「昔覚ゆる甲府城-築城技術と甲州石工文化-」展の開催
平成2年度からはじまった舞鶴公園城整備事業により復元・修復・修理された石垣に焦点をあわせて、その技術的な資料や新知見を中心に、石工道具やこれらにかかわる出土遺物の展示を通じて、築城技術と甲州の石工文化の歴史について紹介します。
期間:平成22年4月9日(金曜日)から4月18日(日曜日)
開館時間:午前9時~午後5時(但し、入場は4時30分まで)(9~10日は午後8時まで開館)
会場:舞鶴城公園稲荷櫓(入場無料)
お問い合わせ先:山梨県埋蔵文化財センター(Tel:055-266-3016)
記念講演会『甲州石工の歴史と技術-仏塔石工から-』
4月11日(日曜日)午前10時30分から正午
場所:恩賜林記念館2階大講堂(入場無料)
講師:甲斐石造美術研究会主宰・仏塔石工川口優一氏
![0225石工さん](/images/29042/0225-1.jpg)
展示概要とみどころ
甲府城は、築城以来約400年の間に詰石が抜けて栗石が出てしまったり、石材が破損してしまったりしています。そうした状況から安定させるための補修や補強を現在行っています。石垣の崩壊を防止するなどの安全性を向上させながら、文化財である現在の景観を極力維持するために実施しています。しかし、こうした技術は、職人の高齢化や減少などに伴い危機的な状況にあります。
私たちの甲府城を未来に継承するための技術としての石工を、石垣や石造物といった遺構や遺物、道具や文献などの資料を通じ、いにしえの甲州石工文化の足跡に思い巡らせ、技術の継承について考える機会となることを願っております。
県内主要城郭石垣パネル・・・甲府城や躑躅ケ崎館、勝山城など。
甲州石工関連史料・・・御用職人など江戸期の史料を中心に紹介します。城内出土の石工道具と石造物・・・甲府城築城や修復などにかかわる道具や旧一蓮寺に由来する石造物を公開。
ハンズオンコーナー(石工さんの道具に触れてみよう)・・・石を割ったり、加工したりする道具はいろいろな種類があります。
石工関連道具・・・明治から昭和にかけて使用された石工の道具とその道具を調整した鍛冶の道具を展示します。
城内出土の石造物
展示予定資料の一部を紹介します。
甲府城築城以前には一蓮寺がありました。築城にあたりお寺は移設されましたが、幾つかの石造物そのまま残されたようです。出土した石仏は全て破損しており、完全な形のものはありませんでした。他の城郭のように石垣に利用されたものはありませんでしたが、大部分が人質曲輪から発見されており、ある目的で集められ一括して廃棄された可能性があります。甲府城の本丸には石切場も存在しており、製作・加工との関わりも考えられますが、甲府城以前の土地利用を示す貴重な資料です。立方体の塔身には、金剛界四仏が梵字で刻まれ、その部分に金泥が施されており、高貴な方の供養に用いられた可能性もある格式の高さが窺われます。こうした資料から当時関わった無名の石工たちの手仕事の姿も垣間見ることができます。
![0225城内出土の石造物](/images/29042/0225-2_1.jpg)
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