トップ > 県政情報・統計 > 知事 > 開の国やまなし こんにちは。知事の長崎です。 > 施政方針 > 令和6年度年度はじめ知事訓示要旨
ページID:115381更新日:2024年5月1日
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令和6年4月1日(月曜日)
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まず初めに、新しい年度の節目に当たりまして、先週末をもって無事に務めを終えられました119名の退職者の皆様に、心からの感謝を申し上げたいと思います。
この119名の皆様方とは、4年間にわたる新型コロナとの闘い、そしてポストコロナ1年目となります大変重要な時期を、ともに駆け抜けて参りました。
長年にわたる御貢献に加え、先の読めないVUCAの時代に、それぞれの行政現場で、県民の皆様の命と健康、さらには生活や経済を守り抜くことに御尽力いただいたことに厚く感謝を申し上げます。
また、本日は163名の新規採用職員をお迎えいたしました。
心から歓迎の意を表したいと思います。
さて、本県山梨には、先人が築いてこられました数多くのかけがえのないモノ、コト、そして人材があります。
150年余に及びます山梨県政の歴史と、幾多の先人たちの御貢献の積み重ねがあってこそ、今の県政があります。先達への感謝と敬意を忘れてはならないことは、当然のことであります。
その上で、私たちは、現在と将来の山梨県民に対する責任を果たすべく、時代の要請に精一杯対応し、まだ見ぬ世代も含め全ての県民が豊かさを実感できる山梨を築き上げていかなければなりません。
そのためにこそ、先人が築き、育んだ蓄積と遺産を新しい価値とし、そしてその価値をさらに磨き上げ、比類なき価値を高めていくこと。
5年前、知事就任に際しまして抱きました、私の決意とはまさにこのことに他なりません。
現新、全ての職員の皆様と、この基本的方向性を共有し、県政に向き合って参りたいと存じます。
改めまして、本日より令和6年度、新年度がスタートいたします。
現在は、長く続きましたコロナ禍がひとまずの終息を迎え、日本を取り巻く世界の活動が再びの躍動期を迎えているものと認識しております。
100年に1度の大禍とも言われましたコロナ禍を経験した中でも、本県、山梨が目指したのは、「立ち止まることのない前進ある県政」でありました。
山梨県では、新型コロナウイルスによる閉塞した状況の中でも、数多くの施策の種をまき、着実に育てて参りました。
山梨県庁職員の皆様とともに、コロナ禍にあっても決して立ち止まることなく、経済、産業、医療、生活その他すべてを前進させ続けてきたこれまでの蓄積は、すべてがポストコロナ、すなわち、今とそしてこれから、将来のためにあります。
同時に、私たちがこのコロナ禍で学んだことは、「昨日までの今日が明日もあるとは限らないこと」、「今日と同じ明日が来るとは限らないこと」であります。
私たちは、先ほど申し上げました蓄積の上に立ちつつも、常に時代の変化に対して謙虚に向き合っていかなければなりません。
この社会変化の時代において、現状で停滞することは、これすなわち衰退への道であり、それは県政においても異なるところはありません。
ぜひ、これまで積み上げてこられました研鑽に基づいて、時代の要請に沿った、より良い県政を実現するため、立ち止まることなく「挑戦」をし続けていただきたいと思います。
そして、当然のことながら、「挑戦」には失敗のリスクはつきものであります。
しかしながら、その失敗は、次なる「挑戦」とその成果を支える経験値、すなわち、更なる前進の糧と捉えるべきであります。
失敗を踏まえた原因分析や手法の見直しといった検証プロセスをしっかりと突き詰める限り、無為となる「挑戦」というものはありえないはずでありまして、いずれ県民生活の豊かさという形で結実することを信ずるものであります。
こうしたことは既に、政策や予算を議論する様々な場面において実践されてきたわけでありますが、今後とも「創意工夫」を凝らした「挑戦」と、そして「検証」を繰り返し、これまでの施策をより上質なものへと磨き上げ、世に問うていきたいと考えます。
再度、繰り返しとはなりますが、前例踏襲を乗り越え、挑戦した末の結果に「失策」はないものと信ずる次第であります。
私が強く嫌悪することがあるとすれば、それはただ1つ、『不作為』に他なりません。
果敢な試み、切り拓く決意、新しいアプローチ。
ヒト、モノ、コト、万象に対する挑戦を私は高く評価したいと思います。
他方、無思考に前例に倣うことには、強く抗います。
ぜひ本日、傾聴いただいている職員の皆様にも、改めてその意を共有していただきたく願います。
本年度は、県民生活強靱化元年として、富の可能性と新しい価値へと開かれた「開の国」、その「開の国」への跳躍を受けとめるべき土台となる「ふるさと強靱化」を県民目線で全県へ、地域差なく拡げていくべき1年であります。
富士山の環境保全、持続可能なエネルギーへの転換、教育、福祉、介護、人口減少、様々な複合課題が山積しております。
また、県民生活の足元におきましては、物価高騰や働き手の不足など、不透明な時代状況が、なお根強く不安の影を落としております。
コロナ禍で拡大したデジタル活用の動きも伴い、過渡期ゆえの、変化が早く先の読めない社会情勢に、得体の知れない不安、或いは息苦しさを感じている方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。
我々行政の役割は、山梨に住む県民一人一人が安心して、希望を持ってこの地域で活躍できるための「基盤作り」、これに尽きると考えております。
そのために、職員の皆様におかれましては、地域のコミュニティに積極的に足を運んでいただき、問題意識に直に触れ、「よりよい山梨県の未来のためには何が必要か」、我がこととして知恵を出し合っていただければと思います。
そして、まさにその「我がこととして知恵を出し合うこと」、すなわち、「集合知」の発揮こそが、山梨が日本を先導する場所となるために、その人智の証となるべきものであると信ずる次第であります。
ここにおいて、私が「集合知」と呼ぶものは、直面する課題に対して、ただ、意見を集めるだけに留まるものではありません。
様々異なる視点・観点からの意見や意思を反映させながら、施策として練り上げていく、その所作であります。
そして、そのプロセスを通じて、その施策はより多くの人々に届き、広く受け入れられていくものになるものと考えています。
多くの議論や異なる議論、これは施策を成熟させ、施策の展開をより県民の皆様にとって充実したものにさせるはずであります。
「集合知ある県政」では、徹底した聖域なき議論の土壌が大切であり、そしてその中から創造と改善が生まれてくるものと考えております。
私は、あらゆる行政領域は、常に県民利益の最大化という物差しを当て、議論の風に晒されるべきであると考えます。
議論なき「聖域化」は、既得権益の温床となり、そして社会停滞の源流になるものと、恐れる次第であります。
様々な視点・観点からの徹底した議論を通じた集合知の形成という、この新しい文化を県政運営の日常として重視し、皆様とともに大切に育てていきたいと考えます。
本日から、県民お一人お一人のもとに豊かさを届けるための、新たな「挑戦」が始まります。
未来に至るまで山梨を潤す「豊かさ」の源を、今、創り上げる覚悟を、ぜひ私とともに共有し、ともに歩んでいただきますようお願い申し上げます。
今年一年、どうぞよろしくお願いいたします。
(以上)