知事記者会見(令和6年2月1日木曜日)

ページID:112668更新日:2024年2月2日

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知事記者会見(令和6年2月1日木曜日)

令和6年当初予算案について

知事

まず、6年度当初予算についてご説明申し上げます。

昨年は1月の知事選挙を経まして、新たな総合計画を策定し、豊かさ共創、人口減少危機対策、自然首都圏構想など「ふるさと強靱化」と「『開の国』づくり」に向けた政策、それが具体化され、実行フェーズに移行し始めました。

令和6年度は、これらの施策を着実に実行し、その成果を県民の皆様に還元することを強く意識していくとともに、災害や経済・社会情勢の変化にも柔軟に対応できる「県民生活の強靱化」をしっかりと進めて参りたいと思います。

喫緊の課題に迅速に対応し、かつ、為すべきことを先送りせず、「ふるさと強靱化」と「『開の国』づくり」の取り組みを加速化し、充実させていきたいと考えています。

厳しい財政事情ではありますが、最小の県負担で最大の効果が上げられるよう、引き続き国の補助金や有利な地方債を最大限活用して参ります。

計上額ですが、現時点で一般会計で概ね5145億円程度を想定しております。

続きまして、計上予定の主な事業につきまして順次ご説明申し上げます。

まず、喫緊の課題への対応に関してですが、中でも防災・減災対策についてです。

能登半島地震に関しまして、本県は、発災翌日から災害派遣医療チーム「DMAT」を派遣しているほか、精神医療チーム「DPAT」、健康危機管理支援チーム「DHEAT」に加えまして、県庁からも多くの人員を派遣しております。

物的支援といたしましては、本県独自の取り組みとして、現地の医療機関における感染症対策のため、陰圧装置を備えました医療コンテナなどを提供して参りました。

また、甚大な被害を受けました日本航空石川に対しましては、野球部に旧増穂商業高校グラウンドを提供し、同校バレー部及びラグビー部に関しましても練習場を確保したところであります。

被災地が復旧し、被災者の皆様の日常が1日も早く戻ってくるように、引き続き山梨県としても全力を挙げて支援して参ります。

今回の災害ですが、決して対岸の火事ではなく、その教訓を本県の施策にしっかりと生かしていかなければなりません。

まず、発災時には迅速に応急対策を実施できるように、いち早く被害状況、情報を収集し、全容を把握することが何よりも重要となって参ります。

現在、総合防災情報システムや防災行政無線、携帯電話回線を利用した無線機など、多様な伝達手段を確保しておりますが、インターネット回線につきましては発生直後の断絶が懸念されるところであります。

そこで、災害時に影響を受けにくい、人工衛星を利用したインターネットサービス「スターリンク」を導入し、情報収集、そして共有体制のより一層の強化を図って参りたいと考えております。

次に、今回の地震におきましては、木造住宅の倒壊が数多く発生しておりますが、被害が甚大な地域では、住宅の耐震化率が低いことが判明しているところであります。

住宅の倒壊は、居住者の生命を脅かすだけではなく、大量のがれきが物資の運搬や復旧作業の妨げになるわけであります。従いまして、本県におきましても、耐震化率の向上は急務であると考えております。

山梨県におきましては、住宅の耐震化率は上昇してはいるものの、いまだ約4万戸以上が未対応でありまして、その内8割以上が耐震診断さえ受けていないものと推計されております。

このため、木造住宅の耐震化につきまして、啓発を強化し、耐震診断の受診を強く促して参ります。

更に、自己負担なしで耐震改修を行うことができるよう、上限額を引き上げるなど、補助制度を拡充して参ります。

災害時の物資の確保につきましては、今年度、備蓄すべき物資の種類、数量、輸送方法などの検討を行ってきましたが、今回の地震を受け、更に検討を深め、必要な見直しを進めて参りたいと思います。

次に、本県におきましては、地震だけではなく、富士山火山防災につきましても、地域住民や外国人を含む観光客の円滑な避難を目指し、確実な避難体制を構築する必要があります。

