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更新日:2017年3月13日
ここでは参考として、世界の水問題と日本の水資源の状況について説明します。
地球上に存在する水は約14億㎦といわれ、このうち人類が利活用できる淡水は約0.8%に限られています。一方で、地球上では海水が蒸発して雨となり淡水として利用可能になる水循環が、人口増加や地球温暖化などの要因により円滑に進まなくなりつつあり、適切な水循環システムの構築が求められています。
こうした中、国連開発計画(UNDP)によると、現在、世界で約9億人弱が安全な水を利用できない状態にあるとされています。更に発展途上国を中心に生活排水の増加や下水処理の対応の遅れなど水質汚染も深刻化しつつあります。
このように、水資源が限られている中で、「量」と「質」の両面から水問題が顕在化していることに伴い、生活用水や工業用水などニーズに応じた水ビジネスが今後急速に拡大すると考えられています。
また、世界平均気温の上昇などの気候変動が、水資源にもさまざまな影響を与えることが懸念されています。こうした気候変動リスクを低減するためには、河川水、地下水、雨水、再生水等の適切な利用を推進し、より安全で安定的な水供給の確保を図る必要があります。
日本は世界的に見て降水量の多い地域に位置しており、年平均降水量は約1,700mmで、世界の陸域の年平均降水量の約2倍ですが、一人当たり年降水量でみると世界の一人当たり年降水量の約3分の1です。
また、日本は地形が急峻で河川延長が短く、水資源賦存量(降水量から蒸発散によって失われる量を引いたもので、理論上、人間が最大限利用可能な水の量)のかなりの部分が海に流出するため、国民一人当たりの水資源賦存量は海外と比較すると半分以下になっています。
なお、約10年に一度の割合で渇水年があり、その年の水資源賦存量は通常の7割程度になりますが、近年は少雨の年と多雨の年とで年降水量の差が大きくなり、渇水年の水資源賦存量が減少する傾向にあり、利水安全度(河川から安定的に取水できる度合い)が低下しています。
地球上の水の量【出典】平成24年版「日本の水資源」(国土交通省)