジタルは画素数で勝負するが、いかように多くとも、到底銀塩フィルムの描写力、色彩、ピント、濃度に対し不足があり、殊に印画再生時の用紙の質如何によって格段見劣りする。
だが、応募作品の大部分はデジタル作品であり、それを反映して、入選作品は銀塩写真6点、デジタル写真12点と、1対2の割り合いとなった。しかし、これは画質の面から選出されたものでなく、コンテストの目的にそう副うもの、という前提・制約があるためで、作品自体の出来栄えから見ての選出なら、この入選作の大部を銀塩作品が占めたといってよいと思う。ただ、デジタル作品も、銀塩用の高級印画紙を使用すれば、その出来栄えはまったく違ったものになることもアドバイスしたい。そして、このコンテストに賛同して作品を寄せられた皆さまに、心よりのお礼を申し上げると共に、来年度の入選を期しての更なる精進をお願いするものである。
[評]古くからよく見られた、田植時に植え手のそばに稲苗を投げる、こうした情景は最近あまり見られなくなった。投げ手のポーズ、投げた苗束の富士山に対する絶妙の作品。みごととしか云えない好作品であるが、受け手2人のポーズがあまり冴えず、向こう岸の自動車が少し目立ち過ぎる点を、もっと工夫してシャッターを切って欲しい。
[評]これも最近は珍しくなった手刈りの風景だが、手前の刈って束ねた稲束を大きくスペースをとり、徐々に前方に向って小さくモチーフを配した構図のすばらしさ。左上隅の人家が無ければ完璧であり、さらに銀塩印画紙での表現であったら知事賞にも値すると思う。
[評]これまた最近ほとんど見られない苗床を前景とした田園風景。満々と水を張った田圃の広々とした先に山梨の象徴「富士山」がある。「早苗植えわたす初夏」そのままの光景。
[評]桃・桜咲く4月の時ならぬ雪。桃の枝に積もった雪、ピンクの花と青空。願ってもないチャンスに恵まれたが、それをものにするのが作者の腕である。欲をいえばもう少し周囲の情景を入れこ巧みたかった。
[評]人物の向う一面に広がるヒマワリ畑。その前面中心に親子3人連れを配した構図は巧まざるムードと団らんを表現している。ヒマワリと人物のみとモチーフを限定したことがより強さを表している。
[評]右手前に農作業する人物ひとりを置き、稲ハザ、まだ刈り取りされない稲田、ソバ畑と段階的に配置した手法によって左上方末広がり構図となって動きも表現された。惜しむらくは、印画紙選定の失敗で画面の調子が弱い。これをクリスタル印画紙を使用したら、色彩と調子は数段上がり、はるかに素晴しいものとなったろう。
[評]山梨名物“ころ柿”を題材としているが、それを敢えて別の題名を付けたことによってほのぼのとした情感が生まれた。右手から左方奥へとつらなる吊るした柿のボリュームの大きさと作業する老人の自然な表情もよい。こうしたように人物は自然な表情を捉えることにこれからも留意してほしい。