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ページID:107277更新日:2023年1月5日

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防災に向けたインフラ整備の取り組み|国と山梨県の災害対策を解説

日本は災害の多い国土を持っているため、国を挙げて防災に向けたインフラ整備を行う必要があります。また地方自治体も、現地の状況に合わせた防災対策を進めています。

当記事では、国や山梨県が行っている防災対策について解説します。インフラ整備は治水や交通、電力供給など、国民や県民の皆様の生活に深くかかわるものです。社会システムを維持するために行われる防災対策を知り、日々の安全な暮らしを見直すきっかけにしてください。

 

国が行う防災とインフラ整備の取り組み

防災対策として、国は「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策」を行っています。この取り組みは、2021年度から2025年度の5年間で、以下の分野のさらなる加速化・深化を集中的に行うものです。

  • 激甚化する風水害や切迫する大規模地震等への対策
  • 予防保全型インフラメンテナンスへの転換に向けた老朽化対策の加速
  • 国土強靱化に関する施策を効率的に進めるためのデジタル化等の推進

出典:内閣府「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策 概要」

日本では近年、気象災害の激甚化・頻発化や老朽化した建物の加速度的な増加、災害リスク地域への人口の集中化といった社会課題が顕在化しています。上記の取り組みは、そうした災害や課題から国民の生命・財産を守り、社会のシステムを維持するためのものです。

ここからは、国が行う防災インフラ整備の取り組みの具体的な内容や実例について紹介します。

出典:国土交通白書 2021「2 災害リスクの増大や老朽化インフラの増加への対応」

出典:内閣官房「国土強靱化」

 

流域治水の推進

「流域治水」とは、河川管理者が行う治水対策のみならず、氾濫域を含む河川流域全体のあらゆる関係者が協働し、流域全体の水災害を軽減させるための治水対策のことです。国は、気象災害によって実際に大きな被害を受けた水系に加え、全国の一級水系などにおいても、河川整備や雨水貯留浸透施設の整備といった事前防災対策を進めています。

また、流域治水を推進するにあたっては、対策と実施主体を見える化し、対策のロードマップを示すとともに、あらゆる関係者が協働するための体制づくりを進めています。

流域治水にあたっては、治水ばかりでなく環境との両立を図る「グリーンインフラ」を推進しているのもポイントです。グリーンインフラでは、地域の自然環境と調和する景観の形成や、生物の生息環境の保全などにも配慮しています。

出典:国土交通省「流域治水プロジェクト - 国土交通省水管理・国土保全局」

 

交通・物流の機能確保

災害に強い交通体系の確保も、国が行う防災・インフラ整備の1つです。鉄道や港湾、空港などの耐災化や、災害時に救援・復旧活動・事業継続するための緊急輸送体制の確立を図り、交通体系の多重性・代替性を確保します。これは、交通機関を利用する国民の安全確保に直結する取り組みです。

また、地震対策として無電柱化を推進し、地震発生時の電柱倒壊によって緊急車両等の通行が妨げられるトラブルを回避することに取り組んでいます。

災害に強い物流システムを構築することも、防災・インフラ整備において重要な要素です。東日本大震災では、災害時の円滑な支援物資物流を確保する上で、民間物流事業者のノウハウの重要性が認識されました。国は、災害発生時に物資拠点として活用できる民間物流施設のリストアップや、官民の連携体制および協力体制の構築などを全国的に推し進めています。

出典:国土交通省「国土交通白書 2016」

 

津波対策

津波に対しては、構造物による施設整備を行い、人命と財産の両方を守ることが不可欠です。津波に対する防災施設としては、海岸堤防、津波防波堤、水門・陸閘、津波・高潮防災ステーションの4つが挙げられます。

また、東日本大震災の津波被害を踏まえて、最大クラスの津波に対しては、多重防御によって被害を最小限に抑える減災対策の考え方を進めるようになりました。なお、比較的頻度の高い津波に対しては、引き続き海岸堤防の整備をすることで対策を進めています。

人命を守るためには、津波そのものへの対策のみならず、地域での津波防災も不可欠です。具体的には、避難路や避難に関わる施設の整備、津波ハザードマップの作成、津波防災訓練や防災教育の実施、津波避難計画の作成などに取り組んでいます。

出典:国土交通省「4. 津波は防げるの?:海岸 - 国土交通省水管理・国土保全局」

出典:内閣府 防災情報のページ「地域での津波防災の取組事例」

 

