ページID:128327更新日:2026年11月6日
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山梨県の人口減少は、出生数の減少や若年層の県外転出、人口の高齢化などが重なって進む長期的な課題である。
県の人口は2000(平成12)年の88万8,172人をピークに減少し、2025(令和7)年の国勢調査確定値では77万9,276人となった。人口の縮小は、産業の担い手、地域交通、医療・介護、教育などのサービスの維持にも関わる。[3][13]
県はこれまで、結婚・出産・子育て支援、雇用創出、移住・定住などの施策を積み重ねてきた。
2023(令和5)年6月の「人口減少危機突破宣言」と人口減少危機対策本部の設置を転機に、人口減少を、若者がどこで学び、働き、暮らし、将来を描くかという選択に関わる、県政全体の構造的課題として捉え直した。
国等の専門家との調査研究を政策形成に取り入れ、所得向上、働き方改革、ケアラー支援など、家庭を取り巻く社会・職場環境の改善へと対策を広げている。[6][7][13]
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1.基本情報 2.人口減少の背景 3.政策の経緯 5.主な取組と実績 6.最近の動向 8.用語 9.関連項目 |
| 対象 | 出生数の減少、人口の自然減、若年層の転出超過、人口の高齢化、 地域の担い手・生活サービスの維持。 |
| 取組の基盤 | 2015年の人口ビジョン策定以来、雇用、移住・定住、 結婚・出産・子育てなどを分野横断で推進。[1][2] |
| 政策形成の転機 | 2023年6月の人口減少危機突破宣言・対策本部設置と、 10月の知事直轄の本部事務局設置。専門家との調査研究に基づく政策形成を強化。[6][7] |
| 長期的な指針 | 「山梨県人口ビジョン2.0 ~やまなし未来幸甲斐図2025~」(2025年度公表)。[1] |
| 分析と施策形成 | 国等の専門家との調査研究、企業・従業員調査、プレコンセプションケア、 25指標を用いた市町村分析、県職員による伴走支援。[13][14][15] |
| 二つの政策方向 | 出生数減少・若者流出をできる限り緩和する取組と、 人口減少下でも地域の生活機能を維持する「適応」の取組を並行して進める。[11][12] |
県の人口は2000年をピークに減少に転じ、2005年以降の国勢調査で5回連続して減少した。
2025年の人口77万9,276人は、2000年より10万8,896人少ない。
2025年時点では15歳未満人口が全体の10.4%、65歳以上人口が32.4%となっており、人口規模だけでなく年齢構造も変化している。[3]
人口の増減には、出生・死亡による「自然増減」と、転入・転出による「社会増減」がある。
出生数は2014年の6,063人から2025年の4,016人へと減少した。2025年の合計特殊出生率は1.23で、全国の1.14を上回っているものの、出生数の減少は続いている。
結婚・出産・子育てへの支援に加え、若い世代が希望する生活を実現できる条件を整えることが重要となる。[20]
山梨県常住人口調査の県外移動(国外との移動を含む)では、2021年以降5年連続で転入超過となった。2025年(2024年10月~2025年9月)は転入19,356人、転出18,304人で、差し引き1,052人の転入超過となっている。[21]
一方、総務省の住民基本台帳人口移動報告のうち、国内の都道府県間移動をみると、2025年(1~12月)は転入15,076人、転出15,938人で、差し引き862人の転出超過となった。
2021年・2022年・2024年には転入超過となっており、2019年以前と比べて転出超過の規模は縮小している。[19]
また、県の常住人口調査による2025年の20~24歳の転出超過は1,480人で、このうち女性が1,059人と約7割を占める。
社会移動全体の変化だけでなく、進学・就職期の若年女性が地域を離れる事情に着目し、希望する仕事や暮らしを県内でも選べる条件を整えることが、引き続き重要な課題となっている。[21]
人口減少への対策は以前から続いており、県は2015(平成27)年に人口ビジョンを策定して、移住・定住、雇用、結婚・出産・子育てなどの施策を展開してきた。
一方、人口減少の背景を理解するためには、支援制度や相談機会の整備に加え、若者が県外に進学・就職する理由、希望する生活と現実の働き方・所得・住環境との間にある隔たりなど、個々の選択を左右する事情を把握することが重要となる。[1][2][13]
県はこうした問題意識の下で、人口減少を特定の施策分野だけでは捉えきれない課題として位置付け、出生・移動という結果の背景にある、暮らしの選択肢とそれを制約する条件に着目している。
