ページID:4880更新日:2018年3月19日
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和解とは、一般に争っている当事者が互いに譲歩して事件を円満に解決することです。不当労働行為事件も和解によって終了します。実際、継続していく労使関係を考慮し、可能なかぎり実情に即した和解によって事件の円満解決が望ましいという考え方が、労働委員会や労使双方にあるため、和解が積極的に活用され、多くの事件が和解によって解決しています。
和解の方法としては、当事者双方が自主的に話合って解決する方法(自主和解)と、労働委員会がその話合いの中に入って解決する方法(関与和解)があります。
関与和解は、当事者双方または一方から労働委員会の関与による和解で解決したいと申出(口頭または文書)があったとき、審査委員が和解の勧告を行い、当事者双方に和解で解決する意思があると確認されたとき等に行います。この進め方は、当事者双方から和解条件を提示してもらったり、参与委員を通じて当事者双方の意向を打診したり、場合によっては労働委員会から当事者双方に対して和解案を示して、お互いの歩み寄りを図るという方法で行われます。その結果、当事者双方が和解条件について合意した場合には、協定書を作成して当事者双方が調印します。この場合、審査委員及び参与委員が立会人として署名又は記名押印することもあります。
また、労働委員会から命令が発せられた場合であっても、その命令が確定するまでの間に当事者で和解が成立し、当事者双方の申立てがあった場合において、労働委員会が当該和解の内容が当事者間の労使関係の正常な秩序を維持させ、又は確立させるために適当と認めたとき(「和解の認定」と言います。)も、これにより審査の手続は終了します。この場合、すでに発せられている命令については、その効力が失われます。
和解が成立した場合、通常、申立人が申立てを取り下げて、不当労働行為事件が終了します。申立ての取下げは、口頭でも可能ですが、実際には、申立人が「不当労働行為救済申立取下書」を提出しています。
また、不当労働行為の審査は申立てによって開始されるという申立主義をとっているため、申立ての取下げは申立人の自由な意思で行うことができます。申立ての取り下げることができる時期は、命令書の写しが交付されるまでとなっています。したがって、命令書の写しが交付された後は、命令が確定する前であっても、再審査や行政訴訟による取消しあるいは変更前であっても、初審の申立てを取り下げることはできません。
ただし、命令書の写しが交付された後、その命令が確定する前であれば、上記による「和解の認定」手続によって審査の手続を終了させることができます。