トップ > 組織案内 > 県教育委員会の組織(課室等) > No.508馬場平遺跡の水晶
ページID:93435更新日:2023年3月2日
ここから本文です。
甲州市の遺跡トピックス
|
令和元年8月から11月にかけて発掘調査を行った馬場平遺跡は、多摩川の源流の一つである柳沢川に面した遺跡です。この遺跡では、縄文時代とみられる水晶製石器の未製品、500点近い大量の水晶片が出土しました。 馬場平遺跡は甲府方面から柳沢峠を越えた国道411号沿いの柳沢川に面した河岸丘陵にあります。周辺には、黒川金山や水晶沢鉱山跡を抱える鶏冠山や竹森山など水晶の産地がたくさんあります。 山梨県内では、縄文時代にどんなところで水晶を使っていたのでしょうか?今回は、山梨県内で水晶が見つかった遺跡のうち、甲州市を中心にちょっとだけ紹介します。 馬場平遺跡遠景 甲州市の竹森山にある乙木田遺跡(おっきだいせき)では、縄文時代中期の水晶製石器を加工した住居跡が見つかっています。台石、叩き石、水晶石器、水晶原石・剥片のセットが見つかっています。竹森山は水晶の産地として有名で、集落内での自家消費だけでなく、重郎原遺跡や獅子之前遺跡、釈迦堂遺跡へ水晶の原石を供給していたのではないかと考えられています。 山梨市上コブケ遺跡では、約1.4kgの水晶がみつかりました。時期は、縄文時代中期ですが、上記の乙木田遺跡よりもちょっと後の時代になります。上コブケ遺跡で見つかった石器のうち28%が水晶製のものです。総数は562点(うち8点はやじり)、重さは1.4Kgにもなります。特に石棒、立石の配石遺構の周辺から出土しており、水晶石器の作成が祭祀を伴うものではないかと、報告書では推論されています。「遺跡トピックスNo.442上コブケ遺跡・石鏃」 今回の馬場平遺跡は、丹波山村からも近く、丹波山村の丹波川に面した高尾成畑遺跡でも水晶剥片が見つかっています。竹森山の水晶は草入水晶と呼ばれる独特なものですが、高尾成畑遺跡の水晶は竹森山産とは違って透明かつやや白色のものになります。 今回、馬場平で見つかった水晶は、剥片がほとんどで、水晶製石鏃の未製品が数点しか見つかっていません。白みがかったものや透明のものでした。また、黒曜石の石鏃も見つかっていますので、黒曜石が手に入らない環境ではなかったようです。 水晶だまりから見つかった水晶片(白みがかったものや透明なものが確認出来る。) 水晶は黒曜石に比べて非常に堅く、加工しにくい素材です。実用品であれば、加工しやすい黒曜石で十分なはずですが、わざわざ水晶を加工していることは、当時の非常に高い加工技術を示しているとともに、石器に実用品を超えた意義を持たせたのではないでしょうか。 水晶集中区の様子
水晶剥片の出土状況 馬場平遺跡の水晶は、3月14日から山梨県立考古博物館で開催される遺跡発掘展2020で公開します。また、3月14日に開催される2019年度下半期遺跡調査発表会でも報告を行います。 2019年度下半期遺跡調査発表会令和2年3月14日13時00分~15時00分
次の遺跡トピックスへ|遺跡トピックス一覧へ|一つ前の遺跡トピックスへ
|