インフラ老朽化対策

インフラの老朽化対策は、地域防災力の維持・向上にもつながります。しかし今後、建設から50年以上が経つ老朽インフラが加速度的に増加する見込みです。国は、インフラに不具合が生じてから対策を行う事後保全ではなく、不具合が生じる前に修繕などを行う予防保全を推進しています。

重要インフラの機能維持にあたっては人的資源の不足が懸念されるため、インフラメンテナンス国民会議による多様な主体との連携や、新技術導入を促進するなどの取り組みも行っていきます。

出典:国土交通省「国土交通白書 2021」

 

山梨県が取り組むインフラの災害対策

山梨県は豊かな自然に囲まれている一方、脆弱な地質や急な坂・斜面が多い特徴があります。近年、地震や気象災害などによるリスクが増大する中、山梨県ではインフラ防災としてさまざまな取り組みを行っています。

山梨県が取り組む代表的なインフラの災害対策は、「災害に強い県土づくり」と「電力供給体制の強靱化」の2つです。ここからは、それぞれの災害対策事例について詳しく解説します。

 

災害に強い県土づくり

山梨県では、増大する自然災害リスクに備えるため、県土の強靱化対策を進めることを重要な課題としています。災害に強い県土づくりに向けて特に重視しているのは、道路ネットワークの強靱化と流域治水による水災害対策です。

2019年の東日本台風では、山梨県と首都圏を結ぶ主要な道路・鉄道などが土砂災害によって寸断され、県民の生活に深刻な影響を及ぼしました。山梨県はその経験から、国や沿線自治体などに呼びかけて「東京~山梨・長野 交通強靱化プロジェクト」を設立しました。

「東京~山梨・長野 交通強靱化プロジェクト」では、東日本台風で露呈した道路ネットワークの脆弱性について検証し、国や隣接都県市との課題共有や会議を進めています。

出典:山梨県「東京~山梨・長野 交通強靱化プロジェクト」

出典:山梨県「東京~山梨・長野 交通強靱化プロジェクトについて」

国が行う防災とインフラ整備の取り組み

また山梨県では、水災害に対しても強靱化を図るべく、流域治水による水災害リスクの軽減を図っています。「流域治水検討会」を設置して会議や検討を重ね、河川改修や堤防強化対策などに取り組んできたのも、流域治水による水災害対策の一環です。

国が行う防災とインフラ整備の取り組み2

出典:山梨県「防災・減災、県土の強靱化(概要)」

 

電力供給体制の強靱化

電力はライフラインの中でも特に重要なものの1つです。しかし、令和元年の房総半島台⾵では、強風による鉄塔・電柱・電線の損壊などによって、千葉県を中心に約93万⼾に停電が発生しました。電力の復旧には約2週間を要し、住民の生活に重大な影響が発生しました。

災害が発生した際に、重要なライフラインである電力の供給を確保することは不可欠です。山梨県では、「電力供給体制強靱化戦略」を策定し、電力供給体制の強靱化に向けた取り組みに注力しています。

電力供給体制強靱化戦略の具体的な取り組みは以下の通りです。

  • 災害による電力供給インフラ被害の最小化
    2019年の房総半島台⾵における大規模停電の主な原因は、倒木等による二次被害でした。そのため、倒木の恐れのある樹木の事前伐採や飛来物の防止対策の実施などを進め、災害時の電力供給インフラ被害を最小化に抑える対策を進めています。また、電線類地中化事業にも取り組んでおり、電柱や電線の損壊による停電を予防しています。
  • 災害による大規模停電からの早期復旧
    大規模停電が発生したときに備えて、早期復旧できる仕組みの構築が不可欠です。山梨県では、大規模停電発生時の情報収集体制の強化や電力設備の復旧工事への支援・協力、応急電源の確認といった備えを進めています。
  • 災害に強いエネルギーシステムの導入
    住宅用太陽光発電や蓄電池等の災害に強いエネルギーシステムや、大規模停電が発生した際に使用できる電源を準備しておくことも、災害対策において重要です。山梨県では、避難所や防災拠点などへの非常用電源の導入を推進するなどして、大規模停電に備えています。

出典:山梨県「山梨県電力供給体制強靱化戦略の概要」

出典:山梨県「山梨県における 電力供給体制強靱化の取り組み」

 

まとめ

自然災害の多い日本では、防災のために「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策」を国主導で進めています。流域治水や津波対策、インフラ老朽化への対応など、備えるべき事柄は多数あります。

各自治体においても、その地域が抱える特性に合わせた対策を行うことが大切です。山梨県は山々に囲まれた地形を持つため、道路の寸断や倒木の影響による停電、さらに水災害にも備えています。今後も山梨県は防災のためのインフラ整備を進めてまいります。

 

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