ページID:4854更新日:2024年6月7日
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労働争議とは、集団的な労使関係にある当事者間において、労働関係に関する主張が一致しないで、そのために争議行為が発生している状態又は発生するおそれのある状態をいいます(労働関係調整法第6条)。簡単にいえば、集団的な労使関係において労働問題で労使が紛争になっている状態です。
※争議行為とは、集団的な労使関係にある当事者が労働関係に関する主張を貫徹することを目的として行う行為及びこれに対抗する行為で、業務の正常な運営を阻害するものをいいます。同盟怠業(ストライキ)、怠業(サボタージュ)、作業所閉鎖(ロックアウト)などがあります。(「争議行為の届出と予告通知」参照)
労使の間におこった紛争は、当事者間で自主的に解決するのが最も望ましいことです。労働関係調整法第2条も「労働争議が発生したときは、誠意をもって自主的にこれを解決するように、特に努力しなければならない」と規定し、労働争議の自主的解決を当事者の責務としております。
しかし、場合によっては、労働争議の自主的解決が困難になったり、不可能になったりすることがあります。このようなときには、公平な第三者が労使の間にたち、双方の主張を聞き、その関係を調整して、解決を図っていくことが必要となります。この役割を担うのが労働委員会であり、労働関係調整法には労働委員会による調整の方法が規定されています。
労働委員会による調整は、原則として当事者(労働組合、使用者等)からの申請に基づいて行われますが、例外的に労働委員会の職権等によって調整が行われることもあります。これは、公益事業等で住民の生活に大きな影響のある場合に、労働委員会が進んで争議解決の仲介の労をとるものであります。
また、労働委員会による調整は、あくまで当事者の譲り合いによって解決に導くのが建前で、原則として強制的なものではありません。
労働委員会が行う調整の方法には、「あっせん」(労働関係調整法第2章)、「調停」(労働関係調整法第3章)、「仲裁」(労働関係調整法第4章)の3つがあります。当事者は、これらのうちいずれの方法でも選ぶことができますが、ほとんどの場合、「あっせん」の方法が利用されています。
労働争議の調整を申請するときは、次の事項を記載した「あっせん(調停・仲裁)申請書」を労働委員会に提出してください。
労働争議の調整は、「あっせん」による方法がほとんどですので、山梨県労働委員会におけるあっせん手続きの概要を説明します。
なお、あっせんが労働委員会に係属していても、労使間で自主交渉を行い、労働争議を解決することは何ら差し支えありません。
あっせん申請書が提出されると、担当職員による事前調査を行います。申請者の事前調査は、通常、申請書の提出時に行っています。当事者の一方からのあっせん申請の場合、相手方当事者に対する事前調査は、担当職員が現地に赴いて実施しています。
事前調査では、申請内容に基づき、労働争議の経過、労使の主張の要点、考え方等について、それぞれの事情を聞き取ります。当事者の一方からのあっせん申請のときは、あっせん申請書の写しを相手方当事者に渡すとともに、あっせんの応諾意思の確認も行います。場合によっては、相手方当事者に対して、制度の趣旨説明を行うこともあります。また、あっせん期日についての希望等も確認します。
事前調査の結果を受けて、会長はあっせんの必要性を判断します。会長があっせんを行うことを適当と認めたときは、会長はあっせん員候補者の中からあっせん員を指名します。
あっせん員候補者は、労働委員会が予め委嘱してあります。山梨県労働委員会では、公労使の委員のほか、関係行政機関の職員を委嘱していますが、あっせんは、原則として公労使の委員による三者構成のあっせん員(3名)で行っています。
なお、あっせんの必要がない、又は争議の実情があっせんに適さないと判断される場合には、あっせんを開始しません。この場合には、その理由を付したあっせん不開始通知書を申請者に送付します。
あっせん員が指名されると、あっせんの期日を決め、あっせん員、期日、場所を記載したあっせん開始通知書を当事者双方に送付します。
あっせんの場所は、原則として山梨県労働委員会委員室(山梨県庁北別館3階)で行います。あっせんは、非公開で行い、おおむね次のように進められます。
(1)(事情聴取)
あっせん員が、申請者・被申請者の順に事情聴取を行います。
(2)(あっせん員協議と個別折衝)
あっせん員は、労使当事者の主張の不一致点を比較検討し、あっせんの方法、双方の争点等について協議します。協議結果により、あっせん員が当事者に個別折衝します。あっせん員による協議と個別折衝は、妥協点が見つかるまで、何回も行われます。
(3)(あっせんの継続)
第1回のあっせんでは解決する見込みはないが、更にあっせんを行えば解決の見込みがあると認められるときは、次回のあっせん期日を設けます。その間、協議事項を指示し、労使に自主交渉を勧めることもあります。
(4)(解決)
あっせん員による個別折衝等の結果、解決の気運が生じたときは、あっせん案等を提示し、双方が了解した場合には、あっせん員立会いによるあっせん案への調印あるいは協定書への調印等が行われます。
(5)(打切り)
あっせん員の説得にもかかわらず、双方とも主張を譲らず、または両者間に大きな隔たりがあり、事実上あっせんによる解決が困難と判断される場合は、あっせん員はその時点であっせんを打ち切ることがあります。
(6)(取下げ)
自主交渉による解決などあっせん継続中の事情の変化であっせんの必要がなくなったときは、申請者が取下書を提出します。
取下書の書式