つきましては、デジタルデータを活用した避難誘導アプリなどの開発や、市町村と連携し、円滑な避難誘導に向けた検討を進めて参りたいと思います。

また、公共事業におきましては、引き続き、事業量を確保しつつ、自然災害から県民の生命・財産を守るためのインフラ整備に重点を置き、国の経済対策もしっかりと活用しながら進めて参りたいと思います。

次に人口減少対策に関してです。

昨年6月の「人口減少危機突破宣言」以降、県の組織体制の充実や市町村・民間企業など、多くのステークホルダーの皆様との連携によるオール山梨体制の構築を図ってきたところであります。

また、出生率向上を阻害する要因などの調査研究ですとか、内閣官房参与の山崎史郎氏ら専門家グループと連携した施策の効果検証プロジェクトも着実に進めているところであります。

これらを土台としながら、いよいよ来年度ですが、本格的な実行フェーズへとシフトして参りたいと思います。

本格的な事業展開ですが、今年度の9月補正に計上した基礎調査の結果を踏まえ、6月補正以降に実施をいたしますが、直ちに着手可能な取り組みにつきましては当初予算に計上していきます。

まず、若い世代を対象に、将来の妊娠、出産をイメージし、自らの健康や生活に向き合うプレコンセプションケアを推進して参ります。

また、働き方が多様化する中、女性が希望通りのキャリア形成やライフプランを描いていくためには、妊娠、出産を考える際、本人の意思が十分に尊重され、実現することが大切なことであります。

そのため、来年度から、子どもを産み育てたいと望んではいるものの、様々な事情により今すぐには難しい方々に対しまして、保険適用外となっております卵子凍結にかかる費用を助成いたします。

また、将来の教育費負担への不安を払拭するため、私立高等学校などに通います第3子以降の生徒さんにつきましては、授業料の実質無償化に向け、県独自の上乗せ支援を行って参ります。

更に、人口減少の現状・課題や、将来のあるべき方向性につきまして、県内各地で県民の皆様と意見を交換し、集合知の発揮により危機突破を図る取り組みを開始して参ります。

現行の人口ビジョンを県民参加型で創る「人口ビジョン2.0」に昇華し、人口減少危機突破を県民運動へと高めて参りたいと考えております。

次にDXの推進についてです。

県内企業の大半を占めます中小企業におきましては、DXを更に加速化することで、県内経済に絶大なインパクトをもたらすことが期待できます。

本県で進めるべきDXのあり方といたしましては、単に既存のサービスを横展開をさせるだけではなく、本県内の中小企業の実情やニーズにあったサービスをオーダーメードで提供する「地域内発型DX」でなければならないと考えております。

この地域内発型DXを進めていくには、本県の地域課題を的確に理解した上で、これを解決できるDX人材が必要となって参ります。

このため来年度からは、DX人材の安定的な育成と供給を可能とする「DX人材育成エコシステム」の構築を推進して参ります。

具体的には、研修を受講した大学生が、後輩の中高生を対象とした基礎的な研修において、その指導に当たっていただき、その指導を受けた中高生が大学生になった場合には、今度は指導する側に回っていくという形での自発的な人材育成の循環サイクルを生み出すべく、取り組みを進めて参りたいと考えております。

また、大学生が、本県内の中小企業が抱える課題に対しまして、生成AIを活用しつつ、それぞれのニーズに合った解決策を提案・提供し、中小企業のDXの取り組みを支援していけるようにしていきたいと思います。

これらの取り組みですが、県立大学と都留文科大学の協力をいただきまして、両大学を国中地域と富士・東部地域の核として、全県での人材育成と中小企業支援を展開して参りたいと思います。

次に、富士山における総合安全対策について申し述べます。

世界遺産登録時のイコモスからの「宿題」を解決していくため、これまでも登山者数の管理や安全確保に取り組んできたところではありますが、現在においても、抜本的な解決からはほど遠い状況にあると認識しております。

昨年ですが、弾丸登山者の問題に加え、登山道を占有して休憩するなどの迷惑行為ですとか、御来光目当ての過度な混雑も生じており、登山者の抑制は喫緊の課題であります。

さらに言えば、下山道ですが、現状、噴石・落石など自然災害の発生時に避難できる施設がほとんどないという状況にあります。従って、噴石・落石対策の強化も急いでいかなければなりません。

