ページID:64987更新日:2015年2月26日

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平成27年2月定例県議会知事説明要旨

平成二十七年二月定例県議会の開会に当たり、提出致しました案件のうち、主なるものにつきまして、その概要を御説明申し上げますとともに、私の所信の一端を申し述べ、議員各位並びに県民の皆様の御理解と御協力をお願い申し上げたいと存じます。

はじめに、横内前知事におかれましては、二期八年間にわたり県政を担当され、暮らしやすさ日本一の実現に向けて、たゆみない御努力を重ねてこられました。

ここに、その御功績と御労苦に対しまして深甚なる敬意と感謝の意を表わし、今後の御健勝と御活躍をお祈り申し上げます。

さて、この度私は、多くの県民の皆様の御支持をいただき、第六十一代知事として、県政執行の大任を担うこととなりました。

選挙期間を通じまして、私に寄せられました県民の皆様の温かい励ましと力強い御支援に対し、心から感謝を申し上げます。

常に高い倫理観に立ち、公正、公平で一党一派に偏しない政治姿勢を堅持し、県民の皆様の信頼に応えて参る所存であります。

今、ふるさと山梨は、いくつかの大きな転機に直面しております。

人口減少社会という今まで我々が直面したことのない大きな変化に加え、生活や産業を支えるエネルギー資源の変化、県土の景観を形成する農業を取り巻く状況の変化、そして近い将来に発生が予測される大規模な災害などへの備えが求められています。

今日の山梨が抱える問題は、時代の大きな流れ、潮流の中で捉えることが必要であり、私は、明治維新以降百年の歴史を振り返る中で、今日の現状と課題を考えてきました。

百年前とは、日本全体が近代化に向けて急速に変化を遂げていた時代でありました。

その後二つの世界大戦を経て、日本は高度経済成長を遂げながら、産業構造やライフスタイル、そして価値観をも大きく変化させてきました。

今日の山梨が抱える課題は、こうした日本の近代化の結果としてもたらされたものであり、簡単に解決することはできないかも知れません。

しかし、私たちは、ただそれを受け入れるのではなく、今日の私たちが持つ英知によって、より良い未来へと導いていかねばなりません。

私は、著書「ダイナミックやまなし」の中で、「数字で振り返る過去百年の山梨」として、土地利用、産業構造、教育、医療、子育て等様々な項目で過去百年を振り返りました。

そして、「過去百年から見えた山梨の課題」と、それへの処方箋を取りまとめました。

過去に遡り、また、県民の皆様との対話を通じて、私は山梨の主要な課題と、それに対する取り組みを次の六つに整理して考えております。

一つ目は、本県の雇用と経済の多くを支えている基幹産業の発展です。

新たな地域づくりには、その基盤となる産業を育てていくことが必要不可欠であります。

このため、エネルギーを核とする基幹産業の創造・発展戦略を実行するとともに、産業を担う人材の育成・供給力の拡充、中小企業の成長と持続的発展を推進します。

二つ目は、農林業、地場産業、観光など地域資源を生かして個性豊かな産業を生み出すことです。

魅力ある地域づくりのためには、農林業などにおいて個性豊かな地域産業を創出していくことが重要であります。

このため、森林資源の多面的利活用システムの構築、高品質化・販路の開拓による儲かる農業の展開、世界遺産富士山と魅力的な地域資源を生かした国際観光都市づくりに取り組みます。

三つ目は、少子化が進行する中、明日の山梨を担う人材を育成する教育体制、子育てを支援する体制を充実させるということです。

地域を支える基幹産業を維持・発展させ、新たな産業を創出していくためには、それを生み出し育てていく人材を育成することが必要であり、学校教育において主体的な学びを中心とした教育環境を確保するとともに、誰もが子どもを産み育てたいと感じることができる子育て環境を整備していくことが重要となります。

このため、個性と学力を伸ばす教育の充実、子どもを産み育てる希望を実現する子育て協働社会の構築、スポーツ・文化の振興に取り組みます。

四つ目は、生涯にわたって心身とも健康に、生き生きと暮らすことができる地域にすることです。

人生九十年時代を迎え、健康で生き生きと暮らしていくためには、生涯にわたり学び直しができる学習環境を整えるとともに、リタイア後も生きがいを持って健康で働き続けることができる多様性のある社会を形成することが必要です。

また、健康の維持・増進を図るために医療提供体制を充実させること、首都圏に近接しながらも本県が有する豊富な自然環境を生かして、豊かなライフ・ワークスタイルを実現させることも重要となります。

このため、生涯現役を実現するための学び直しと活躍機会の創出・提供を行うとともに、住み慣れた地域で安心して暮らせる社会づくり、県民の健康を守る医療の充実、首都圏と山梨をつなぐ「やまなしライフ・ワークスタイル」の実現、魅力豊かで良好な景観・環境づくりを進めます。

五つ目は、自然災害の多発やインフラの老朽化、公共交通や商店街の衰退等が進行する中、地域の暮らしと企業活動をいかに守るかということです。

県民が生涯にわたって安心して暮らすことができる社会を提供するためには、平常時のみならず災害発生時にも企業活動や日常生活を維持できる社会インフラを整備するとともに、地域における公共交通ネットワークなど、人口減少社会に対応したサービスを確保することが重要となります。

