ページID:56417更新日:2024年3月18日
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「私たちの彩(えが)くふるさと」を基本テーマとして、やまなしの山々を背景にした農村風景を始め、田植え、果樹の手入れ等の農作業、そこにいる人たちの生活、農地の保全の様子や現在開催中の「富士の国やまなし国文祭」にちなんだ農村文化の魅力を伝える農村風景の写真を募集したところ、総計588点の作品をご応募いただくことができました。厚くお礼申し上げます。
厳正な審査の結果、入賞作品21点を決定したので発表します。
なお敬称は略させていただきます。
賞 | 受賞者名 | 住所 | 作品名 |
---|---|---|---|
山梨県知事賞 | 内藤 均 | 南アルプス市 | 朝光の野菜畑 |
審査委員長賞 | 沢登 今朝雄 | 南アルプス市 | 暑い一日 |
農政部長賞 | 渡邊 希美子 | 富士吉田市 | そばの里 |
季節賞(春) | 河西 茂彦 | 南アルプス市 | 春の訪れ |
季節賞(夏) | 清水 祥子 | 韮崎市 | 笑顔いっぱいひまわり畑 |
季節賞(秋) | 斉木 登 | 市川三郷町 | 豊作の秋 |
季節賞(冬) | 渡辺 勝 | 忍野村 | 冬の光 |
入選 | 徳山 龍一 | 東京都町田市 | 干し柿つくり |
入選 | 志村 茂雄 | 笛吹市 | 摘蕾 |
入選 | 大柴 力 | 韮崎市 | 山を背景に農作業 |
入選 | 小澤 己江子 | 甲斐市 | 豊作の音色 |
入選 | 滝井 厚 | 静岡県静岡市 | 旧家の残る町 |
入選 | 滝井 千恵子 | 静岡県静岡市 | 田植え |
入選 | 今川 雅彦 | 大月市 | 甘い香りの影 |
入選 | 中谷 基夫己 | 中央市 | 舂米の棚田 |
入選 | 岩谷 秀雄 | 甲府市 | 植付け |
入選 | 岩原 和子 | 甲府市 | お家安泰 |
入選 | 五味 仁 | 北杜市 | 夕景の農村集落 |
富士山特別賞 | 小谷 加代子 | 三重県松阪市 | 富士を背に(消毒作業) |
富士山特別賞 | 内藤 均 | 南アルプス市 | 天日干し |
富士山特別賞 | 河西 茂彦 | 南アルプス市 | 富士遠望(冬) |
2013年9月18日・恒例のコンクール審査は恩賜記念館にて、午後1時30分より、関係者一同集合し、審査をおこなった。応募点数は588点、例年に比してかなり多数の応募があった。全体から見ると、時勢を反映してのデジタル写真応募が大半を占めたが、従来のフィルムによる作品もかなりあった。
両者を比較してみると、やはりデジタルとフィルムによる作品の質とは大きな差があり、フィルムによる作品の方が問題なくすぐれたものが多かった。そうした中で、デジタル作品中でも、これがフィルムによるものであったら、と審査員に云わせるものも多々あり、いくら時勢とはいえ、少々惜しい気にさせられてしまった。
しかし、コンクール開始により、7年目7回目となると、応募者の大半が、目の付けどころ、カンどころをしっかりと押さえるようになってきている。
今回の入選作品中、上位入選者の作品は知事賞と季節賞の部では春のみがフィルム作品で、他はすべてデジタルであったが、その他の入選作同様、これがフィルム作品であったら、と思わず残念に思う作品が多かった。
[評]最高賞の知事賞は南アルプス市の内藤均氏。氏はこのほか、特例として富士山賞1点中の1枚にも入選した。フィルムによるキッカリとした画面構成、みごとな発色、的確なシャッターチャンスは最高作品の名に恥しない。
[評]第2位の審査委員長賞は、これも南アルプス市の沢登今朝雄氏。「暑い一日」と題した作品は果樹に澈水している情景であり、そのしぶきが逆光の縞とともにみごとな情景描写である。これがフィルムであれば、はるかにカッキリとしたピントとなり、よりすばらしいものとなったに違いない。惜しいと思う。
[評]農政部長賞の渡辺希美子氏。氏はこのコンクールの常連であり、つねにすぐれた作品を応募されているが、今回もまた、いかにも女性らしい柔かくムードある描写でソバとヒマワリの背後にうっすらと浮かぶ夏の朝富士を施している。富士が画面中央に位置したのが若干惜しまれるが、ムードとして満点である。
[評]季節賞の春。これも南アルプス市の河西茂彦氏。小淵沢あたりからの甲斐駒ヶ岳をはるか遠く上部に置いて山田に肥料をまく農婦の点景を置いた作品は心憎いほどの情景描写であり、加えてフィルムによる調子の美しさ、加えるものはない的確な構成は抜群である。
[評]同じく季節賞の夏。夏の花であるヒマワリの花で画面いっぱいに埋め、手前中央に女性4人を配している。いかにも青春の画面であり、黄の花園と若い女性の取り合わせもぴったりであった。惜しむらくは画面上端に他の人がちょっと入りこんでいるが、これはカットしたら更に画質は向上する。
[評]季節賞の秋。これは市川三郷町の斉木登氏。「豊作の祀」と題した作品は、こうした画面にありがちな不自然さがまったく見られず、いたって自然な情景が微笑ましい。人間が画面に入る際、この自然さが生命であり、ちょっとした不自然さでもあるとぶちこわしになる。その点、非常にすぐれたものといえる
[評]季節賞の冬。「冬の光」と題した作品は、南都留郡忍野村の渡辺勝氏。わざと上空の太陽を入れず、それを水面に反映させての光の強調はアイデアものである。光がやや左方に片寄りすぎた点、ワイドレンズのためか、左方の水平が下がった点を修正すれば、さらに完璧なものとなる。
[評]三重県松阪市の小谷加代子氏。地面の雪と見える白いものは防霜用のビニール布であり、一見、冬の写真と見えることが難であるが、6月ということは富士山の残雪で判然とする。富士山の位置、消毒車との配置は定跡どうりであり立定した画面となっている。
[評]知事賞を受けた南アルプス市の内藤均氏の作品「天日干し」は、この富士山の部でなくとも、優に上位の賞に相当する優秀な作品であるため、今回、特例として一人一賞のところを2点とした。地元中野での撮影とあるが、刈り取った稲を天日に干している情景であるが、その配列の捉え方、送光の美しさ、遠景の富士山の描写、そのすべてが満点といえる。中央左端の青色のものは稲にかぶせたビニール布ででもあろうか、これだけが蛇足であったが、画調も抜群だった。
[評]「富士遠望」と題した作品は南アルプス市の河西茂彦氏。同じく南アルプス市の内藤氏と並んで、富士山の部での特例入選であるが、画面がやや黄ばんでいる感じが、いかにも朝の情景にふさわしく、薄陽がまたそれを裏付けている。題名がやや平凡であり、こうした場合、「冬の山村」というようなものがぴったりする。