トップ > 組織案内 > 県教育委員会の組織(課室等) > 埋蔵文化財センター_遺跡トピックスNo.0212甲ッ原遺跡
ページID:27469更新日:2022年3月15日
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北杜市の遺跡
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遺跡の概要甲ッ原遺跡は山梨県の北西部にそびえる八ヶ岳南麓の北杜市大泉町に所在しています。本遺跡は、小河川に挟まれて南に緩やかに傾斜している痩せ尾根上にあり、県道八ヶ岳公園線の建設に伴い、1989年から1997年まで7次にわたって発掘調査が行われました。 〈写真:遺跡全景〉 所在地:山梨県北杜市大泉町西井出字和田・字大林 時代:縄文時代、平安時代 報告書 「甲ッ原遺跡概報2.」山梨県埋蔵文化財センター調査報告書83集1993 「甲ッ原遺跡概報1.」山梨県埋蔵文化財センター調査報告書96集1994 「甲ッ原遺跡概報3.」山梨県埋蔵文化財センター調査報告書144集1997 「甲ッ原遺跡概報4.」山梨県埋蔵文化財センター調査報告書145集1998 調査機関:山梨県教育委員会山梨県埋蔵文化財センター 甲ッ原遺跡の過去のトピックはこちら→No.0002、No.0138、No.0169 琥珀垂飾が教えてくれること・・・甲ッ原遺跡では、縄文時代中期(今から約5000年前)と考えられる土器とともに琥珀の垂飾が出土しています。垂飾は紐を通して、現在のネックレスのように使われたと考えられます。 〈写真〉出土した琥珀垂飾 琥珀は太古の樹木が分泌した樹脂が地中に埋もれ変化してできた、いわば樹脂の化石です。国内では北海道石狩地方・岩手県久慈市・福島県いわき市・千葉県銚子市・岐阜県瑞浪市など限られた地域でのみ産出されます。山梨県では産出されず、容易に手に入る物ではありません。甲ッ原遺跡で発掘された琥珀は、福島県いわき産の可能性が高いという分析結果が得られています。(1) 北杜市大泉町と福島県いわき市は直線距離200km以上離れています。このことから、我々が想像する以上に縄文人が広域な地域の人々と交流していたことがわかります。 山梨県内では、甲ッ原遺跡以外にも、金の尾遺跡(甲斐市)、一の沢遺跡(笛吹市)、酒呑場遺跡(北杜市)などで琥珀製の遺物が見つかっています。 また、県内で発掘されている、他地域の人々との交流の手がかりになる遺物には、琥珀以外にも黒曜石、翡翠(ひすい)、海でしかとれない蛤(はまぐり)、他の地域の影響が見られる土器などがあります。 翡翠については→トピックNO.0031天神遺跡 他の地域の影響が見られる土器については→トピックNO.0076原町農業高校前遺跡 (1)五味信吾・野代幸和「山梨県北巨摩郡大泉村甲ッ原遺跡出土琥珀の産地同定(1)-赤外線吸収スペクトル分析-」『研究紀要10』山梨県立考古博物館・山梨県埋蔵文化財センター1994
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