子育て支援制度を整えることに加え、制度が職場で利用しやすいか、所得や住まいの条件が将来設計を支えているかまで掘り下げ、地域や対象者に応じた施策を設計する方向へと、政策形成の視点を広げている。[5][7][13]
人口減少対策は、子育て・保育の基盤整備から教育・移住等への展開を経て、要因分析と政策立案・実施を一体で進める取組へと、対象と手法を広げてきた。

2019年6月の県議会で、長崎幸太郎知事は若年層、とりわけ若年女性の定着やU・Iターンを重要課題とし、女性が働きやすい環境づくりを示した。
2022年9月には、若者が将来の生活を見通しにくいことに着目し、良質な雇用や賃金・所得の向上を人口政策に結び付けた。
人口の増減に直接働きかける施策と併せて、山梨で暮らし続ける選択を可能にする経済的・社会的な条件を整える考え方が示された。[4][5]
2023年6月、県は「人口減少危機突破宣言」を発表するとともに、人口減少危機対策本部を設置した。
7月には27市町村、企業・団体などと共同宣言を行い、「オール山梨」で取り組む体制を整えた。
10月には知事直轄の「人口減少危機対策本部事務局」を設置し、部局横断の調整と、市町村・企業等との連携を強化した。[6][7]
同年12月には、山崎史郎内閣官房参与(当時)ら人口減少問題の専門家と連携し、本県を実証フィールドとして、働き方・雇用改革、プレコンセプションケア、地域力向上を対象とする調査研究を進めることが説明された。
人口減少を職場、家庭、地域の条件が相互に関わる問題として分析し、実態把握を施策の設計と検証に結び付ける取組が具体化した。[7][13]
2024年6月には、「よりそう」「かなえる」「はぐくむ」の三つの柱からなる人口減少危機対策パッケージを策定し、個々の生活段階を通じた総合的な対策を体系化した。
県民との意見交換や市町村の政策形成支援も進め、2025年度には「山梨県人口ビジョン2.0」を公表した。[1][9]
住環境と出生率の関係についても調査が進められ、2025年2月には良好な住環境と出生率との間に正の相関がみられることが判明した。
県はこの結果などを踏まえ、子育て世代の住環境や若者の所得・雇用の改善に重点を置いた。[10][13]
2026年2月、知事は「人口減少時代の地域再設計」を掲げ、出生数の減少や若者流出の緩和を目指すと同時に、人口が減り続ける間も地域の生活機能を守る必要性を示した。
「スマートシュリンク」は、交通や行政サービスなどを人口規模に合わせて再設計し、限られた人材や財源を生かして生活の質を維持・向上させる考え方である。[11]
2023年10月から2026年3月にかけて実施された「人口減少対策に関する調査・研究プロジェクト」は、国等の専門家グループと連携し、働き方、健康、地域特性という三つの観点から、人口減少の要因と政策上の課題を整理した。
特徴は、制度の有無や事業の実施状況を確認するだけでなく、支援が実際に利用される条件、県民や企業の意思決定、地域によって異なる制約を調べ、誰にどのような取組が必要かを具体化しようとした点にある。
2026年5月に最終報告書が公表され、県はその成果を施策の検討に活用している。[13][14]
県内企業約6,500社を調査対象とする企業・従業員調査などを通じ、柔軟な勤務制度や育児との両立支援の導入・運用状況を調べた。
最終報告では、企業が取組の必要性を理解していても制度の整備や運用には差があること、制度の存在だけでなく、職場で利用しやすいかどうかも生活設計と関連していることが示された。
子育て支援を、保育サービスの供給だけでなく、就業環境の改善という観点から捉える分析である。[13][14]
若年層向けのセミナー、健康に関する情報提供、健診などを通じて、健康状態やライフプランに関する知識と利用上の課題を調べた。
妊娠・出産の有無を個人が自由に選択することを前提に、健康面の障壁となり得るものを早期に把握し、希望する将来設計につなげる取組である。[13][14]
市町村別に25指標から「合計特殊出生率に影響を及ぼす5つの地域力(働く力、にぎわい力、移住・定住力、子育て基盤力、家族の協働力)」を可視化し、人口減少に関わる課題や強みを整理した。
分析結果を県内全市町村に説明し、担当者との対話につなげている。
県平均だけでは分からない住環境や産業、生活条件の違いを施策に反映し、市町村ごとに異なる「処方箋」を検討するための基盤となっている。[13][14]
働き手の技能向上、企業の収益向上、賃金への還元を一体で進める「豊かさ共創スリーアップ」は、若者が県内で生活や家族形成の見通しを持てる所得・雇用環境づくりにつながる取組である。
県庁での男性職員の育児休業取得を促す「育休革命」や、仕事と介護の両立を支えるケアラー支援も進めている。