更に加えますと、麓から登る伝統的登山の振興は、富士山の文化的意義の理解促進だけにとどまらず、登山の意識向上や登山者の分散化などの効果も期待できるところであります。

そこで、登山者の安全確保を図るとともに、富士山の文化的価値を伝承していくため、次の3つの対策によりまして総合的に取り組みを進めて参りたいと思います。

1つ目は、登山の規制であります。

これまで登山道ですが、道路法に規定する道路であったが故に、登山の規制を行うことは困難でありました。このため登山道の一部を道路法上の道路の位置付けから除外し、条例に基づく県の施設として下山道とともに管理し、登山の規制を行って参ります。

富士山の5合目の登山道にゲートを設けまして、弾丸登山を防止することを目的に、毎日、午後4時から午前3時の間、5合目からの登山道を閉鎖することといたします。

また、登山道の過度な混雑を避けるため、登山者数が4000人に達した時点で、登山道を閉鎖することといたします。

なお、山小屋宿泊者は、閉鎖後も登山を可能とする取り扱いにしたいと思います。

また、条例に基づく指導権限を有しました「富士登山適正化指導員」を配置し、迷惑行為などに毅然と対応することといたします。

2つ目ですが、下山道における噴石・落石対策です。

これまでに行いました調査に基づきまして、噴石や落石などの有事の際に、登山者が避難できるシェルターを計画的に設置して参ります。

3つ目は、麓からの吉田口登山道の復興であります。

富士山信仰を支えた富士講ですとか、或いは「御師」の文化の実態を詳細に把握し、その文化的価値に根ざした麓からの登山に結びつけるための調査研究を行います。

これらの対策などに要する経費につきましては、現行の富士山保全協力金とは別に、登山者の皆様から、県施設となる登山道、下山道の使用料2000円をご負担いただく方向で現在調整しております。

次に、物流の2024年問題対策についてです。

2024年4月から、トラックドライバーの時間外労働の上限規制などが適用されることから、労働時間が短くなり、輸送能力が不足することが懸念されております。

我々の便利で豊かな生活は、物流という経済の「血液」の流れがあってこそ成り立っており、物流機能が維持できなければ、県民の皆様の日常の利便性は大きく低下することとなってしまいます。

また、物流業界におきましても、労働環境の改善や業務の効率化への取り組みを進めていただいてるところですが、例えば、消費者としてできることに「再配達を減らすような配慮」が挙げられようかと思います。

本県といたしましても、取り急ぎ、再配達を減らすため、荷物を玄関先などに置いていく、いわゆる「置き配」ですとか、或いはゆとりある配送日時の指定などの普及啓発を行って参りたいと思います。

このほか、物流業界の多重下請け構造に起因する安価な料金設定や労働環境などの諸課題につきまして、関係団体と広く議論を進めていきたいと考えております。

これらの議論を踏まえまして、6月議会を目標に、県民生活と物流業界の全体最適に向けまして、県独自の条例制定を検討するとともに、「宅配ボックス」の設置に対する補助制度などを検討して参ります。

次に、公約の第1の柱、ふるさと強靱化に関しまして、まず、障害者支援体制の充実について申し述べます。

県民誰もが、身近な地域で必要な医療・福祉サービスを受けることができる「生活基盤の保障」はふるさと強靱化の極めて大きな主要な柱となっております。

その一方で現状、富士・東部圏域を中心に、重度の障害者の皆さん向けの入所施設や医療型短期入所施設などが不足し、サービスの地域偏在が生じている状況となっております。

地域偏在の解消に向けまして、施設の新規開設を早急に進めていくとともに、開設までの間のサービス不均衡に対して、暫定的な支援を行っていく必要があります。

このような観点から、まず、入所施設の新規開設に向けた補助金の補助率の引き上げを行うことで新規開設を促進して参りたいと思います。来年度、事業者の募集を行っていきます。

