トップ > 組織案内 > 県教育委員会の組織(課室等) > 埋蔵文化財センター_遺跡トピックスNo.0386滝沢遺跡
ページID:57215更新日:2017年5月19日
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こちらの発掘調査につきましては、"御山亮済(2015)『滝沢遺跡(第3・4次):一般国道137号吉田河口湖バイパス建設工事に伴う発掘調査報告書』(山梨県埋蔵文化財センター調査報告書第304集)山梨県埋蔵文化財センター"が刊行されています。
富士河口湖町の遺跡 |
調査の概要遺跡名:滝沢遺跡6.b区(たきざわいせきろくびーく) 時代:古墳時代前期~平安時代 所在地:南都留郡富士河口湖町河口 調査面積:約1350平方メートル 調査機関:山梨県埋蔵文化財センター 関連トピックス 調査にいたる経緯今回発掘調査を実施した滝沢遺跡6.b区は、平成21年度に調査された滝沢遺跡5.区の北側に隣接する区域で、調査面積は約1,350平方メートルの広さです。河口湖の北東約1kmに位置しており、2013年8月に古代官道が発見されたとしてニュースになった「鯉ノ水遺跡(こいのみずいせき)」にほど近い場所にあります。 発掘調査の成果発掘調査の結果、古墳時代前期の土器集積、奈良時代~平安時代にかけての竪穴建物跡7軒、中世以降の掘立柱建物跡1軒を検出し、その他ピット33基、土坑34基、溝状遺構2条を検出しました。また、そのほかにも縄文時代の土器や石鏃(せきぞく)といった遺物も出土しました。 左:石鏃出土状況 右:古墳時代前期の土器集積(2面目) 左側の写真は石製の鏃(やじり)で、縄文時代のものです。今回の調査では、こうした石鏃が2点出土しています。ただし、縄文時代の遺構はみつかっていません。右側の写真は古墳時代前期の土器集積です。調査区の西半分では、古墳時代の土器が多数出土しました。そのうち、土器が一ヶ所から大量に出土した様子から土器集積としましたが、掘り込みなどは検出できませんでした。 検出した竪穴建物跡のうち、竪穴建物跡06としたものは火事に遭ったようで、床面の全体に炭化材とオレンジ色の焼け土が散乱していました。こうした焼失竪穴建物跡は、本来、腐ってなくなってしまう柱や梁などの建築部材が炭になって残るので、建物の上部構造を考える上で非常に重要な資料となります。火災に遭ってしまったこの建物の持ち主は気の毒ですが・・・
左:竪穴建物跡06(焼失竪穴建物跡) 右:竪穴建物跡06カマド検出状況 とくにカマドは、袖石だけでなく天井石や支柱石などがほとんど崩れていない状態で検出されました。また、その中からは甕(かめ)や羽釜(はがま)といった、カマドに使用する土器が大量に折り重なって出土しています。
左:竪穴建物跡06カマド内出土土器 また、今回の発掘調査では数多くの鉄製品が出土しています。写真の左下は鉄製紡錘車(てつせいぼうすいしゃ)です。植物繊維から糸をつむぐときに使用した道具で、滝沢遺跡の第1次調査区でも発見されています。当時、この集落で織物が行われていた可能性があります。写真右下は墨書土器です。土器の右上にうっすら「山口」と書いてあるのが見えるでしょうか。
左:竪穴建物跡04検出状況 右:竪穴建物跡01調査風景 左:鉄製紡錘車(てつせいぼうすいしゃ)出土状況 右:墨書土器「山口」出土状況 今後の作業・・・発掘調査が終了したあとは、出土した遺物の洗浄や注記、接合作業および図面の整理など、整理作業を行っていきます。滝沢遺跡のほかの調査区では、墨書土器が数多く出土していますが、今回の発掘調査中では、1点しか確認できませんでした。しかし、これから出土した遺物を整理していく中で、新たに発見される可能性は非常に高いと思われます。今後の作業に期待したいところです。
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