ページID:32794更新日:2020年8月5日
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土地所有者が次のように産業廃棄物の不法投棄に巻き込まれることがあります。
高速道路のインターチェンジ付近など車で移動しやすいところ、人目に付きにくいところ、柵や囲いがないところなどは、見知らぬ相手から不法投棄が行われやすい土地です。
初めから不法投棄を行う目的で、作業場や資材置場と偽って土地を借り、廃棄物をあっという間に山積みにして逃げてしまうことがあります。
また、それほど悪意はなくても、資金繰りに困って、作業場や資材置場として借りていた土地に廃棄物を少しずつため込んでいるうちに、倒産したり逃げてしまうこともあります。
土地造成を依頼したところ、できあがった土地から異臭がするので、掘り返してみたら廃棄物が埋まっていたということがあります。また、水はけの悪い土地の埋立てに、砕石の代わりにコンクリートがら等の廃棄物を投入する例もあり、これも不法投棄になります。
こうした不法投棄に対する土地所有者の対応策は、次のとおりです。
囲いや扉への施錠を行うことで、見知らぬ者による不法投棄の多くは、阻止することができます。
また、道路に面した場所にバリケード、チェーンやセンサーライトなどを設置するだけでも、不法投棄者に「捨てにくい場所」という印象を与え、抑止力になります。
土地の見回りや手入れを行うことも、管理されているという印象を与えるだけでなく、万一不法投棄された場合でも早期発見につながります。
土地を貸すときは、廃棄物を保管するかしないか確認してください。土地を貸す相手方の事業内容、実績なども調査することも大切です。廃棄物の保管等についてわからないことがあれば、事前に林務環境事務所に相談してください。
また、土地の賃貸借契約の際、「廃棄物を持込まないこと」、廃棄物を保管する場合でも「○○立法メートル以上は持込まないこと」「廃棄物の保管場所は○○平方メール以内に限ること」など、用途制限や不適正処理防止等の条項を盛り込んだ契約書を作成することが重要です。こうした対応をとることにより、借り手に逃げられたときでも、被害を最小限に食い止めることにつながります。
急にごみが増えてきたなどと感じたら、まず土地を貸した相手に事情を聞き、廃棄物を撤去するよう求めると同時に、相手が応じない場合は、次のような手段による対応を進めてください。
なお、平成22年5月に廃棄物の処理及び清掃に関する法律(以下「廃棄物処理法」という。)の一部改正法が公布されましたが、廃棄物処理法第5条第2項に「土地の所有者又は占有者は、その所有し、又は占有し、若しくは管理する土地において、他の者によって不適正に処理された廃棄物と認められるものを発見したときは、速やかに、その旨を都道府県知事又は市町村長に通報するように努めなければならない。」という規定が追加され、不法投棄や不適正処理を発見したときの土地所有者等の通報努力義務が明記されました。
不法投棄によって生じる損失は、次のことが考えられます。
廃棄物が残された土地の資産価値は、土地自体の評価額から廃棄物の撤去費用を差し引いたものとなります。
不法投棄が行われた場合、誰が投棄したか判明しても、その行為者にほとんど資力が残っていないことがあります。行為者の多くは、借金など追いつめられて不法投棄を行います。
この場合、廃棄物処理法第5条第1項に、「土地又は建物の占有者(占有者がない場合には、管理者とする。以下同じ。)は、その占有し、又は管理する土地又は建物の清潔を保つように努めなければならない。」と規定しされていることもあり、最後は土地所有者が(借り手から占有を回復して)撤去しなければならなくなることがあります(民事訴訟で損害賠償を請求できますが、行為者に資力がないと、費用等の回収は困難になると考えられます)。
産業廃棄物の不法投棄等をさせるために土地を提供するなど土地所有者が不法投棄に関与した場合で、不法投棄等による廃棄物により生活環境の保全上支障が生じている、又はそのおそれがあるときは、その支障の除去等の措置(廃棄物の撤去等)を、不法投棄等の行為者だけでなく、土地所有者にも命ずる場合があります(廃棄物処理法第19条の5第1項第4号)。
これを措置命令といいますが、措置命令に従わないと、5年以下の懲役若しくは1,000万円以下の罰金に処され、又はこれを併科されます(廃棄物処理法第25条第1項第5号)。