ページID:6034更新日:2023年10月6日
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光化学オキシダント(Ox)とは、大気中の窒素酸化物(NOx)と揮発性有機化合物(VOC)*1から光化学反応により二次生成される大部分がオゾン(O3)の酸化性物質で、人に対しては目への刺激や呼吸器道の粘膜刺激といった影響を及ぼす。
Oxは、二酸化窒素や浮遊粒子状物質等と同様に、大気汚染に係る環境基準が設定されているが、その達成状況は全国的にも極めて低い。(本県においては、令和4年度は10局全てにおいて、環境基準が達成できなかった。また、令和3年度の全国の環境基準達成率は一般局で0.2%、自排局で0%であった)
県内には大規模な発生源が無いものの、毎年光化学スモッグ*2注意報を発令しており、平成4年度には全国最多の発令日数(年度により人的被害の届出もあり)になるなど、Oxに係る大気環境は良好とはいえない状況であった。
平成8年度に作成した「大気拡散シミュレーションモデル」により、県内外のNOx等の排出状況等から現在の高濃度Oxの出現を検証するとともに将来のOx濃度を予測したところ、本県の高濃度Oxの出現の主原因は、首都圏地域からの大気汚染物質の移流によるものと推定された。
また、光化学オキシダントの将来日最高濃度(平成15年)は、大都市地域における自動車NOx法や各種対策等の対策の効果により現況に比べ低減し、本県から排出されるNOx排出量は増加することが予測された。
こうしたことを踏まえ、県全域において普及啓発等の発生源対策によりNOx排出量を対策を行わない場合に比して20%削減する「窒素酸化物削減計画」を平成10年度に策定(目標年度:平成15年度)し、県全域における発生源対策を行った。
「窒素酸化物削減計画」の目標年度である平成15年度におけるNOx排出量を把握するため、平成17年度に「光化学オキシダント原因物質発生源別排出量調査」を実施したところ、平成15年度の総排出量の実績値は、平成15年度予想排出量(削減対策を行わない場合の平成15年度の総排出量)と比較して24%減少し、「窒素酸化物削減計画」におけるNOx削減に係る目標を達成した。
近年、全国的に、NOx及び非メタン炭化水素(NMHC)の濃度の年平均値は改善傾向にあるが、Ox濃度は漸増傾向1)となっている。本県では、平成2年度からこれまで継続して測定している2局(甲府富士見局及び大月局)の直近10年間における年平均値の経年変化を見ると、以下のとおりである。
・NOx:全体的に低減傾向にある。
・NMHC:甲府富士見局は低減傾向の状態にあり、大月局はほぼ横ばい状態にある。
・Ox:昼間(5時~20時)の日最高1時間値の年平均値の経年推移は、これまで漸増傾向であったが、平成20年度以降は同程度又はやや低減傾向となっている。
原因物質の排出量が減少しても、Ox濃度が上昇する(低減しない)といった現象の要因には、大陸からの大気汚染物質の移流や原因物質であるVOCとNOxの濃度変化等の事項が考えられている2)。
これまでのOx濃度の削減対策は、大気汚染防止法により、工場等に対して、Oxの原因物質の一つであるNOxの排出規制を実施してきたが、もう一つの原因物質であるVOCの排出量を抑制する必要性が高まっていることから、平成18年4月から全国の工場等に対して大気汚染防止法による排出規制等のVOC対策*3が開始された。
その結果、平成22年度の固定発生源からのVOC排出量は、平成12年度と比較して約4割削減され、削減目標である3割を上回った。
一方、近年、原因物質の排出量が減少しても、Ox濃度が低減しないといった現象が全国的に見られている。こうしたことから、今後の発生源対策は、Ox濃度に及ぼす要因に係る知見の集積に努めつつ、
「VOC」(volatile organic compounds)とは、揮発性を有し大気中で気体状となる有機化合物の総称であり、トルエン・キシレン・酢酸エチルなど多種多様な物質が含まれ、国全体の排出量の9割が工場等の固定発生源からのものとなっている。
*2光化学スモッグについて
「光化学スモッグ」とは、光化学反応により生成された光化学オキシダント等が特殊な気象条件において、白くモヤがかかったようになった状態をいう。なお、光化学スモッグ注意報は、Ox濃度が高くなり(0.12ppm以上)、気象条件からみて、その状態が継続すると認められる場合に発令される。
*3大気汚染防止法による排出規制等のVOC対策について
VOC排出抑制対策は、工場及び事業場に設置される施設のうち、VOCの排出量が多い施設については、法規制により排出抑制を進め、排出量が比較的少ない施設については、自主的な取り組みを行うことにより、効果的な排出抑制を図ることとされた。