JR中央線の速達性・利便性の向上
中央線の本県における位置づけ
JR中央線は、本県と首都圏を結ぶ唯一の幹線鉄道であり、本県の活性化、観光振興、企業立地等を図る上で、高速化や利便性向上の推進は不可欠なものとなっており、県としても従前から継続的な取組みを実施しています。
特に県中西部地域においては、東京圏への通勤・通学が困難な状況にあることから、人口流出に伴う定住人口の減少が県の活性化への負の要因となっていることが危惧されています。
JR中央線の課題
【高速化及び輸送力強化:速達性向上】
常磐線の特急ひたちの表定速度(水戸~東京間 最速)が時速100.9km(R5.4時点)など、在来線において高速化が進展する中、JR中央線の甲府~新宿間の表定速度(最速)は時速88.4km(R5.4時点)であり、H12の運輸政策審議会答申第19号で目指す時速100kmに及ばず、大きく改善を図る必要がある。
【利便性の向上】
- 早朝深夜に利用できる特急列車の設定がなく、東京圏への通勤・通学の利用が限定的となっている。
- 定住人口の確保の点から、東京圏への通勤通学ができるようになる通勤通学用快速列車(所謂E電)の甲府までの延伸、割引特急料金制度の導入等の利便性向上策が必要である。
- 大月駅以西に快速列車の設定がないことや、甲府・新宿(東京)間を直接繋ぐ普通列車の設定がないことから、東京圏への速達性が低く、また、乗継ぎが必要で不便である。
- 甲府・東京駅間の始発終着の特急列車が少ないため、各地から列車が多く発着する東京駅への接続が悪く(乗継ぎ回数が多い)、利便性が低い。
- みどりの窓口の営業終了時間が早いことから、学生等が便利に定期券購入、チケット等を購入できない。
これまでの取り組み
高速化及び輸送力強化:速達性向上
- 平成10年度にJR東日本コンサルタンツに調査委託し、改良案別の事業費を算定、また、この結果を踏まえ、平成11年度に三菱総合研究所に調査委託し、経済効果を測定した。
- 平成13年度及び平成19年度には、県民意識調査を実施した。
- H20.1に「中央東線高速化促進広域期成同盟会」を設立し(令和6年度に「中央東線高速化促進・定時性確保広域期成同盟会」に改称)、国及びJR東日本に対する要望活動を実施。
利便性の向上
次の利便性向上策について、高速化の取り組みと併せて、中央東線高速化促進・定時性確保広域期成同盟会を通じて、国及びJR東日本に対して要望活動を実施している。
◯要望事項(山梨県関連項目)
- 早朝(深夜)特急列車の新設
- 東京駅始発終着の特急列車の増発
- 携帯電話不感地域解消の一層の推進
- 身延線など他線との接続改善
- 普通列車の増発、通勤通学用快速列車の甲府までの延伸
- みどりの窓口の営業時間延長
- 割引特急料金制度の導入
- 駅舎改修およびバリアフリー化の積極的な取り組み
鉄道駅のバリアフリー化については、沿線市町村が実施主体のJR東日本に対して費用負担する場合には、その負担額の2分の1(上限額:30,000千円)を助成している。
~鉄道駅バリアフリー化設備整備の支援
これまでの成果
近年の主な成果は以下のとおりです。
携帯電話不通区間の解消
- 塩山・高尾駅間において、携帯電話が不通となるトンネルがあり、不便となっている。
>> 2,000メートル以上の長大トンネル全5本においては、H25.6笹子トンネルをもって完了した。
>> 令和4年3月までに甲府駅以東の携帯電話不通区間について解消された。
Suica対応自動改札機の設置
- チャージ式で、利用の都度切符購入する必要がないなど利便性の高いSuicaが、新府駅以西では利用できないことから利便性が低い。
>> 平成25年4月より、松本駅までの主に利用者が多い駅でSuica対応自動改札機が設置された。
平成28年12月2日、JR東日本より山梨県内の全ての駅でSuica対応自動改札機が設置されることが発表
された。また、小淵沢駅、長坂駅では、Suica 定期券の発売や払いもどし、再発行サービス等、全ての
Suica サービスが利用可能となる。
新型特急車両の導入
>> 中央線特急列車の新型車両の統一について
今後の対応策
- 高速化及び輸送力の強化については、長期的な課題として引き続き、国及びJR東日本に対して要望活動していきます。
- 通勤通学用快速列車甲府延長、特急定期券導入等利便性向上に関しては、実現可能性調査(H23、H24)を実施、これを踏まえたJR東日本との協議、同盟会を通じた要望活動など、早期実現に向けて取り組んでいきます。