ページID:2861更新日:2024年3月19日
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峡南地域及び富士・東部地域の森林文化の森で「カエンタケ」が確認されています。カエンタケは猛毒性のキノコです。
触ったり、食べたりしないよう注意してください。詳しくはこちら→ (カエンタケに注意!)(PDF:487KB)
県民の森、武田の杜、金川の森の3つの森林公園に加えて、新たに12か所の「森林文化の森」を整備しました。
詳しくは、それぞれの森の名前をクリックしてください。各森林文化の森のページにリンクしています。
1.釜無水源の森 2.八ヶ岳の森 3.瑞牆(みずがき)の森 4.乙女高原の森 5.兜山の森
6.大菩薩の森 7.小金沢シオジの森 8.稲山ケヤキの森 9.河口の森 10.十谷の森
皆さんは、「森林文化の森」をご存知でしょうか。山梨県が、人と森林との関わり合いを実感する場所、また、自然への回帰を目指す場所として、平成10年度に整備計画をまとめたものです。
このページでは、「森林文化の森」というものが、何を目的としているのか、また、どのようなことをしようとしているのかについて、皆さんにお伝えしていきます。
大菩薩の森
森林は、昔から人間の生活や営みに深く関わってきた歴史があります。森林と人間との関わり合いの中で、人々は自然の厳しさを悟り、人と人との絆を深めてきました。
特に、日本では、かつて”自然”という概念自体存在しなかったといいます。自然は生活の一部であり、人々の感性の中に溶け込んでいたのです。そして、私たちの祖先は自然界の森羅万象に神の存在を見いだし、山や森林の恵みに感謝しながら生活してきました。
例えば、人々は山に燃料となる薪をとりに行き、時にはより便利な燃料となる炭を焼きました。春には山菜、そして渓流の魚が、秋にはきのこが、そして冬には狩猟に行き、けもの達の肉が食卓に並びました。つるをとってきては大きなものを束ねる紐となり、つるを編んでかごをつくったりもしました。早川町では、木の皮から布を織って服をつくっていた風習もありました。畑や田んぼのための肥料も山にはえている草や落ち葉が利用されていたのです。
明治以降の近代化と科学技術の進歩に伴って、”文化”と”自然”とを別のものとして認識することが浸透しはじめました。文化的発展は、すなわち”自然”から離れていく結果となったのです。このことは、戦後の経済復興や高度経済成長と歩調を合わせてますます進行しました。
特に森林については、森林を育て、森林を伐採し、その木材を資源として利用するという経済的側面への偏重が強くなりました。また、薪をとる、柴を刈る、落ち葉をかき集めるといった生活習慣が、燃料・肥料革命の急激な進展に伴って失われ、生活習慣が森林から離れたことによって、かつては生活の一部であった日本人の森林との関わり合いは、希薄となっていったのです。
更に近年になって、過疎化や高齢化が進む中山間地域の衰退により、森林との関わり合いはますます少なくなっています。また、都市近郊の開発に対する危機感や、増え続ける地球規模での森林破壊が危惧されているところです。
山梨県で行ったアンケート調査結果では、森林の持つ機能のうち重要なものと考えられているのは、「動植物の生息の場所」、「土砂流出の防止」、「水源かん養」、「二酸化炭素の吸収」といった機能が抜きん出ていました。
また、人と森林の関わり合いを増やしていきたいという要望は、年々高まっています。私たちは、かつてのような森林と深く関わった生活様式を再評価し、新たな人と森林との関わり方を模索し、実現していく必要があります。
山梨県では、以前から人と森林との関わりを増やすために多くのことを行ってきました。その中でも特に力を入れてきたことの一つが森林公園の整備です。森林公園では、誰もが安全に森林と親しめるような観点で整備するとともに、多様な体験イベントを行っています。
一方、最近、あるがままの森林の中で、自然とふれあい親しめる空間もほしいという要望が数多く寄せられています。
こうしたことから、本県では、これまでの森林公園に見られるような施設に力点を置いたものとは違い、あるがままの森林の中で自然と親しみ、学ぶことを目指し、また、美しい花が咲き、川や湖、そして山岳風景ともマッチした個性ある郷土の原風景の再生を目指した「森林文化の森」を整備していくこととしました。
この「森林文化の森」は、地元の方々の貴重な意見を踏まえ、天然林や人工林、美しい草花や生き物たちと言った地域固有の自然や、史跡、言い伝え、風習などその地域特有の歴史・文化を生かしたかたちで、人と森林が関わり合うことの出来る場所にしています。
このために、現在ある森林の特徴を最大限生かしながら、地域的な歴史や産業にふさわしい樹種の森林を育成しています。
そして、人々がこの森林に親しむことが出来るように、歩道や林内広場などを、自然景観や生態系に配慮して配置しています。
また、自然への回帰を目指して、森林文化の森を積極的に活用して、様々な森とふれあえるイベントを行っています。
「森林文化の森」の整備と活用を通して、人づくり、地域づくりを実践していきます。
「森林文化の森」は、訪れる人々が「森林に出かける」という意識を持って、服装や靴などそれなりの準備をして訪れる場所としていきたいと考えています。ですから、できるだけ今ある自然を壊さずに、森林そのものを活用していくことが重要と考えています。
また、訪れる人達が森林とのつき合い方を知っていることで、一層楽しく森林と親しむことができます。そのため、森林とのつき合い方を学ぶことができるような環境づくりも「森林文化の森」の整備と同時に行っていきます。
地域の伝統や、地域の自然的な特徴を前面に押し出してアピールし、山村の活性化を図っていきます。
山梨県の特色となるような森林をつくり出し、個性ある山梨の原風景を再生していきます。
実際に森林の中に入り、空気を吸ったり、野生動物と出会ったり、野草にふれたりするなどの体験を通し、森林観の形成を図っていきます。
最近、野外教育や環境教育、ネイチャーゲームなどといった自然教育の分野が注目を集めています。
「森林文化の森」では、その活用策として積極的に自然教育を推進していきます。
地域ごとに特色のある森林を生かしながら、その特色をさらに高める森林づくりを行います。
森林づくりを行う際には、木の実、山菜などが採れる豊かな森林を造成するほか、野生動植物への配慮を行います。
それぞれの地域の自然特性を生かし、湖や渓流、山岳風景と一体となった森林づくりを行い、地域の景観をつくり出していきます。
地域の歴史、産業にふさわしい樹木(例:ヤマナシ・コウゾ・ミツマタなど)の植栽を行うほか、史跡の紹介や峠道などの活用を図っていきます。
森林体験プログラムの積極的な実施やボランティア活動の受け入れ、自分の好きなように森林づくりを行える区域を提供するなど、積極的な利用促進策を展開します。
「森林文化の森」の整備、利用促進については、様々な関係部門と連携を図っていきます。
特に、森林文化の森は「地域の森」として市町村や住民、更にはNPO法人等との密接な連携や支援を得ていくことが、管理や利用上不可欠です。
このため、市町村と「森林文化の森」の管理協定の締結や、市町村住民やNPO法人等の管理・運営への参画など協力体制を構築していきます。