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ページID:69716更新日:2017年3月14日
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曽根丘陵公園の遺跡
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立石遺跡って、どんな遺跡??立石遺跡は、遺跡トピックスNo.67でも紹介されていますが、甲府盆地の東南にある曽根丘陵で発見されました。旧石器時代や、縄文時代、弥生時代、古墳時代、古代など、様々な時代の遺物や遺構が確認されています。旧石器時代を除くいずれの時代でも住居の跡が発見されており、ここが日常生活の舞台であったことがわかります。 立石遺跡の旧石器の多くには黒曜石が利用されていました。ガラスのように鋭く割れるこの石材は、石器の素材によく適しています。遺跡トピックスNo.67では県内最古の石器が出土している点に着目して解説しましたが、今回はこの場所で旧石器時代の人が何をしていたのかに着目してみようと思います。 立石遺跡で発見された旧石器
所在地山梨県甲府市上向山町 時代旧石器時代、縄文時代、弥生時代、古墳時代、古代 調査主体山梨県埋蔵文化財センター 発掘調査期間昭和55年6月15日~12月30日
見つかった石器の種類に注目してみよう!旧石器時代は、狩りで使う槍の先端や、動物を解体したり、動物の皮や木を加工したりするため道具を石で作っていました。それらの道具は石を叩き割って作られています。 石器を作ったり、メンテナンスしたりするために石を叩くと、たくさんの石クズが散らばります。立石遺跡からは、この石クズの散らばりが3ヶ所発見されました。
この石器の散らばりを分析することで、旧石器時代の人がここで何をしていたのかを推測することができます。
立石遺跡で見つかった石器の散らばりには、どのような種類の石器が含まれていたのかをみてみましょう。 見つかった石器は、動物をしとめるのに使う槍の先端となるナイフ形石器と、石を打ち欠いたカケラである剥片の2種類だけでした。 この2種類の石器を、もう少し詳しくみてみましょう… 立石遺跡で見つかった石器の散らばり
槍の穂先になるナイフ形石器には、折れてしまったものがたくさんあります。完全な状態のものは、13点中5点だけです。 また、剥片の中には、ナイフ形石器の素材になるものなど、ナイフ形石器作りに関連するものが発見されました。
立石遺跡で、旧石器時代の人は何をしていたのかこの石器の散らばりは、狩りで使って折れてしまったナイフ形石器を新しく作ったナイフ形石器に交換し、槍を作りなおしていた時にできたものであることを物語っているのです。
たとえば、他の旧石器時代の遺跡からは、動物の解体や木材の加工に使われたと考えられる石器や、革をなめすのに使う石器なども発見されることがありますが、ここにそういった日常生活の香りのする石器がみあたりません。 グループを離れ狩りに出た数人の旧石器時代の狩人が、狩りの途中にこの場所で槍をメンテナンスしながら一夜を明かしたかのような石器の散らばりです。 旧石器時代の人たちの生活が、集落のようなひとつの遺跡だけでなりたっているわけではないことを知ることができる大切な遺跡です。 図3立石遺跡で発見されたナイフ形石器 次の遺跡トピックスへ|遺跡トピックス一覧へ|一つ前の遺跡トピックスへ
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