ページID:127937更新日:2026年11月6日
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山梨県の水素政策は、再生可能エネルギーを使ったグリーン水素の製造・利用を広げ、脱炭素と新たな産業の育成を進める取組である。
甲府市米倉山の技術開発・実証に始まり、北杜市白州での大規模な製造設備の整備、県内企業による製造装置用の部材供給や施工・保守分野への参入へと展開してきた。(出典:県議会知事説明要旨)
長崎幸太郎知事は、研究成果を技術実証で終わらせず、実際に使われるエネルギーと県内産業の両面に結び付けることを重視している。2026年には国の価格差支援制度の活用、水素コンソーシアム「LIGHT」の設立、国際的な知見の集積(国際水素サミット)が進められた。(出典:県議会知事説明要旨)
| 項目 | 内容 |
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主要技術 |
再生可能エネルギーの電力からグリーン水素を製造するP2Gシステム。 |
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研究・ 実証の 基盤 |
山梨大学などの研究・評価機関と、甲府市米倉山での技術開発・利用実証。 |
| 事業化の担い手 |
やまなしハイドロジェンカンパニー(YHC、2022年設立)。 |
| 量産化(商用化)の拠点 |
都留市で整備が進むスタック量産工場(2029年度稼働予定)。 |
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供給・ 人材育成 |
2026年3月にYHC事業が国の価格差支援制度の認定を受けた。また、同年6月に水素コンソーシアム「LIGHT」を設立。(出典:令和8年9月県議会知事説明要旨) |
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目指す 方向 |
水素の地産地消と利用拡大、関連産業の地場産業化、良質な雇用と県民所得の向上。 (出典:2026-06-19所信) |
山梨県の強みとして知事が挙げるのは、山梨大学をはじめとする研究・評価機関の集積と、県内企業が持つ技術力である。
2020年2月の所信では、「やまなし水素・燃料電池バレー」の実現に向け、産学官金の連携による人材育成と企業間のマッチングを進める方針を示した。(出典:2020-02-17所信)
その後の所信では、技術開発から社会の中で使い続ける仕組みへと説明の重点が広がっている。
2026年2月には「グリーン水素を実社会で使われ続けるエネルギーとして確立する」との目標を示し、6月には、エネルギーの海外依存を背景とする危機への対応という観点からも、水素を核とした構造転換の必要性を述べた。(出典:2026-02-17所信、2026-06-19所信)
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世界の水電解装置の設置容量
資料:国際エネルギー機関(IEA)「Electrolyser installed capacity, 2021–2026」。世界の設置済み水電解容量。2026年の推計値は含めない。山梨県内の設備量や政策効果を示すものではない。 |
2021年9月の所信によると、県は2016年度からNEDOの委託事業でP2Gシステムの技術開発を進め、2021年6月には、米倉山で製造した水素を県内の工場やスーパーマーケットで利用する実証試験を開始した。(出典:2021-09-21所信)
同じ所信では、県と民間企業7社による事業のグリーンイノベーション基金事業への採択が報告された。
2021年度から2025年度までの計画として、システムの大型化・低コスト化と工場などへの導入を見据えた技術開発・実証を掲げ、総事業費は民間を含め約140億円、うち県が実施する事業は21億円規模と説明された。(出典:2021-09-21所信)
2022年には事業化を担うやまなしハイドロジェンカンパニー(YHC)が設立された。
米倉山などで得られた技術を県内外の工場での利用へと広げ、研究開発から継続的な事業運営へと移す取組が進められた。
(出典:山梨県・知事説明要旨)
2024年11月には、カナデビア株式会社が水電解装置の主要部品であるスタックの量産工場を都留市に建設することを決定した。
県内の研究・実証に量産機能を組み合わせ、関連産業の集積を進める一環として位置付けられている。
(出典:山梨県・知事説明要旨)
2025年2月の所信では、農業などでの利用を含む水素社会の将来像を具体化し、県が担う役割を明らかにする「水素社会実現戦略」を策定する方針が示された。
