ページID:32020更新日:2017年5月30日

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埋蔵文化財センター_遺跡トピックスNo.0241村前東A遺跡

南アルプス市の遺跡

  • 0006十五所遺跡-方形周溝墓-
  • 0010大師東丹保遺跡-網代-
  • 0108大師東丹保遺跡-遺跡から発見された地震のツメ跡-
  • 0149大師東丹保遺跡-木製品-
  • 0200大師東丹保遺跡-出土した種子は何?-
  • 0259大師東丹保遺跡-下駄-
  • 0287大師東丹保遺跡-扇子の骨組-
  • 0357大師東丹保遺跡-洪水に埋もれた中期古墳-
  • 0392大師東丹保遺跡-地震痕のある遺跡-
  • 0017二本柳遺跡-木棺墓-
  • 0122二本柳遺跡-福寿院跡-
  • 0164二本柳遺跡出土の擂鉢-
  • 0276二本柳遺跡-火きり臼-
  • 0023宮沢中村遺跡-昆虫・網代-
  • 0051仲田遺跡-田んぼ-
  • 0052百々遺跡-八稜鏡-
  • 0065百々遺跡-錘-
  • 0066百々遺跡-馬の骨-
  • 0101百々遺跡-洪水の跡-
  • 0136百々遺跡-浄瓶-
  • 0172百々遺跡-平安時代の住居跡-
  • 0269百々遺跡-黒色土器-
  • 0274百々遺跡-古代のウシ・ウマ-
  • 0077善応寺遺跡-祭祀の水場-
  • 0081油田遺跡-田んぼと木製品-
  • 0144油田遺跡-木製竪杵-
  • 0231油田遺跡-体験学習用の復元品-
  • 0084堤防遺跡No.23-堤防の内部-
  • 0409釜無川堤防跡遺跡-
  • 0105石橋北屋敷遺跡-道路跡・区画溝-
  • 0106村前東A遺跡-パレススタイルの壺-
  • 0241村前東A遺跡-手焙形土器-
  • 0250村前東A遺跡-住居跡-
  • 0286村前東A遺跡-S字甕-
  • 0139宮沢中村遺跡-茶碗の焼継ぎ-
  • 0163大塚遺跡-約1,700年前の家の跡-
  • 0168新居道下遺跡の住居跡-
  • 0216長田口遺跡の鏡片-
  • 0340向河原遺跡-水田跡と杭列-

村前東A遺跡の概要

村前東A遺跡は、南アルプス市(旧櫛形町・若草町)にある遺跡で、国道52号甲西バイパスと中部横断自動車道建設に先立ち、平成2~8(1990~1996)年の5回にわたって発掘調査が行われました。この地は御勅使川(みだいがわ)扇状地(せんじょうち)の扇端部(せんたんぶ)にあたり、洪水などの被害を受けやすい地域なのですが、発掘調査により古墳時代前期(今から1,600年ほど前)の竪穴住居跡が141軒、平安時代(1,100年ほど前)の竪穴住居跡が64軒発見され、当時の大規模な集落が存在したことが明らかになりました。古墳時代前期の住居跡などからは、濃尾平野(愛知県・岐阜県)や北陸地方で使われていたものと同じ形をした土器が出土しており、古墳時代の早い段階から他地域との交流が活発に行われていたことがわかります。

0241村前東A遺跡空撮写真

村前東A遺跡の空撮写真

所在地:南アルプス市(旧櫛形町)十五所・(旧若草町)十日市場

時代:弥生時代後期・古墳時代前期

報告書:山梨県埋蔵文化財センター調査報告書第157集(1999年3月)

調査機関:山梨県埋蔵文化財センター

手焙形土器[てあぶりがたどき]とは・・・

手焙形土器は、弥生時代後期から古墳時代前期に出現する土器で、鉢の上部に覆いをかぶせたような形をしています。その形が、炭を入れて手をあぶるために使われる「手炙・手焙(てあぶり)」と呼ばれる小型の火鉢に似ていることから名前がつけられました。
手焙形土器も、火鉢のように土器の中に炭を入れたり、火をともしたりといった使用方法が想定されますが、遺跡から出土する手焙形土器には、内側に煤(すす)が付くなどの炭や火を使用した痕跡が見られないので、実際にどのような使われ方をしたのかはわかっていません。ただ、甕(かめ)や皿などの一般的な土器に比べて出土例が少ないこと、古墳の周辺から出土する例が目立つことなどから日常的に使用された土器ではなく、死者を弔う儀式や農作物の豊穣を祈る儀式で使う非日常的な土器ではないかと考えられています。

0241手焙形土器10241手焙形土器2

[写真1(左)]村前東A遺跡出土の手焙形土器

[写真2(右)]村前東A遺跡出土の手焙形土器(正面)※奥の底の部分が一部欠けています

村前東A遺跡では、竪穴住居跡の入り口付近(写真3)や柱の穴の中(写真4)から出土していて、住居を使わなくなった時やその後に行われた儀式で使用されたものと考えられます。また、手焙形土器は濃尾平野(愛知県・岐阜県)を中心に分布していることから、S字状口縁台付甕やパレススタイル壺などとともに当時の他地域との交流を示す土器のひとつであるとも言えます。

0241手焙形土器出土状況10241手焙形土器出土状況2

[写真3(左)]住居跡の入り口付近から出土した手焙形土器

[写真4(右)]住居跡の柱穴の中から出土した手焙形土器の破片

今回紹介した村前東A遺跡の手焙形土器は、山梨県立考古博物館の常設展示コーナーに展示されています。ぜひ、実物をご覧になってこの土器がどのように使われたのか想像していただきたいと思います。

 

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