ページID:56970更新日:2024年2月1日
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漁業権は、1.特定の水面において、2.特定の水産動植物を、3.一定の漁法で採捕又は養殖する権利で、4.行政庁の免許によって設定される権利です。その特徴は、次のとおりです。
漁業法第60条に定める漁業権の種類は、次のとおりです。
⇒第一種:採貝、採藻など定着性水産動植物を対象とする漁業
⇒第二種:定置網の小規模なものなど、網漁具を移動しないよう敷設して、来遊する「浮漁」をとる漁業
⇒第三種:地引網漁業とこれと性質を同じくする漁業等
⇒第四種:瀬戸内海等でなされている寄魚漁業、島付こぎ釣漁業
⇒第五種:内水面(河川、湖沼)等でなされる漁業で、第1種以外のもの
内水面漁業の特徴は、次のとおりです。
このため、第五種共同漁業権は、当該内水面が増殖に適した場合でなければ免許されず、免許を受けた漁協は、当該免許を受けた魚種の増殖義務を負っています。増殖とは、稚魚、卵、成魚の放流、産卵床造成など、積極的かつ人為的な手段により水産動植物を増加させる行為をいい、漁具・漁法の制限、禁漁期間の設定など消極行為に留まるものは増殖に含みません。
つまり、第五種共同漁業権の免許を受けた漁業協同組合は、当該免許を受けた魚種の増殖団体であり、内水面漁場の管理団体であるため、非常に公共的な役割を担っています。河川法においても、平成9年に河川環境の整備と保全を目的に加えた改正がなされ、環境保全に配慮した河川整備や管理が法律上位置づけられていますが、魚の生息する河川や湖の環境維持には、漁業協同組合も大きな役割を果たしています。
漁業権の免許を受けた漁業協同組合は遊漁規則を制定し、遊漁者(組合員以外の釣り人)の利用を図り、遊漁者からは遊漁料を徴収しています。漁業協同組合が増殖義務を果たすための経費は、組合員の賦課金や漁業権行使料、遊漁者の遊漁料等が充てられています。なお、漁業権行使と遊漁の公平性を保つため、漁業権行使規則、遊漁規則の制定や変更には、知事の認可が必要となっています(漁業法第106条第7項、第170条)。この際、遊漁規則の制定や変更については、内水面漁場管理委員会の意見をきくことになっています。