トップ > 組織案内 > 観光文化・スポーツ部 > 山梨県埋蔵文化財センター > 埋蔵文化財センター_遺跡トピックス一覧 > 埋蔵文化財センター_遺跡トピックスNo.0287大師東丹保遺跡
ページID:37342更新日:2017年5月24日
ここから本文です。
南アルプス市の遺跡
|
大師東丹保遺跡の概要大師東丹保遺跡は、一般国道52号(甲西道路)改築工事・中部横断自動車道建設工事に伴って、1993(平成5)年度から1994(平成6)年度にかけて発掘調査が進められ、県内ではまだ発見例の少ない鎌倉時代のムラの跡(今から約700年前)が見つかっています。遺跡が所在する南アルプス市大師東丹保地域は、釜無川右岸(滝沢川と坪川にはさまれた場所)の低湿地帯で、湧き水も多く、昔から洪水常襲地帯でした。このため、遺物が泥の中で空気に触れないで、真空パックされたような状態になり、通常では残りにくい木製品が数多く出土しています。 出土した木製品には、漆椀(うるしわん)、箸、杓子(しゃくし)、曲物(まげもの)など食生活や、下駄(げた)、草履(ぞうり)、櫛(くし)など服飾品に関係する生活用品をはじめ、斎串(いぐし)、人形など祭りやまじないに使う道具などがありました。 【関連リンク】 ・遺跡トピックスNo.0010・遺跡トピックスNo.0149・遺跡トピックスNo.0259 [写真1大師東丹保遺跡の遠景] 所在地:山梨県南アルプス市大師東丹保175ほか 時代:弥生時代・中世 調査機関:山梨県埋蔵文化財センター 報告書:山梨県埋蔵文化財センター調査報告書第131・132・133集1997年3月刊行 木製の骨組みについて[写真2木製の骨組み] [写真3高松塚古墳壁画西壁女子群像(文化庁HPより)] 写真2の木製品は、南アルプス市の大師東丹保遺跡から発見された鎌倉時代の「扇子(せんす)」の骨組みです。 扇子の歴史はとても古く、平安時代の日本にさかのぼります。それよりはるか前、中国から風を送る道具として団扇(うちわ)が伝わりました。もともと団扇は、「翳(さしば・かざし)」という写真3の高松塚古墳の壁画に描かれた飛鳥時代の女性が持っている、高貴な方の顔を翳す(かざす)ための長い柄の丸いうちわのようなものが先祖とされています。このような団扇が日本に伝わり改良が加えられ、現在使われているような扇子とデザイン的に変わらない木の骨に紙が貼られ、コンパクトに折りたためる扇子が生み出されたのが平安時代となります。 高温多湿な日本の夏を快適に過ごすため、現在ではエアコンが普及していますが、ほんの30年前まではエアコンの代わりに扇風機が使われ、さらに電気が一般化する前には、扇子や団扇が使われていました。 3月11日に発生した東日本大地震により、夏の電力の供給量が足りなくなる事態が予想されるなか、扇子や団扇、扇風機、土鍋・・・等々、節電グッズが見直されているようです。 みなさんも身近なものから歴史を見つめ、資源を無駄なく使う昔の人たちの精神を引き継いだエコライフを始め、環境問題に取り組んでみてはいかがでしょうか。 |