ページID:4862更新日:2024年6月7日
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憲法第28条は、労働者が団結する権利、団体交渉をする権利、団体行動をする権利を保障してます。労働組合法は、この権利を具体的に保障するため、使用者が次に掲げる行為を行うことを不当労働行為として禁止しています(労働組合法第7条各号)。
号別 |
種別 |
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(労働者、労働組合が・・・) |
(使用者が・・・) |
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1号 |
不利益取扱い |
労働組合員であること |
を理由として、解雇したり、その他不利益な取扱いをすること |
労働組合に加入したり、結成しようとしたこと |
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労働組合の正当な行為をしたこと |
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黄犬契約 |
労働組合に加入しないこと |
を雇用条件とすること |
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労働組合から脱退すること |
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2号 |
団体交渉拒否 |
団体交渉を申し入れたこと |
に対して正当な理由がなく拒否をすること |
3号 |
支配介入 |
労働組合を結成すること |
に対して、支配介入すること |
労働組合を運営すること |
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経費援助 |
労働組合の運営に要する経費を支払うこと |
について、経理上の援助をすること |
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4号 |
報復的不利益取扱い |
労働委員会に不当労働行為の救済を申立てをしたこと |
を理由として、解雇したり、その他不利益な取扱いをすること |
不当労働行為の命令に再審査申立てをしたこと |
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不当労働行為の審査及び再審査、労働争議の調整の場合に、証拠を提出したり、発言をしたこと |
労働組合や労働者は、使用者が不当労働行為を行ったとみられるときは、労働委員会に救済を申し立てることができます。労働委員会は申立てに基づいて審査を行います。そして、不当労働行為の事実があると認めたときは、使用者に対して不当労働行為が行われなかった状態に戻すこと(例えば「原職に復帰させなければならない」「団体交渉を拒否してはならない」「組合活動に介入してはならない」等)を命令します。このようにして、労働委員会は労働組合や労働者を救済しています。
また、現行法制度上、不当労働行為の救済は裁判所における民事訴訟によっても救済を受けることができます。裁判所による救済は、不当労働行為に該当する行為の無効が確認されたり、不法行為として損害賠償の請求が認められたり、また不当労働行為が現に継続している場合にはその行為を除去したりする形で行われます。
労働委員会による救済の特徴では、労働委員会による不当労働行為の救済の特徴について、裁判所による救済と比較しながら、制度・判断・救済命令の3つの面から説明します。少し専門的な説明です。
不当労働行為の審査手続きの概要は次のとおりです。
労働者又は労働組合から不当労働行為の救済申立てがあると、労働委員会は不当労働行為救済申立事件として審査を開始します。公益委員が審査委員となり、審査の指揮にあたります。労働者委員と使用者委員は参与委員として審査に加わります。
審査には調査と審問があります。調査では、申立人と被申立人から主張を聞き、それぞれの主張を立証する証拠の提出を求め、争点を整理します。争点がはっきりすると、審問に移ります。審問では、当事者双方の立会いのもとに証拠として出された文書や証人を調べます。事実を認定するのに十分な資料が得られた場合には、審問を終結します。審問を終結するときは、当事者双方に最後陳述の機会を与えます。
審問が終結すると、公益委員会議を開催し、参与委員からの意見を聴いたうえで、公益委員の合議により判定を行います。不当労働行為の事実があったと判断すれば救済命令を、その事実はなかったと判断すれば申立てを棄却する命令を出します。このときは、当事者双方に命令書の写しを交付して、不当労働行為事件は終結します。また、審査の過程や命令書が交付されるまでの間に当事者が和解して申立てを取り下げたり、命令ではなく申立ての却下を決定するという形で終結することもあります。
都道府県労働委員会の命令や決定に不服がある場合には、中央労働委員会に再審査を申し立てることができます。また、都道府県労働委員会及び中央労働委員会の命令や決定については、その取消を求める訴えを裁判所に提起することができます。
不当労働行為の審査は救済の申立てによって開始されますが、ここでは、救済の申立てについて、申立書等の提出、申立書の記載内容、管轄する労働委員会、申立期間を説明します。
ここでは、審査委員、参与委員、担当職員について、説明します。
ここでは、調査開始通知、担当職員調査、答弁書の提出について、説明します。
ここでは、不当労働行為の審査のうちの調査について、調査の目的、調査の方式、代理人・補佐人、調査の内容と当事者の対応を説明します。代理人申請書・補佐人申請書の提出、準備書面の提出、書証及び証拠説明書の提出、証人尋問申請書の提出についても、ここからどうぞ。
ここでは、不当労働行為の審査のうちの審問について、審問とは、審問の方式、証人尋問、立証責任、立証の程度、立証すべき事項、結審を説明します。最後陳述書の提出についても、ここからどうぞ。
ここでは、命令の決定、命令の種類、命令書の記載事項、命令書(写)の交付、申立ての却下、再審査の申立てと取消訴訟の提起、救済命令の確定と不履行について、説明します。
ここでは、和解による解決、申立ての取下げについて、説明します。
山梨県労働委員会では、審査の迅速化を図るため、救済申立てから事件の終結に至るまでの「審査期間の目標」を1年以内としています。
番号 | 申立人 | 救済申立て内容 | 終結状況 | 審査期間 |
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5-1 | 労働組合 |
雇止め撤回、現職復帰、バックペイ 誠実団交 |
係属中 |
過去1年以内に交付した命令書を公表しています。ただし、事件の内容や性質により、公表しないことがあります。