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更新日:2017年3月13日

やまなしの水

恵まれた自然環境が育んだ豊かな水は、川や地下水となって山梨県を潤しています。そうした水の流れや水質について説明します。

降水量

甲府地方気象台甲府観測所における年降水量をみると、日本の年平均降水量と比較して、かなり少雨の傾向にあります。気象庁の解析によると、県北部よりも県南部のほうが年降水量は多い傾向がみられ、また、南アルプスや富士山等の標高の高い山岳地域でも多くなる傾向がみられます。

年降水量分布図【出典】水資源実態等調査(平成23・24年度)山梨県

河川

水系

本県の河川は、富士川水系、相模川水系及び多摩川水系の3つの水系に大別されます。富士川は長野県との県境の鋸岳から発し、甲府盆地を南下して駿河湾に注ぎます。日本三大急流の一つに数えられています。相模川は山中湖に発し相模湾に注ぎ、神奈川県の水源となります。また、多摩川は笠取山から発し東京湾に注ぎ、東京都の水源となっています。山梨県は首都圏の水源です。

水質

県内の公共用水域(河川や湖沼など)及び地下水の水質汚濁状況を監視するため、水質汚濁防止法に基づいて水質測定を実施しています。県のホームページで測定結果を確認できます。また、河川に棲む肉眼でみることのできる大きさの様々な生物(カワゲラ、サワガニ等29種の水生生物)の棲息状況から河川の水質の状態も推察する調査も行っています。

地下水

地下水流動

下の図は、三次元的に流動している地下水の流れを、平面的に流線として描画した図です。図の長い流線は深層の地下水の流れであり、短い流線は浅層の地下水の流れとなっています。この図から、富士山、八ヶ岳、南アルプス、奥秩父の山々など、標高の高い山岳部に降った雨が地下水となり、標高の低い平野部に向かって流動している様子が分かります。

地下水流動図【出典】水資源実態等調査(平成23・24年度)山梨県

下の図は、浅層と深層の地下水の流れを把握できるように、富士西麓から富士北麓(御坂山地)を通り甲府盆地に至る断面図を作成したものです。この図から、浅層地下水と深層地下水の流線のイメージを把握することができます。

地下水流動図【出典】水資源実態等調査(平成23・24年度)山梨県

 

地下水位

本県では、10箇所13観測井で地下水位の継続的な調査を実施しています。現状で地下水位の低下はほとんど見られず、安定した水位を示しています。地盤沈下も進行していません。地盤沈下についての調査結果は県のホームページで公開しています。

地下水賦存量

水文区(地下水の流れを考慮して設定した分析範囲)ごとの「年地下水賦存量」は、降水量の多い「早川水文区」や「富士川下流水文区」で多く、次いで「白州小水文区」や「笛吹川水文区」、「富士北麓東小水文区」で多い値を示しています。なお、早川水文区については、泥岩・頁岩などが多く、山体地層の透水性は一般的に大きくありません。このため、降雨は地表面を一度浸透するものの、中間流出する水量の割合が他水文区より大きい可能性があります。

水文区ごとにおける年地下水賦存量【出典】水資源実態等調査(平成23・24年度)山梨県

地下水水質

本県の地下水水質は、硬度成分(カルシウムやマグネシウム)の量が少ない軟水が多く、癖がなく飲みやすいのが特徴です。一般的に、良質な地下水が存在する地形地質は、一つが火山であり、もう一つが花崗岩であると言われています。本県には、花崗岩からなる南アルプス甲斐駒ヶ岳、奥秩父の山々など、良質な地下水を産出する地形地質に恵まれています。また、富士山の地下水は玄武岩を通ることでバナジウム(ミネラルの一つ)を豊富に含み、八ヶ岳の地下水は安山岩を通ることで適度なミネラルを含むなど、それぞれの地質に応じた特色があります。

飲料水水質ガイドライン(WHO)による水の硬さの表現と硬度成分の濃度

硬さの表現

硬度成分の濃度

銘柄名(採水地/硬度)

軟水

0~60mg/L

富士ミネラルウォーター(富士吉田市/28)、南アルプスの天然水(北杜市白州町/30)

中程度の硬水

60~120mg/L

龍王源水(甲斐市竜王/70)

硬水

120~180mg/L

中央市のおいしい命水(中央市/130)

非常な硬水

180mg/L以上

エビアン(フランス/304)、コントレックス(フランス/1468)

地下水及び湧水のバナジウム濃度

 

最大値

最小値

平均値

富士北麓及びその周辺(N=24)

76.00μg/L

23.10μg/L

48.80μg/L

甲府盆地及びその周辺(N=21)

10.60μg/L

0.99μg/L

5.82μg/L

【出典】小林浩・輿水達司(2005(平成17)年):地下水・湧水中のリンおよびバナジウム濃度関係を基に推定された河川水における人為的影響によるリン濃度

水循環

「水循環」とは、水が、蒸発、降下、流下又は浸透により、海域等に至る過程で、地表水又は地下水として河川の流域を中心に循環することをいいます。

平成23年度から2ヶ年にわたり実施した水資源実態等調査によれば、「降水量」から「蒸発散量」を引いた山梨県全域の「水資源量」は、降水量に対して約77%です。「生活用水」、「工業用水」、「農業用水」の合計利用量は、許容地下水揚水量の約4%となっており、本県の地下水資源には十分な余裕があると考えらます。

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水循環の概要【出典】水資源実態等調査(平成23・24年度)山梨県

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