トップ > 組織案内 > 県教育委員会の組織(課室等) > 埋蔵文化財センター_遺跡トピックスNo.385_平林遺跡(ひらばやしいせき)発掘調査速報
ページID:56935更新日:2017年6月13日
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こちらの発掘調査につきましては、"正木末洋(2015)『平林遺跡:中部横断自動車道建設事業および(仮称)身延山IC道路事業に伴う埋蔵文化財発掘調査報告書』(山梨県埋蔵文化財センター調査報告書第302集)山梨県埋蔵文化財センター"が刊行されています。
身延町の遺跡 |
遺跡紹介 遺跡名平林遺跡(ひらばやしいせき) 時代縄文 所在地南巨摩郡身延町和田地内 調査に至る経緯平林遺跡は、中部横断道建設事業に伴う試掘調査の結果、平成25年3月に発見された新しい遺跡です。この遺跡は身延町和田地内にあり、発掘調査前は山林でした。この地点は発掘調査終了後に身延山インターチェンジ(仮称)の建設が行われる予定です。 発掘調査は8月から既に始まっており、来年1月末まで行います。今回の調査面積は全体で約10,000平方メートルになりますが、11月現在で約6割の調査が終了しています。 写真上:平林遺跡航空写真 この写真は平林遺跡を真上から写したものです。将来建設されるインターチェンジの形や地形に添って調査をしているため、いびつな形をしています。 また、遺跡内に散らばっている星状のものは、山林の木を切った切り株です。本来ならば発掘調査は切り株を除去してから行います。しかし今回は切り株が多すぎるため、これらを全て除去すれば地中の遺跡まで破壊されてしまう恐れがあったため、あえてそのまま調査をしています。 発掘調査速報8月から始まっている調査の結果、11月中旬現在で、住居である可能性の遺構が3軒、土坑・ピット約100基、集石土坑(しゅうせきどこう)7基などが見つかっています。時代はほとんどが縄文時代ですが、旧石器時代の石器、平安時代の土器などもわずかに混入しています。 写真左:発掘調査風景(平成25年8月) 写真右:発掘調査風景(平成25年9月) 写真左:仮1号住居発掘風景 写真右:仮1号住居遺物出土状況 写真左:2号集石検出状況 写真右:5号集石検出状況 これらの集石は縄文時代のものと考えられます。石には、高熱を受けた痕跡が見られ、もろくなっていました。縄文の人々は、これらの石を使って石蒸し焼き料理をしたと考えられます。 写真左:有舌尖頭器(ゆうぜつせんとうき)出土状況 写真右:石製装身具(せきせいそうしんぐ)出土状況 有舌尖頭器(ゆうぜつせんとうき)は縄文時代草創期(そうそうき)の石器の一つですが、県内での発見は20数点しかなく、今回の発見は貴重な事例となりました。 石製装身具(せきせいそうしんぐ)は縄文時代のアクセサリーで、この輪をひもに通して腕に着けたり、首からかけたりしたと考えられています。 前述の通り、発掘調査は1月末まで続きます。まだまだ新しい発見が続いていくと思いますので、今後も情報発信をしていきたいと考えています。 |