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ページID:44655更新日:2017年5月22日
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笛吹市の遺跡
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身洗沢遺跡では、水田跡と水田耕作に使用した木製農耕具が出土しました。今週の遺跡トピックスでは、出土した木製農耕具に注目して、日本文化を支えた米作りに関する道具の今と昔を紹介します。 身洗沢遺跡について遺跡の所在地:笛吹市八代町南字身洗沢 主な時代:弥生時代~古墳時代 主な遺構:水田跡・谷 参考報告書:『身洗沢遺跡・一町五反遺跡』山梨県埋蔵文化財センター調査報告書第55集1990年 関連トピックス:No.0081身洗沢遺跡-田んぼと木製品- 身洗沢遺跡から出土した木製農耕具の概要
身洗沢遺跡では、水田跡から又鍬や鍬の未成品、エブリの未成品、農具の柄などが見つかっています。鍬・又鍬は土を耕す道具で、エブリは耕した土を均す道具です。 (写真左上:又鍬右上:鍬の未成品左:エブリの未成品) 身洗沢遺跡の農耕具に使われた木身洗沢遺跡で出土した農耕具にはどのような木材が使われたのでしょうか。 遺跡から出土する木製品の木の種類を特定するためには、木の組織を顕微鏡で観察し、その特徴を見出す必要があります。この作業を「樹種同定(じゅしゅどうてい)」といい、専門の知識と技術が必要です。身洗沢遺跡から出土した木製農耕具についても樹種同定が行われ、コナラ属クヌギ節であることがわかりました。木製農耕具にはイチイガシやアカガシなどの、同じコナラ属でもアカガシ亜属という種属の材が利用されることが多かったようですが、内陸部ではコナラ属クヌギ節の材もよく利用される傾向が見られるようで、山梨県でも例に漏れることはなかったようです。コナラ属クヌギ節やアカガシ亜属の材は非常に堅く、土の掘削に適しています。 農耕具の今と昔上の写真は、現在畑で使われている農耕具です(右:又鍬・左:鍬)。写真と出土した木製農耕具を比べると、形にそんなに違いが見られないのがわかります。すでに鍬などの農耕具の形は弥生時代にほぼ完成していました。現在では農耕の機械化が発展し、こうした農耕具を見る機会も減ってきています。弥生時代から現代まで続いた道具があまり使用されなくなっているのは寂しいですね。 出土木製農耕具の資料普及活動
埋蔵文化財センターでは、身洗沢遺跡から出土した又鍬を復元して学校などへ貸し出しています。身洗沢遺跡出土の又鍬のほかに鋤や鎌、木を伐採するための磨製石斧や鉄斧、石鏃、石槍などの復元品も貸し出しを行っています。
ぜひ、こうした復元品を活用していただき、古代の人びとの道具たちに触れ、その暮らしに思いを馳せてみてください。
《お気軽にご相談ください》 お問い合わせ:資料普及課055-266-3016
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