更に、医療型短期入所施設の開設の促進に関しましては、コンサルによります伴走支援や機器整備への支援を行います。

特に富士・東部圏域におきましては、夜間の介護体制の構築に必要となる介護ヘルパーさんの派遣なども併せて行うことといたします。

その一方で、入所施設などの開設までには、一定の時間がどうしてもかかってしまうことから、開設までの暫定的な支援といたしまして、まず、隣接都県のグループホーム利用に対する助成、ご家族や事業所の送迎に係る負担軽減措置などにつきまして実施して参ります。

このほか、医療的ケア児支援センターのサテライトですが、富士・東部圏域に設置し、同地域の医療的ケア児者に対する相談体制を整備いたします。

これらの取り組みによりまして、富士・東部圏域を中心に、重度の障害者への支援をしっかりと推進して参ります。

次に外国人が安心して働ける環境の整備について申し述べます。

外国人住民を含むあらゆる住民が不安なく生活をし、また活躍できる共生社会化の推進は、ふるさとの強靱化・「開の国」づくりの両面から取り組むべき政策として位置付けております。

まず、介護分野に関しまして、現在、「介護待機者ゼロ」社会の実現に向け、その受け皿の拡大に努めているところですが、これに伴います介護人材の確保は大変重要な課題となっております。

この課題に関しまして、外国人材の活用は不可欠であります。従いまして、外国人から「選ばれるやまなし」になっていかなければなりません。

そのため、特定技能制度などにより、介護職に就労する外国人に対しまして、介護先進国である日本の優れた技術や理論を体系的に学ぶことができる、本県独自の「キャリアアップ認証制度」を創設することといたします。

併せまして、県内の介護施設への就職を目指し、日本語学校などで学ぶ外国人留学生に対し、奨学金を給付する制度を創設いたします。

加えて、これは介護分野に限りませんが、本県で働く外国人労働者の皆さんが、母国に残されてきたご家族を、医療面から支える保険制度の構築に取り組んで参ります。これは企業と連携して保険料負担の軽減を図り、安心して働ける環境づくりに寄与するものであると思います。おそらくこういうことをやろうとしてるのは本邦初じゃないかなと思います。

次に、公約の2つ目の柱、「開の国」づくりに関してです。

はじめに、県全域の高付加価値化についてでありますが、うち富士五湖自然首都圏構想について申し述べます。

富士五湖地域を、国内外に開かれた21世紀の「自然首都圏」へと発展させることを目的とした「富士五湖自然首都圏フォーラム」が発足から1周年を迎えました。

この1年間ですが、5つのワーキンググループを中心に大変精力的な活動を行ってきたところですが、先般、新たに2つの国際コンソーシアムが立ち上がったところであります。

1つ目は、本県を窓口に、企業や学術団体など様々な組織が集い、若者を中心に文化や芸術の幅広い分野で国際プロジェクトを行う「富士五湖グローバルビレッジ構想」です。

2つ目は、本県最大の強みの1つでありますグリーン水素を核とした「富士グリーン水素コミュニティ」であります。

今後、この2つのコンソーシアムを核といたしまして、より多くの国や地域の企業・団体にご参画いただき、数多くの国際共同プロジェクトを創出すべく尽力して参りたいと思います。

この富士五湖自然首都圏構想ですが、100年先を見据えた富士北麓地域のあるべき姿、すなわちグランドデザインを描く取り組みであります。

オーバーツーリズムをはじめとした目の前にある諸課題を解決し、更に世界から尊敬を集められる地域としていくために、官民が連携し、富士山にふさわしい観光エコシステムの実現に向けた検討に取り組んで参ります。

このため来年度ですが、富士北麓地域の実情把握や、地域経済、交通、観光等の将来予測などの調査のほかに、世界的なホスピタリティやレジャーの知見を有するアドバイザーとも連携し、観光関連産業を中心としたビジョンを策定して参ります。

また、100年先を見据えた富士山における新たな交通システムを構築していくべく、登山鉄道について継続・追加調査を行うとともに、LRT以外の交通手段との比較検討も改めて実施して参りたいと思います。

なお、地域の高付加価値化に向けた取り組みは、富士北麓に留まるものではありません。これをモデルに、県内各地に横展開を図り、県全域の高付加価値化を進めて参りたいと思います。

