ページID:106942更新日:2022年12月14日
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リニア中央新幹線とは、東京都を起点に、甲府市付近、名古屋市付近、奈良市付近を主な経過地として、終点大阪市までを結ぶ新幹線のことです。時速500kmで走行する超電導リニアモーターカーにより、東京〜大阪間が約1時間で結ばれます。
リニア中央新幹線の導入により、東京〜名古屋〜大阪という大都市圏が一体化され、日本列島全体の時間的な距離も短縮。結果的に、経済社会活動の効率性を高める効果や、東京と大阪を結ぶ東海道新幹線の代替的なバイパスとしての役割があります。
リニアやまなしビジョンとは、リニアの開業を契機として、山梨県が国内外の多くの皆様の目的地として選ばれる県となるよう、リニアがある山梨が目指す姿を示しながら、その実現に向けた基本的な指針です。
リニア開業により、山梨県は東京圏や中京圏とのアクセスが飛躍的に向上し、劇的な時間短縮が見込まれます。しかし、駅が完成すれば多くの人が来る、ということは決してなく、ただ受け身の姿勢でいるだけでは、山梨県のリニア駅はただの通過駅となってしまうでしょう。
リニアがもたらすインパクトを最大限に取り込み、山梨県の発展に繋げていくためにも、山梨に来てもらえる理由づくりを着実に実行する必要がありました。
そこで、山梨県が持っていた課題を明確にし、リニアやまなしビジョンを策定して、各施策を着実に実行してまいりました。
山梨県には、「豊かな自然環境・地域資源に囲まれながら、大都市へアクセスしやすい立地環境」「他の中間駅に比較してビジネスしやすい環境」といった強みがある一方で、以下のような課題を持っていました。
リニア開業により、これらの課題・弱みが少しずつ解消されることが期待できます。
山梨県の一人当たり県⺠所得、生産年齢人口比率、有効求人倍率、最低賃⾦ともに、全国を下回る結果です。
また、完全失業率や、非正規雇用率は全国平均よりも高くなっており、結果だけで見ると、若者世代が「山梨県で就職したい」と思えるような環境が整っているとは、中々言えない状況でした。
日本全体の人口が減少しているのは皆様もご存じだとは思いますが、山梨県の人口減少は日本全体と比較しても、著しいスピードで進んでいます。推計値ではあるものの、2045年には、1995年と比較し約68%の数値(881,996人→598,935人)まで減少することが見込まれています。
また、全国平均と比較すると高齢化が進んでおり、生産年齢人口が減少している状況です。東京都・神奈川県・長野県・岐阜県・愛知県などのリニア沿線都県と比べても、高齢化率の伸びや老年人口の割合が高くなっています。
リニアやまなしビジョンにおける「目指す姿と実現に向けた取り組み」の内容を補完するために、山梨県に関連のある分野の実証実験等を実施している事業者や、大都市圏から地方進出している企業等にヒアリングを実施しました。
様々な意見を頂戴した中で、以下はその抜粋です。
参考リンク:リニアやまなしビジョン資料集③
上記は抜粋となりますが、山梨県は多くの事業者から注目されているものの、あくまで今後の可能性面としての展望が多く、地域特性を活かしたテストベッドの聖地化に向けて、更なる取り組みが必要です。
山梨県はリニアの実現に向けて様々な取り組みを行ってきました。
具体的には「テストベッドを突破⼝に最先端技術で未来を創る オープンプラットフォーム⼭梨」を掲げ、それを実現するための施策が「地域特性を活かしたテストベッドの聖地化」です。誘致ターゲットの選定、プロモーション活動、実証実験の環境整備と実施、実証実験から社会実装への移行などを進めております。
他にも、相乗効果を期待して取り組む施策も策定・実行しており、県民の皆さまが雇用の拡大・所得の向上をはじめとして、生活の豊かさを実感できるよう、施策を積極的に展開しています。