このため、災害に強い県土・地域づくり、利便性の高い公共交通の整備・充実に取り組みます。

六つ目は、以上の課題を解決し、元気な山梨を創っていくため、地域づくりのイノベーションを起こすということです。

新たな地域社会の構築は、県が率先して改革を推進することはもちろん、県だけではなく、地域の多様な主体が連携し、県民総参加により実現を図っていくことが重要であります。

このため、効果的な県財政運営、県庁改革・県民サービスの充実を図るとともに、人口減少からの転換、百万人都市への挑戦に、積極果敢に取り組みます。

以上、六つの課題はそれぞれ独立したものではなく、相互に関連し、大きなスパイラルを描いています。

今、私たちが明るい未来を目指し、強い意志を持ってこれらの課題に対処しなければ、減少傾向に転じている定住人口とともに負のスパイラルに陥っていく可能性があります。

それを回避し、将来の山梨を考える上で最も重要な課題である定住人口の減少を食い止め、増加へと反転させていかなくてはなりません。

私は、二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピックまでに山梨が再生に向かうことができるか否かが本県にとってのデッドラインであり、それまでに数々の施策を実現していかなければならないと考えております。

新しい課題、困難な課題への対応が数多くありますが、今やらなくてはならない百十七の公約の実現に向けて、直ちに実行に着手して参ります。

もちろん、課題はこれらにとどまるものではなく、ふるさと山梨が大変動期に入っている今、各々の地域や産業において、すぐに解決しなければならない課題が山積しております。

それぞれの分野で、柔らかな感性と熱い気持ちを持って、県民の暮らしを守り、山梨を元気にするため、課題の発見と解決に努めて参ります。

過去百年を振り返ることにより見えてきた目指すべき未来は、数々のきらりと光る価値を世界に発信し、新たな日本のモデルとなる「百万人都市」山梨であります。

子どもたちや子育て世代、高齢者や障害者など誰もが安心して暮らせる、この目指すべき新たな地域社会を、山梨が持つ「エネルギー供給力」、「景観・農業力」、「安心・防災力」を高めつつ、県民の皆様とともに創り上げていくという考えを、ダイナミックやまなし「プラチナ社会構想」と名付けました。

プラチナは、他の貴金属よりも耐久性が高く、永遠に輝き続けることで知られています。

また、化学変化を促進させる高い活性を持つことから、触媒として工業用に広く利用されるとともに、山梨から生まれた新たなジュエリーブランドKoo-fu(クーフー)にも特に純度の高いプラチナが使われています。

私は、山梨もプラチナと同様に、個性・特性を最大限に生かしながら、将来にわたって輝き続ける地域でありたいという意志をこの名前に込めております。

また、これからの地域社会では、地域の持つ豊かな資源を背景に、産業、行政、教育、金融、NPOなど多様な主体が連携して課題解決を目指し、イノベーションを起こしていくことが必要であります。

こうした多様な主体の連携のためには「触媒」の働きをする主体が必要ですが、県は大いにこの「触媒」の働きをして参りたいと考えております。

以上、私が目指す新たな地域づくりである「ダイナミックやまなし」の概要を申し上げました。

いずれの施策も新たな地域づくりを進めていく上で重要であり、かつ迅速な対応が求められるものであるため、具体化を急ぎ、六月議会に政策予算としてお示ししていきたいと考えております。

県民本位の県政運営を肝に銘じ、誠心誠意努力して参る所存でありますので、県議会議員各位をはじめ、県民の皆様におかれましては、なにとぞ、力強い御支援と御協力を賜りますようお願い申し上げます。

次に、本日提案致しました平成二十七年度当初予算につきまして申し上げます。

今回の予算につきましては、諸般の事情から骨格予算として編成致しております。

従いまして、新規施策的事業につきましては、今後、検討を加え、六月以降における補正予算に計上することと致しておりますので、御了承願いたいと存じます。

このような方針に基づきまして、具体的には、

一 人件費、扶助費並びに県債償還のための公債費

二 継続的な公共事業費並びに災害復旧費

三 平常規模による一般行政費

以上の三項目により編成致しております。

その結果、一般会計予算の総額は、四千四百三十八億円余となっております。

特別会計は、恩賜県有財産ほか十一会計を合わせまして、二千九百六十三億円余、企業会計は、電気事業ほか二会計で七十二億円余となっております。

次に、平成二十六年度補正予算についてであります。

国は、平成二十六年度補正予算において、地域住民生活等緊急支援のための交付金を創設し、まち・ひと・しごとの創生に向けた総合戦略の先行的実施や地域における消費喚起策に係る取り組み等を支援することとしております。

本県においても、私が知事選挙を通じて訴えて参りました人口減少対策、地域産業の振興と雇用の確保などが喫緊の課題となっているため、交付金事業等を活用し、公約の実現に資する事業については、できるだけ実施することとして二月補正予算を編成しております。

なお、そのほか必要な条例案を提出致しております。

その他の案件につきましては、いずれも、その末尾に提案理由を付記しておりますので、それによりまして御了承をお願い致します。

なにとぞ、よろしく御審議の上、御議決あらんことをお願い申し上げます。

最後に、議員各位には、今議会が任期最後の議会となります。

過去、四年間にわたり、県政発展のため、格別の御努力を傾注されましたことに対しまして、改めて深甚なる敬意を表する次第であります。

今後、ますます御健勝にて御活躍、御発展されますことを衷心より御祈念申し上げ、私の所信表明と提案理由の説明を終わります。

 

 

平成二十七年二月二十六日

 

山梨県知事 後藤 斎

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