具体的には、八ヶ岳周辺におきましては、小淵沢エリアの振興に向け、北杜市や民間企業などとともに、先般、振興検討委員会を立ち上げたところであります。

また、峡南方面に関しましては、そのゲートウェイとなっております「道の駅富士川」を活用したいと思っておりますが、特に来春のコストコの開業によりまして、中部横断自動車道の利用拡大が見込まれております。

このため、今申し上げました「道の駅富士川」において、来訪者に本県のブランド価値を強く訴求し、消費拡大や滞在時間延長につなげる仕掛けづくりを検討しているところであります。

甲府地域に関しましても、北部の森林公園「武田の杜」につきまして、甲府盆地を一望できるすばらしい眺望の場でありますが、その豊かな自然と相まって、今後の有望な観光資源となる可能性が大いにあるものと考えてます。

そこで、地元関係者や有識者を交えながら、武田の杜の更なる価値向上を目指していくとともに、近隣の観光資源との相乗効果を生み出すための検討を進めて参りたいと思います。

次に新たな挑戦への支援についてであります。

改めて、ここに本県の揺るぎない決意といたしまして、山梨県はこの「開の国」におきます、あらゆる挑戦を力強く応援して参りたいと思います。

特に未来に向かって勇気ある第一歩を踏み出す挑戦者としっかりとタッグを組んで、共に踏み出し、そしてそのリスクに関しまして、恐れることなく、しっかりと山梨を前に進めていきたいと思います。

当然、挑戦にはリスクや失敗というものは伴うわけでありますが、それを恐れていたらこういうことはできないわけでありますので、しっかりと受け止めて覚悟を持って進めて参りたいと思います。

この確固たる信念のもと、スタートアップやものづくりといった枠組みに囚われず、個人や企業が実施する様々な「新たな挑戦」と、それを実現する場となるべく、支援体制を更に充実して参りたいと思います。

製造業のみならず、幅広い分野での新たな事業創出は、若者の転入促進や雇用の創出に繋がり、地域経済活性化の呼び水となることが期待できるわけでありますが、ご案内の通り、本県におきましては、令和3年度からテストベッドの聖地化を目指し、山梨県をフィールドに行う実証実験を事業者に寄り添ってサポートしてきたところであります。

結果ですが、全国に事業展開する企業や本県に拠点を設置する企業も出てきているところであります。

来年度からは、本県が支援いたしました企業などが、本県において事業を本格展開するに当たっての助成制度を創設し、いち早い社会実装に向けても手厚く支援をして参ります。

更に観光ですとか、食の分野も含めまして、事業分野や事業ステージを問わず、社会的意義のある新たな価値の創出にチャレンジする個人や事業者を支援する体制を強化して参ります。

このほか、本年度から始まりました、全国初のベンチャー・キャピタルとの協調出資や、新たな支援拠点の整備にも引き続き力を尽くして参ります。

次に農業の振興についてであります。

農産物のブランド価値の向上によりまして、生産者所得の向上を図っていくため、引き続き、生産・流通・販売の三位一体で高度化して参りたいと思います。

生産面に関しましては、品質及び生産性向上のため、データ農業に関する技術開発・普及に取り組んで参ります。来年度、モモにつきましては、篤農家の匠の技の見える化などに取り組んでいきたいと思います。

流通面に関しましては、県産食肉の販路拡大を図っていくため、高度な衛生管理基準に対応した食肉処理施設の整備に向け、基本計画の策定に対し助成を行って参ります。

販売面では、高品質な生産物としてのプロモーションだけではなく、美酒・美食体験の中においても、その素材としての魅力を発信して参ります。

最後に県の組織改編について申し述べます。

まず、先ほど申し上げました富士山における総合安全対策や富士観光エコシステムの構築、富士五湖自然首都圏の創出に向けまして、知事政策局の富士山登山鉄道推進グループと、観光文化・スポーツ部の世界遺産富士山課を再編し、知事政策局内に「富士山保全・観光エコシステム推進グループ」と、「富士五湖自然首都圏推進グループ」を設置いたします。

次に、知事政策局に「新事業チャレンジ推進グループ」を置き、あらゆる新たな挑戦について、その支援体制の司令塔を構築いたします。

最後に、女性や外国人など、多様な主体が積極的な社会参画を行い、活躍する社会の実現に向けまして、共生社会推進施策と労働施策の連携強化を図るための組織改編を行います。

