ページID:4879更新日:2018年3月19日
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争議行為とは、集団的な労使関係にある当事者が労働関係に関する主張を貫徹することを目的として行う行為及びこれに対抗する行為で、業務の正常な運営を阻害するものをいいます(労働関係調整法第7条)。
争議行為の大部分は、労働力の提供を拒否し、又はその受領を拒否する行為を中心としています。具体的には、労働組合の争議行為としては、同盟怠業(ストライキ)、怠業(サボタージュ)などがあり、使用者がこれに対抗するための争議行為としては作業所閉鎖(ロックアウト)があります。
争議行為について
争議行為は、業務の正常な運営を阻害するので、会社は労働組合の争議行為により損害を受けることがあります。しかし、使用者は、争議行為が正当なものである限り、労働組合やその組合員に損害賠償を請求することはできません(労働組合法第8条)。
争議行為が行き過ぎになると、刑法に規定する犯罪にあたる場合も出てきますが、争議行為も含めて労働組合の行為は、それが正当なものである限りは、刑法上も免責されています(労働組合法第1条第2項)。また、労働組合が正当な行為をしたことを理由にして、使用者が組合員に不利益な取扱いをすることは、不当労働行為として禁止されています(労働組合法第7条第1号)。(「不当労働行為とは」参照)
争議行為を含めて労働組合の行為が「正当なもの」であるかどうかが、しばしば問題になります。これは具体的な事実に基づいて事案ごとに判断されるものですが、その行為の目的の面と手段・方法の面の双方から検討され、労働者の権利と他の基本的人権を比較して、相手の権利を不当に侵害していないか等の観点も踏まえて、判断されることになります。ただし、いかなる場合でも、暴力の行使は正当な行為には該当しません(労働組合第1条第2項但し書き)。
争議行為が発生したときは、当事者である労働組合又は使用者は、直ちにその旨を労働委員会又は都道府県知事に届け出なければなりません(労働関係調整法第9条)。山梨県内で争議行為が発生した場合の届出は、山梨県労働委員会事務局又は労政雇用課に、口頭又は電話など適宜の方法で行ってください。
公益事業において、争議行為を行おうとする場合には、当事者である労働組合又は使用者は、争議行為を行う10日前までに、都道府県労働委員会(又は中央労働委員会)及び都道府県知事(又は厚生労働大臣)に対して、書面によって、その旨を予告しなければなりません(労働関係調整法第37条)。これは、公益事業における争議行為は日常生活に大きな影響を及ぼすことから、予め争議行為を公表することにより、その影響を最小限にするためのものです。
争議行為の予告通知が義務づけられている公益事業は、運輸事業、電気通信事業、水道・電気・ガス供給事業、医療・公衆衛生事業です(労働関係調整第8条)。
争議行為が2以上の都道府県にわたる場合は、中央労働委員会及び厚生労働大臣に対して、予告通知を行わなければなりません。
山梨県内の労働組合又は使用者は、予告通知を山梨県労働委員会事務局及び労政雇用課に提出してください。中央労働委員会、厚生労働大臣に対する予告通知についても、それぞれ山梨県労働委員会事務局、労政雇用課を経由して提出することができます。
10日前というのは、通知した日と争議行為開始日は含まず、中間に10日間を必要とします。通知した日とは、予告通知を労働委員会と都道府県知事が受け付けた日となります。
この予告通知を怠り争議行為を行うと、10万円以下の罰金に処せられる場合があります。
争議行為の予告通知には次の内容が記載されていなければなりません。
労働委員会では、争議行為が発生した場合、争議行為の予告がなされた場合等には、労働争議として必要に応じて電話等により実情調査を行います。これは、当事者からの申請等により調整を行う場合に備えて、労働争議の実情を把握しておくためです。
労働争議とは、集団的な労使関係にある当事者の間で労働関係に関する主張が一致せず、争議行為が発生している状態又は発生するおそれのある状態をいいます。(「労働争議の調整(あっせん・調停・仲裁)」参照)