家庭だけに負担や努力を求めるのではなく、家庭を取り巻く社会や職場の条件を変えることを、人口減少対策の重要な柱としている。[12][18]
県は、市町村別のデータ分析、先進的な取組への支援、県と市町村による共創モデル実証などを進めている。
2026年5月には市町村コンシェルジュによる伴走支援を開始し、県職員が地域の事情を聞き取り、庁内調整や施策の具体化を支えている。
国の専門家の知見、県の調査・調整機能、市町村の現場での取組を結び付ける、国・県・市町村の三位一体の推進体制として、分析から実行へつないでいる。[12][15]
県独自の「2040年就業構造推計」については、2026年5月に実施方針が示された。
産業別・職種別の労働需要と人口構成に基づく労働供給を推計し、人材需給の過不足を可視化したうえで、産業・教育・雇用の施策を連携させる構想である。[12][16]
2026年5月の調査研究最終報告を受け、9月18日の人口減少危機対策本部会議では、関係部局による施策化の状況が報告された。
仕事と子育ての両立支援を実際の職場で検証する取組、若い世代の健康・ライフデザイン支援、市町村のデータ活用支援などが、関連事業として整理されている。[17]
同年9月県議会では、18~29歳の若者の幸福度や地域満足度、若年女性の県外流出を踏まえ、若者が「学ぶ」「住まう」「興す」際の支援が示された。
また、県内企業の両立支援制度と運用実態の差を調べ、働きやすい職場環境の形成につなげる方針が説明された。就職・進学・転職時の新生活費用の支援や県営住宅の活用などは、同議会で提案された施策である。[18]
人口減少と若年女性の県外流出は、引き続き重要な課題である。
県は、社会移動にみられる変化と残された課題を踏まえ、調査で把握した働き方、所得、住環境などの問題を具体的な施策に結び付け、その実施状況を確かめながら改善を重ねる方針である。
国・県・市町村に加え、企業や団体、県民と連携し、人口減少の緩和に取り組むとともに、人口減少下でも暮らしを支える地域づくりに向けた検討や市町村への支援を進めている。[11][13][17]
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山梨県の人口の推移(国勢調査・1995~2025年)。2000年の88万8,172人から2025年の77万9,276人へ減少した。各年の国勢調査結果を用い、2025年は確定値。 |
県の系列は国外を含む県外移動、国の系列は国内の都道府県間移動を示す。集計期間も異なるため、それぞれの統計の中で推移をみる。
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山梨県常住人口調査による転入超過数(2014~2025年)。国外を含む県外移動の差し引き。2021年以降は転入超過が続き、2025年は1,052人の転入超過。各年は前年10月1日~当年9月30日。 |
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住民基本台帳人口移動報告による転入超過数(2014~2025年)。国内の都道府県間移動の差し引きで、日本人・外国人を含む。各年1月1日~12月31日が対象。2025年は862人の転出超過。国外との移動は含まない。 |
注:両図ともプラスは転入超過、マイナスは転出超過。集計期間・対象が異なるため、2つの数値の差が、そのまま国外移動の差し引きを表すものではない。
1. 山梨県「人口ビジョン」(2015年人口ビジョン、2025年人口ビジョン2.0)
2. 山梨県「山梨県まち・ひと・しごと創生人口ビジョン」(2015年)
3. 山梨県「令和7年国勢調査 人口等基本集計結果(山梨県の概要)」(2026年10月16日、確定値)
13. 山梨県「人口減少対策に関する調査・研究プロジェクト最終報告書」(2026年5月)
14. 山梨県「人口減少対策に関する調査・研究プロジェクト最終報告〈概要版〉」(2026年5月29日)
15. 山梨県「市町村に対する人口減少危機対策の伴走支援」(2026年5月29日)
16. 山梨県「山梨県版2040年就業構造推計の実施と人材戦略の策定について(案)」(2026年5月29日)
17. 山梨県「人口減少対策に関する調査・研究プロジェクト最終報告書を踏まえた施策化の状況」(2026年9月18日)
18. 山梨県「令和8年9月県議会知事説明要旨」(2026年9月25日)
19. 総務省統計局「住民基本台帳人口移動報告 年報(実数)」(2014~2025年、外国人を含む)
20. 厚生労働省「人口動態統計」(出生数:2025年確定数、合計特殊出生率:2025年月報年計・概数)
22. 山梨県「知事定例記者会見(令和5年2月17日)」〔新たな任期の初日に当たって〕