「男女共同参画・共生社会推進統括官」の業務分掌に、産業労働部から労働に関する事項を移管し、名称を「多様性社会・人材活躍推進局」に改めていきます。

記者

富士山登山鉄道の関係で、先ほどLRT以外の交通手段の検討というお話もありましたけれども、それは電気バスも含めての検討というものでしょうか。

知事

もろもろです。おっしゃるとおりです。

記者

それは何か具体的な提案を受けて、そういう検討をもう一度しようということでしょうか。

知事

これまでの検討を深めるということだと思います。

記者

今回概算ですが5145億円ということで、コロナ禍で5000億円を超えて膨らんでいた頃と同等の額となりましたが、これについて先ほど財政が厳しい中でとおっしゃっていましたけれども、ご見解をお願いいたします。

知事

規模的には大変大きな規模ではありますけれども、様々な財政手法も横目に見ながら、改善に向けた取り組みを進めておりますので、財政の効率化は相当程度図られていると思います。

しっかり有効に、より多くの成果が上がるべく、取り組みを進めるために必要な予算であると位置付けています。

記者

人口減少対策についてですが、今回どれぐらいの割合を占めていて、来年度実行フェーズに移すということですが、知事としてどれぐらい力を入れていかれるか、お考えをお聞かせください。

知事

先ほど説明の中にも入れましたが、本格的な展開は今基礎調査をしておりますので、その基礎調査を踏まえて、6月補正から行って参りたいと思います。

従って、全体の占める割合というのは、6月補正をもって見えてくるわけであります。その時にしっかりお答えしたいと思います。

いずれにしても、この問題は様々な問題がかぶさった重要な問題で、今私たちがやろうとしておりますプレコンセプションケア、不妊治療への助成、卵子凍結への補助、こういうものは男女問わず人生の送り方そのものにも関わってくる問題ですので、効果が出るまでには多少時間がかかってくるとは思いますが、早く進めなければいけない問題ですので、一刻も早く進めていきたいと思います。

記者

富士山の登山者の規制について、通行料というか、使用料で2000円を徴収する方向ということですが、2000円の理由というか根拠みたいものは、どういうところにあるのかということと、地元の方から2000円という金額に対して少し意見等も出たと聞いているのですが、今後の議論の中で金額が変わったりする可能性があるのでしょうか。

知事

まず、根拠につきましては後程担当から説明をさせます。

いずれにしても初めての体験でもありますので、いろいろご不安に思うかもしれませんけれども、我々は富士山に登山をされようとする方に、それだけのお金をご負担いただいても十分それだけの価値はある地域だと思っておりますので、登られる方々のご理解は間違いなく得られる自信を持っております。

また、いただきました利用料は、先ほど申し上げましたように、富士山の下山道には落石に対するシェルターすら現状ない、極めて登る方にとっても怖い状況でありますし、そういうことをちゃんとしっかりやっていく。

更には、これまで富士山の登り方というものはスバルラインで5合目まで来て、そこから登っていくだけではない、それが富士登山ではなくて、吉田登山口からはじめて下から登っていくことが本来の登山のあり方でもありますし、これまでのあるべきものを再興させながら、また、道の整備ですとか、そういう雰囲気づくりや、その文化そのものの復興、そういうことも併せて財源とすることで、私はより多くの皆さんにご支持いただけるものになるのは間違いないと考えています。

そういう意味では、不安を持たず、ぜひ自信を持って、よりよいものを作って、より多くの登られんとする方により高い評価をしていただけるようなものを作っていきたいと思います。あと、中身については会見終了後に聞いてください。

記者

当初予算案の住宅の耐震化についてお伺いしたいのですが、耐震診断がなかなか進んでいないということがあったと思うのですが、新たに経費も計上されていて、どのように周知、実施をしていきたいかお考えをお聞かせください。

