更新日:2024年2月9日

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ひたすらに良いものをつくる、真摯な農業【後編】

芦澤隆氏

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サラリーマン経験を経て就農し、令和4年度山梨県果樹共進会農林水産大臣賞を受賞するまでになった芦澤さん。そこには恵まれた地域環境と、食べてくださる人たちに喜んでいただきたいという思いがありました。後編となる今回は、芦澤さんの作るぶどうのおいしさの秘密などを紹介します。

恵まれた環境で、熱意ある仲間とともに

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芦澤さんの農園は甲府盆地の東に位置する笛吹市の春日居地区にあります。春日居地区は、土壌が肥沃で水はけもよく、日照時間が長い上に昼夜の気温差が大きいという果樹栽培の最適地で、フルーツ王国やまなしを代表するぶどう・もも等の一大産地です。
「笛吹市春日井地区は、前編でお話しした通り、地域独自の『春日居GAP』に取り組むなど、高い技術を持った生産者たちが、高い意識と熱意をもって果樹栽培を行なっています。気候にも恵まれ、特徴のひとつである昼夜の大きな気温差は、ぶどうの糖度や着色に良い影響を与えています。たとえば巨峰はその特徴がはっきりしていてで、昼夜の気温差が大きくなるほど黒色が濃く入ります。色が入ってこないと糖度も上がらないので、昼夜の気温差があることは、おいしくて美しいぶどうを栽培するためのとても大切な条件なのです」。

感動をお届けするために、磨いた匠の技

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芦澤さんが所属する「JAフルーツ山梨」では、食味だけではなく、房形がしっかり揃ったぶどうを安定的に出荷することを大切にしています。「張りの良い大粒の実が隙間なく並ぶような良いぶどうをつくるための作業として房の長さなどを決める『房づくり』と、余分な実を取り除き房形を整える『摘粒(てきりゅう)』があります。特に摘粒はぶどうづくりの中で最も大切であり、高い技術と経験が必要な作業です」と芦澤さん。この摘粒に芦澤さんの匠の技が発揮されています。「摘粒はまだ実が小さい時点で行うので、摘粒したばかりのぶどうは一旦スカスカになります。つまり、実が成長したらどういう房の形になるかを、その時点で見極めて作業をしているのです。見極め方は生産者それぞれだと思います。多くの生産者は2回に分けて摘粒しますが、私は1回の摘粒で残す実を決めることができます。それが私が培ってきた技術の一つです。ぶどうをよく観察することがすべての基本ですが、他にも空や風の様子から天気を読んで管理方法を変えたり、ぶどうの棚下へ日光が適切に入るように枝を管理したり、ぶどうが適切に育つように土づくりなどにも気を配ったり、日々ぶどうと向き合っています」と語る芦澤さん。この匠の技と情熱があるからこそ、私たちに感動を与えてくれる高品質のぶどうが生まれるのです。

本当によいぶどうを求めて、あくなき挑戦は続く

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近年、シャインマスカットなどのぶどうの登場により、若い世代にもぶどうが一段と身近になって、スイーツ感覚で楽しむ人が増えています。
「最近若い人がぶどうをよく食べてくれるようになって嬉しいです。私も近年人気のある『シャインマスカット』や『クイーンニーナ』をはじめ、山梨県オリジナルの新品種『サンシャインレッド』や『甲斐キング』といった時代のニーズに応える品種をつくっています。またその一方で、酸味と甘みと香りのバランスがいい『巨峰』や素朴な風味の『甲州』など、昔から愛されてきたぶどうも大切につくり続けています」と、味の好みもさまざまな幅広い消費者に喜んでもらうことを大切にしている芦澤さん。
「サラリーマンからこの業界に入った私が、今では新規就農者の指導をするようになりました。みんなで良いものをつくって地域をもっと繁栄させていくことを目指しています。私自身も本当に良いぶどうを追求し、さまざまな品種に挑戦していきたいと思っています。私にとって挑戦はロマンです!」と笑顔で語る芦澤さん。その視線は未来を見据えていました。

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