9月には、サントリー白州工場に米倉山の約10倍の製造能力を持つ拠点を整備することが説明され、施設を活用した事業拡大が掲げられた。
(出典:2025-02-13所信、2025-09-24所信)
2026年6月の所信において、知事は、同年3月にYHCの事業が国の価格差支援制度の認定を受けたと報告し、今後15年間にわたる安定供給の体制が確立したと説明した。
また、山梨大学などと連携する水素コンソーシアム「LIGHT」を6月10日に設立したと述べた。
(出典:2026-06-19所信)
国際水素サミットの開催時期については、2025年12月の所信で2026年4月の開催方針が示されていたが、2026年6月の所信では同年10月の予定と説明された。
都留市のスタック量産工場については、2029年度の稼働予定が示されている。
(出典:2025-12-04所信、2026-06-19所信)
2026年9月の所信では、白州の製造拠点は稼働したとし、県民所得への還元は今後の課題と述べた。
(出典:2026-09-25所信)
水素の地域利用を広げるには、設備の大型化だけでなく、工場や地域の利用者へ安定して水素を届ける供給網が必要となる。県は供給を継続する事業体制の整備と、国の支援制度の活用を進めている。
(出典:山梨県・知事説明要旨)
利用面では、2025年2月の所信で、地域の再生可能エネルギーからつくった水素を家庭のボイラー燃料として供給する将来像が示された。
その第一歩として、農業用ハウスをグリーン水素で加温する共同研究と、果樹試験場での栽培試験を行う方針が説明された。農業から他分野へ利用を広げ、地域単位のカーボンフリー化につなげる構想である。
(出典:2025-02-13所信)
県内企業の参入先は、水素の製造だけに限られない。
2026年6月の所信では、「部品・材料・設備・施工・保守」に至る供給網への参画を進める方針が示された。国内外で水素の製造・利用が広がる際に、それを支える装置や周辺業務を県内企業の事業機会にすることが、地場産業化の考え方である。(出典:2026-06-19所信)
国際水素サミットは、地方政府、企業、研究機関が集まり、水素の利用や社会実装に向けた国際的なルールづくりを議論する場として構想されている。
知事は、技術だけでなく、政策・産業・地域社会の連携を促す対話を重視し、各国での技術支援や人材育成にも協力する方針を示した。(出典:2025-12-04所信)
人材育成では、制度設計、運用、コスト管理、リスク対応など、実際の導入・運用で得られた知見を集めることを重視している。
その知見と県内の実装現場を結び付け、国内外の人材が学ぶ拠点を形成する方針であり、LIGHTによる知見の集積と人材育成も、この取り組みに位置付けられる。(出典:2026-02-17所信、2026-06-19所信)
2026年9月議会では、国内外の自治体、企業、研究機関が山梨に集う「富士ハイドロジェン・サミット2026」を、10月19日から21日まで北杜市で開催する予定が示された。
各地の実装経験を共有し、導入を妨げる課題や解決策を議論する場として位置付けられている。
(出典:令和8年9月県議会知事説明要旨)
併せて、県内企業の水素産業参入につながる低圧水素配管の標準化に向けた実証試験と、LIGHTによる人材育成を進めるため、2026年9月補正予算に2,800万円余が計上された。
県は、技術・人材・企業が集積する「知の拠点」の形成を目指すとしている。
(出典:令和8年9月県議会知事説明要旨)
米倉山で培った技術を白州での利用実証や関連企業の事業化へ広げたことは、研究開発から社会実装への政策展開に位置付けられる。
一方、県内企業の売上や雇用、県民所得への波及は、今後の事業展開とともに把握していく事項である。 (出典:令和8年9月県議会知事説明要旨)
今後の課題の一つは、企業が参入しやすい施工・運用環境の整備である。
2026年6月の所信では、低圧水素配管施工に統一的な技術基準が確立されていないことが参入障壁になっていると説明された。
県は関係団体などの意見を聞き、施工管理方法の効率化やコスト低減を検証し、標準化に向けて取り組む方針を示している。(出典:2026-06-19所信)
産業政策としては、工場立地や国際交流を県内企業の受注、雇用、所得へつなげることが目標とされている。
知事の説明では、水素利用の拡大に伴って生まれる関連市場を取り込み、県内企業が継続して事業を担う産業基盤を築くことが、県民の豊かさに結び付く道筋として示されている。(出典:2026-06-19所信)
・山梨県「令和8年9月県議会知事説明要旨」(2026年9月25日)
・2020-02-17 令和2年2月定例県議会 知事説明要旨