トップ > 組織案内 > 観光文化・スポーツ部 > 山梨県埋蔵文化財センター > 遺跡トピックスNo.528小井川遺跡
ページID:105193更新日:2022年7月6日
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中央市の遺跡
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小井川遺跡第5次調査の概要所在地:中央市(旧田富町)布施地区 遺跡の時代:調査区西側・・・中世、江戸時代(約500~150年前) 調査区東側・・・古墳時代後期~終末期(約1500年前) 報告書:調査中につき、未刊行 調査期間:令和3年11月~令和4年3月 調査機関:山梨県埋蔵文化財センター 発掘調査の成果小井川遺跡はJR身延線小井川駅の西側、中央市布施地区に位置する遺跡です。この遺跡は、新山梨環状道路建設工事に伴い、過去4回調査を実施しています。 (参照:小井川遺跡の過去のトピックス:No.36、85、120、130、424) 5回目の調査となる今回は、リニア中央新幹線の工事に伴い、小井川遺跡東端付近の範囲を対象に調査を実施しました。 調査区の西側では主に江戸時代の遺物が出土しました。その多くは皿、すり鉢、漆椀、箸などの日常生活で使用する道具でした。ただし、建物跡のような遺構は今回の調査では発見できませんでした。
漆椀(江戸時代) 木箸(江戸時代) 調査区の東側からは古墳時代後期から終末期(いまから約1500年前)の遺物が出土しました。坏という小さな器、煮炊きや食料の保管などに使う甕(かめ)や小壺などの素焼きの土器が多く出土しました。また、煮炊きなどの調理をしたと思われる竈(かまど)の跡も検出しました。 坏や甕など3つの土器が出土した状態(古墳時代) カマドの跡(古墳時代)
発掘調査後に洗浄、注記、接合が完了した坏(上の写真の赤枠のもの) 2つの遺跡の境界調査区の西側では中世~江戸時代の遺物が出土していた地層が東側に行くにつれて薄くなっていき、ついにはなくなってしまいました。調査区の東端の方では西側より低いところの地層で古墳時代の遺物が出土しました。小井川遺跡の東側(緑色の部分)では、得令2年度の調査で古墳時代の遺跡である上三條河原遺跡が発見されており、今回の小井川遺跡で出土した古墳時代の遺物と同時代のものでした。つまり今回の調査地点は小井川遺跡と上三條河原遺跡が重なっている部分ということになります。
2つの遺跡が重なっている様子(イメージ図) 発掘調査が終わると・・・発掘調査が終了すると、整理作業を実施します。現在、埋蔵文化財センター内において、小井川遺跡で出土した土器や木製品などの遺物の洗浄、注記(出土した場所や地層などの情報を遺物に小さな文字で書くこと)、接合を順番に実施しています。 接合される前の遺物(甕) 接合終了後は遺物の実測図面や遺構の図面などを作成して、最終的に1冊の報告書になります。出来上がった報告書は各自治体の文化財関係施設や大学などに配布されます。
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