知事

地元の市町村さんともしっかりと組んで、本当に戸別にお家を訪問をして説得するぐらいの思いをもってやっていきたいと思います。

地震で家が倒壊してお亡くなりになるのは悲劇以外の何物でもないわけですし、でもちょっと大変だな、なかなか1歩踏み出せないなと思う方に対しましても、その必要性ですとか、これをやれば地震が来てもお子さんだとかお孫さんに心配かけずに安心してもらうことができますからやってくださいというようなことも含めて、地元と一緒になって、それぞれのお家の方々に必要性をご理解いただいて、実行してもらうべく取り組みを進めていきたいと思います。

記者

組織の再編について伺いたいのですけれども、富士山登山鉄道推進グループが去年の4月に立ち上がって1年で再編という、このタイミングの再編の理由を改めて伺いたいのと、富士山登山鉄道という名称がグループから消えてしまったことについて、これはエコシステムの中に含まれるのか、お考えを教えてください。

知事

これまでの登山鉄道推進グループの活動をこれから更に発展・昇華させようと思っています。

ただ、私たちの位置付けは50年先、100年先の未来から今を見たときに何を為すべきなのかと、どういう地域を作っていくのかというところの発想からそもそも始まっているわけですので、いよいよ登山鉄道も含めて本筋に議論が進んできているので、それにふさわしい体制を作るということだろうと思います。

また、その言葉が消えたとしても、当然大きなビジョンの中の1つのパーツではありますので、前以上にこの議論というものは進んでいくことになるんだろうなと思います。

記者

予算案の総論的なことで恐縮なのですが、当初予算に丸々予算と名付けるならばどういうふうな予算になるのかをお伺いできればと思います。

知事

「県民生活の強靱化予算」というふうに言うのでしょうか。

記者

富士山の入山料の件で教えていただきたいんですけども、登山者が分散するということで、おそらく静岡県側の登山道に登山者の一部は上がっていくのだろうなと思います。

その点で静岡県側との調整は今回なさっているのか、或いは静岡県側から今回の入山料徴収に関して何らかの質問等があったのかということを教えていただければと思います。

知事

1つは、まず山梨県がやるべきことをしっかりとやることが静岡県さんとお話をする上での大前提だと思っております。

そういう意味で私ども、今日、先ほど発表した通りのことをやるということで準備を進めていきます。

静岡県さんとは、我々、この取り組みにつきましてしっかりと情報交換をいたしまして、いずれにしても協調しながら、弾丸登山の抑制のみならず、富士山の価値の保全に向けて両県が取り組む体制を構築していきたいと考えているところです。

これからそういう調整をしっかりとしていきたいと思います。

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電力需給調整市場への参入に向けた会社の設立について

知事

電力需給調整市場への参入に向けた会社の設立について報告いたします。

株式会社やまなしフレキシビリティカンパニー(YFC)を、エクセルギー・パワー・システムズ株式会社と共同で設立し、昨日、登記をいたしました。

電力需給調整市場におきましては、再生可能エネルギーの導入拡大を見据えまして、令和6年度から、新たなメニューが追加されるなど、取引が本格化する見込みとなっております。

本県では、平成27年からエクセルギーと共同で、高性能な電池システムの研究開発に取り組んできたところであります。

今後は、YFCを中心に、この研究開発の成果と、これまで本県が培ってきました水力発電の技術とを組み合わせ、新たな市場への挑戦を行って参ります。

こうした取り組みですが、公営企業としては全国初でありまして、米倉山における研究成果のビジネス化を目指すものであります。

引き続き、この分野において、本県はトップランナーとして頑張っていきたいと考えております。

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発表事項以外の質問事項

政治資金収支報告書について

記者

今回の議会の前、先月20日に知事自身の不記載の問題を明らかにしていただきましたけども、この問題について議会に対する説明という部分ではどういうふうに考えていらっしゃるのかをお伺いできればと思います。

