トップ > 組織案内 > 観光文化・スポーツ部 > 山梨県埋蔵文化財センター > 山梨の遺跡発掘展2021デジタルミュージアム > 山梨の遺跡発掘展2021デジタルミュージアム史跡甲府城跡愛宕山石切場跡
ページID:98924更新日:2021年3月26日
ここから本文です。
所在地:甲府市愛宕町
事業名:史跡内容確認調査
調査期間:令和2年10月12日~11月4日
調査面積:約21㎡
時代:近世・近代
調査主体:山梨県埋蔵文化財センター
史跡甲府城跡愛宕山石切場跡は、安山岩の岩脈をもつ愛宕山の西側斜面に位置します。敷地内に矢穴が認められる石材が存在することや、史料・絵図に「石取場」の記載があることから、古くから甲府城や周辺の寺院・神社などに関連した石切場であることがわかっています。大正時代には別荘「愛宕山荘」が建てられ、その際に石切場の痕跡を活かした庭園が造られています。平成31年2月に甲府城跡とともに国の史跡に指定されました。しかし、石切場は史跡の範囲外にも広がる可能性が推測されます。
今回の試掘調査は、史跡整備のための情報収集を目的としています。(愛宕山石切場跡は現在非公開・立入禁止です。)
3トレンチ 矢穴(やあな)をもつ石材確認状況 |
3トレンチ3トレンチでは、現代の建物基礎の下部から横幅約7~8㎝の矢穴をもつ石材を確認しました。この矢穴の大きさから、江戸時代中頃のものと考えられます。また、庭園の階段と池の一部を確認し、庭園として整備した際に土地改変をしたことがわかりました。 |
4トレンチ 階段検出状況 |
4・5トレンチ4・5トレンチでは、離れの建物と庭をつなぐ階段や池の調査をおこないました。階段は、大正時代以降にコンクリートで補強されていました。池は、土を盛って窪みを造り、池の周りに石材(庭石)を配置したようです。これまでわかっていなかった庭園の様相の一部が明らかになりました。 |
江戸時代の採石方法イメージ図 |
石材の採取江戸時代の採石方法は、まず、ノミで矢穴(くさび穴)を列状に彫ります。次に矢穴に矢(くさび)を入れ、大玄翁(ハンマー)で矢を叩き、石にヒビを入れて割り出します。石材には矢穴が残るので、実際のお城の石垣にも確認できます。矢穴には複数の大きさが確認されており、大きさの違いを時期差とみる考えや石材を割る段階(粗割り段階は大きく、加工段階は小さいなど)の違いとみる考えがあり、今後研究する必要があります。 甲府城跡の石垣にもたくさんの矢穴が残っています。ぜひ、探してみてください。 |