山梨県では、リニア開業にあたり、国の防災バックアップ機能を誘致するとともに、本県自身の防災力を強化し、県民の安全・安心の確保、企業立地の促進に繋げていきます。
日本は災害の多い国土として知られていますが、中でも、首都圏における政治、行政、経済等の中枢機能への深刻な影響をもたらすとされる首都直下地震は、30年以内の発生確率が70%程度とされています。また、静岡県沿岸部を中心に超広域かつ甚大な人的・物的被害が発生し、東海道新幹線や東名高速道路等の国土における重要インフラの寸断も危惧される南海トラフ地震は70~80%と、大規模地震がいずれも高い確率で予測されています。
他にも、世界文化遺産である富士山において、大規模な噴火の可能性が指摘されています。
リニアは、構造上車両の脱線がなく、停電時に隣接する変電所からも給電可能であるなど災害に強いシステムです。構造物は最新の耐震基準に準拠して設計・建築され、更に路線の大半を占めるトンネルや地下空間は、地震時の揺れが小さく、災害に強い特性があります。
そのため、東京圏に集中する人口及び企業の中枢機能等の分散や、首都機能をはじめとする中枢管理機能のバックアップ体制の整備等に寄与できると考えられます。
リニアは航空機に匹敵する高速交通機関であり、リニアを通じて本県と国内各地、更には海外との結びつきが強化されます。また、リニア駅は甲府中央スマートICにより中央自動車道と直結し、高速道路ネットワークとも接続します。
リニア駅は山梨県の新たなゲートウェイとなるとともに、他県を含めたより広域的なゲートウェイとしての役割も持つことから、これを踏まえて、必要となる交通結節機能などを整備する必要があります。
具体的には、公共交通ロータリー、⼀般⾞ロータリー、バス・タクシー乗降場、駐⾞場、駐輪場など、円滑な移動や乗り換えができる交通結節機能の整備や、県内交通ネットワークの充実、5G環境の整備を進めている状況です。
山梨県ではリニア開業を機に、本県が国内外の皆様の目的地として選ばれるため、令和2年3月に策定した「リニアやまなしビジョン」で目指す姿として、テストベッドを突破口に最先端技術で未来を創るオープンプラットフォーム山梨を掲げました。
目指す姿の実現に向け、令和3年度より、最先端技術やサービスを有するスタートアップ企業等に対し、山梨県全域において実施する社会実証プロジェクトを全面的にサポートする「TRY!YAMANASHI!実証実験サポート事業」を実施しています。
最先端技術の実証実験を行うテストベッド(実際の運用環境に近い状態で先端技術の実証実験を行う「場」のこと)の聖地・山梨県として、全国のスタートアップ企業等からのプロジェクト提案を募集しています。
また、テストベッドに関わる支援策として、山梨県では具体的に以下のような支援を充実させています。
【支援策の例】
参考リンク:テストベッドに関わる支援策
山梨県では、全国1位のぶどう、ももの生産量、清冽で豊富な水、全国有数の長い日照時間、水素・燃料電池や、新たな蓄電システムに関する技術の先進地、日本トップレベルの健康寿命などの地域資源や強みを活かして、すでに様々な分野の実証実験が行われています。
【テストベッドの事例】
参考リンク:テストベッドの事例紹介
山梨県では、リニア開業に向けて、今後も「リニアやまなしビジョン」に基づき、最先端企業等を本県に誘致するための活動を展開してまいります。また、山梨県の防災力強化にも資する国の防災拠点の補完施設の誘致の検討なども含め、リニア開業効果の最大化に向けた取り組みをオール山梨で進めてまいります。
県民の皆様をはじめ、関係団体、市町村の皆様には、本ビジョンの推進にあたり、より一層の御協力を賜りますよう、心からお願い申し上げます。
また、リニア中央新幹線の最近の動向につきましては、以下のページでもご紹介してますので、ぜひ併せてご参考ください。
参考リンク:リニア中央新幹線の動向
参考リンク:リニア未来創造・推進課からのお知らせ