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(5月25日 山梨大学医学部附属病院 井上医師)
GWも終わり、いつもの生活が再開して2週目にあたる5月第3週(2023年第20週目)の状況です。
〇リスクアセスメント
【新型コロナウイルス感染症】
報告された患者数は5月8日以降増加傾向にあります。5月の第1週は県内の定点医療機関から96人(*)、第2週は173人、そして第3週には233人の報告がありました。2週間連続で患者数が増加していることから、県内では感染が拡大傾向にあると考えられます。特に中北と峡東地域、甲府市で患者数の増加が目立ちますが、その他の地域でも今後感染者数が増加する可能性があり油断はできません。
(*)定点把握への移行にあたり国調査により把握した5月1日~7日の数値
【インフルエンザ】
例年の流行に比較して全国的に流行は低調でしたが、流行の状態が長く続いてきました。山梨県内も同様に感染者の出る状況が遷延していましたが、5月第3週までに減少傾向となりました。
【感染性胃腸炎】
感染者数が増加傾向にあります。感染性胃腸炎は冬の時季および春先から初夏にかけて流行します。本年も流行しやすい時期に差し掛かっていますので、今後も注意が必要です。
【その他】
海外からの帰国者が麻疹を発症した事例に関連して、茨城県についで東京都でも2名の発症が報告されています。また、関連は明らかではありませんが神戸市でも発症者が報告されています。麻疹は発熱と赤い皮疹が特徴のウイルス疾患で、肺炎や脳炎等の重症化も懸念されます。普段日本国内で流行しているわけではありませんが、海外旅行や海外出張の際に現地で感染したり、海外からの旅行者が国内で発症する可能性があり、今後も注意が必要な感染症です。
〇対応
人流や社会活動の活発化による感染症全般の拡大が懸念されます。風邪症状や発熱がある場合には、学校や職場などへの出勤は見合わせ、できるだけ自宅でしっかり休みましょう。マスクを外していても咳やクシャミが出る場合は咳エチケットを、加えて適切なタイミングで手洗いやアルコールでの手指消毒をお願いします。医療機関や高齢者施設などに出向き室内で人と会う際にはマスクの着用をお願いします。
感染性胃腸炎の予防には、新型コロナの対策に有効なアルコールでの手指消毒ではなく、泡セッケンを使った手洗いが効果的です。これからの季節はトイレの後や食事前は泡セッケンと流水で手をきれいにしましょう。
麻疹や風疹、水痘、流行性耳下腺炎はワクチン接種で予防できる病気です。まだ予防接種を受けていない方や受けているかわからない方は、これを機にかかりつけの医師や医療機関へご相談ください。
その他にも、感染や重症化を防ぐ事が出来るワクチンがいろいろあります。予防接種を有効に活用しましょう。
新型コロナウイルス感染症は5月8日から感染症法上の位置づけが5類に変更されました。
●新規患者数
5月8日以降は定点把握による週一回の公表となります(原則毎週木曜日)
県内41箇所の定点医療機関から報告された患者数を集計しました。1医療機関あたりの患者報告数は次のとおりです。
2023年5月15日(月)~2023年5月21日(日)までの1週間
山梨県 |
中北 |
峡東 |
峡南 |
富士 東部 |
甲府 |
|
1医療機関あたりの患者報告数(人) |
5.68 |
8.31 |
5.43 |
2.33 |
4.33 |
4.56 |
新規患者数(人) |
233 |
108 |
38 |
7 |
39 |
41 |
●入院者数
医療機関がG-MISに入力した人数(水曜日0時時点)
5月24日(水)0時時点 |
28人 [うち重症者0人] |
新型コロナウイルス感染症に関する詳細情報は以下のページをご覧ください。
【令和5年5月25日(木)更新】
警報 |
なし |
注意報 |
なし |
感染性胃腸炎の報告数はやや増加傾向で推移しており、富士・東部保健所、甲府市保健所管内では、やや多い報告数となっています。感染予防のため、こまめな手洗いや食品の十分な加熱調理を心がけましょう。
COVID-19の報告数については、先週(第19週)に比べやや増加しています。
感染症を予防するため、マスクの着用、手洗い、咳エチケット(咳やくしゃみをする際に、マスクやティッシュ、ハンカチ、袖・肘の内側などを使って、口や鼻をおさえる)の徹底をお願いします。また、タオルの共用や人混み、患者との濃厚接触を避けましょう。
(毎週木曜日夕方更新予定)