知事

本問につきましては、これまでしっかり説明をしてきておりますし、また、刑事告発の対象になっておりますので、これ以上何がしか申し上げることは差し控えたいと思います。

記者

今の政治資金の絡みですが、明日から党の幹部の方で聞き取りが始まるということもあるようなのですけれども、知事ご自身も対象にはなっているんでしょうか。

知事

それは自民党本部に聞いてください。

記者

政治資金の関係で伺います。

政治責任というところで伺いたいのですが、知事は1月20日に我々に記者会見もされて、インターネットでの説明もされました。

政治責任というところで、政治責任を果たすべき必要があるとするならば、その説明で果たしたということになるのか。

また、もしそれ以外の方法で、知事の方で説明する考えだったり、他にそういった対応をする考えがあるのか教えていただけますか。

知事

まず説明責任に関しましては、どこよりも早くしっかりと記者の皆さんを通じて有権者の皆様にご説明をしたと思っています。

それに加えまして、私どもがやるのは、その場でもメンションいたしましたが、我々は事務的なミスだと思っていますけれども、今後こういうことが起こらないような再発防止策をきっちりと構築し、それを実行していくことが何よりも重要なことだろうと考えております。

そういう意味で、今私たちはこの再発防止をするための事務的な事務フローの見直し、基本に現金は扱わないで、全て一覧性を持った銀行振り込みを大原則とするとか、そういう事務フローの詳細の見直しと合わせまして、コンプライアンスを監督していただける、極めて高い見識を持った有識者の方に、我々のコンプライアンスオフィサーとしてご指導いただき、その目で見ていただいて、各年の収支報告書の提出も含めた様々な活動に関する適法性・適合性、これをしっかりと確保していきたいと思います。

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富士山登山鉄道構想に関する富士吉田市が実施したアンケートについて

記者

富士山登山鉄道構想に関して、ちょっと前になりますが、富士吉田市がアンケート結果を公表されていましたけれども、知事の受け止めをお伺いしてもよろしいでしょうか。

知事

まず登山鉄道構想、前々から申し上げておりますように、様々議論をしていきたいということでありますので、そういう意味では富士吉田市さんの努力を歓迎したいと思いますし、敬意を払いたいと思います。

しかしながら、一般論として申し上げますと、反対の意思を明示した上で行われたアンケートというものは回答を誘導するものであり、およそ公正公平なアンケートとは評価できないと考えております。

記者の皆様もよく内容をご覧いただければお分かりになられると思いますが、富士吉田市のアンケートにおきましても、市は富士山登山鉄道構想に反対を明示して反対の理由を列記し、構想の概略のみを記載した上で登山鉄道構想について賛否を問うている、そういう形になっております。

これは反対多数の結果を導き出そうという意図が明白となっておりまして、これは公平公正ないわゆるアンケート調査とは言えないものだろうと思います。

しかも、富士吉田市の考え方とする反対理由には大変残念ながら事実誤認ですとか、意図的とも思われるミスリードも散見されるわけです。

従って、全国63%が反対ですとか、市民の反対86%という数字には意味がないと思います。

釈迦に説法で大変恐縮ですが、厳密な世論調査というものは、まず第1に調査目的、調査方法が明示されなければなりません。

2点目として誰を対象とするのかの調査母集団の規定もしなければなりません。

さらに、ランダムサンプリングなどを用いました調査対象者の抽出方法、こういうものが不可欠となって参りますが、いずれも不明確です。

このため、この種のアンケートで最も注意をしなければならない組織票の排除がなされた形跡を見つけることができません。

調査対象者はランダム抽出をしていないので、当然組織票の存在というものも懸念されるものとなっております。

特に市民1495人に関しまして、抽出方法や属性が明らかではなく、かつ全市民4万6765人の3%にすぎず、特殊な集団の可能性は一般論として否定できないわけです。

従って、このアンケートは、住民や市民の意見を代表したものと認識することは困難なものであると考えています。

なおかつ、さらにアンケートの末尾の方でプレゼントや景品などについての記載がありますが、これはそういう誘導をするというふうに受け止められる恐れもあり得るものであって、これはいかがなものかなと思っております。

従って、これは1つの富士吉田市さんのそういうご意見だと我々として認識をいたしますが、この何%何%という数字は全く意味がないと私たちはそう考えている次第です。

報道機関としてどうでしょうか。同じようなアンケート調査をもし我々がしたら公正な数字として扱っていただけるものなのでしょうか。

私はちょっとそういう意味では、これは意見表明であって、客観公正なアンケートとは残念ながら認識できないと考えています。

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