知事記者会見(令和6年11月26日火曜日)
ページID:118404更新日:2024年11月27日
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防災新館401,402会議室 14時00分から 発表事項 発表事項以外 |
知事
この度、来年度から25人学級を小学校5年生に拡大し、令和8年度には25人学級を6年生まで延ばし、小学校1年生から6年生まで完成させることといたしましたので、御報告申し上げます。
かねてより、25人学級を実現したいと繰り返し申し上げてきたところですが、5年生以降にも25人学級を更に拡大していくためには、二つ乗り越えなければならない課題がございました。
一つ目は、財源であります。
財源につきましては、「教育環境・介護基盤整備基金」の収入と電気事業会計からの繰入金を活用し、これを実現することができると判断したところであります。
もう一つの課題、すなわち先生の不足です。
教師不足への対応につきましては、少人数教育推進検討委員会におきまして、委員の先生方から大変熱心な御議論をいただき、具体的な方策についてのお知恵をいただいたところであります。
委員の先生方からいただきました工夫のもとに、25人学級導入に対する関係者の皆さんのコンセンサスが得られたと、このように判断いたしましたので、この度の決断に踏み切った次第であります。
改めまして、検討委員会の委員の皆様には、山梨の教育のために、熱心に御議論いただいたことに心から感謝したいと思います。
今後ですが、来る2月議会に提出いたします来年度予算案におきまして、5年生までの25人学級に要する予算を計上し、議会にお諮りをして承諾をいただきたいと思っております。
全国に先駆けて本県で実施しております25人学級ですが、これは他県に誇れる山梨県の魅力ある施策であると言えようかと思います。
これまで25人学級を4年生まで拡大してきたところですが、学校現場あるいは保護者の皆さまからは、導入により子どもたち一人ひとりにきめ細かな指導が可能となっている、あるいは、先生の負担軽減にもつながっている、といった声を伺っております。
まさに、25人学級の良さを感じていただいていると言えようかと思います。
検討委員会におきましては、小学校5年生以降も、25人学級を推進すべきとの御意見をたくさんいただき、14日に提出いただきました報告書にもその方向性が示されたところであります。
特に、教師不足の中、少人数教育を推進していく上での具体的な方策につきまして、相当な時間をかけて御議論いただいたと、このように伺っております。
報告書におきましては、教師が不足しうる当面の間は、25人学級の制度は維持しつつ、先生が確保できる可能な範囲で少人数教育を進めること、そして、アクティブクラスの加配教員の柔軟な運用といった御提案をいただいたところです。
私も、このような素晴らしいアイデアは、是非とも積極的に取り入れて、少人数教育を進めていくべきと考えております。
もとより、この先生不足への対応につきましては、県だけで完全に打開することは難しい問題であります。
国や県、市町村がそれぞれの役割を果たしながら、子どもたちのために一丸となって取り組むべき課題であろうかと思います。
そうした観点から、国におきましては、教師の処遇改善の実現がなによりも必要であると考えます。
私も先般、国に要望を出したところであります。
また、市町村におかれましては、共に本気で教師の確保に取り組んでいただけるよう、改めてお願いを申し上げたいと思います。
なお、この少人数教育拡充のための財源につきましては、先ほど申し上げたとおりですが、改めて申し上げますと、「教育環境・介護基盤整備基金」の既存の収入の一部を充てるとともに、令和6年度に電気事業会計からの繰入金を2億円増額したところですが、令和7年度以降は、繰入金を更に7億5千万円増額することとなります。
電気事業会計に携わる企業局の皆さんの御尽力の賜物であると考えております。
なお、25人学級の導入に伴いまして、一時的に教室不足が生じることが想定されております。
私ども県におきましては、この対応策として、アクティブクラスによる教員の加配措置を講じることとしておりますので、その活用を是非、検討いただきたいと思います。
25人を超える、本来であれば2つに分けるところを1つの教室にして、その代わりその1つの教室の中に先生が2人いて、子どもたちを教えていくと、こういうアクティブクラスのやり方を是非活用していただければありがたいかなと思います。
なお、県としましては、各市町村の状況を伺いながら、この課題につきましては検討していきたいと思います。
改めてとなりますが、言うまでもなく、教育は山梨の未来をつくると、その思いでこれまでも取り組んできたところですが、特に、どのような環境や境遇でありましても、誰一人取り残されるようなことはなく、夢や希望に向かってチャレンジできる、そういう山梨を皆さんとつくっていこうという決意の下に、特に最も重要なこの山梨の未来のつくり手となる子どもたちに対しまして、その可能性をしっかりと引き出していける、そういう教育環境をつくっていきたいと思いますので、引き続きの御理解と、そしてお力添えを賜りますように、この場をお借りしましてお願いをいたします。
記者
少人数学級について、前回2年前の時に3、4年生に導入されました。
その時もお伺いしたのですが、今度、5年生の方に導入する際には、学級数がどのくらい増えるというふうに見込まれていて、それに応じて、常勤や非常勤の先生などの増加などで、どのぐらいの人件費が掛かると見込んでいらっしゃるのか、そのあたりのところについてまずお伺いしたいと思います。
教育長
今後、児童数や学級数というものに入れ替わりがあり、変動していくものですので、現時点で詳細な回答は難しいのですが、今、教育委員会で見込んでいる数といたしましては、大体、5年生に25人学級を導入していった場合、40人ほど、新たに教員数が必要になってくるのではないかなと見込んでおります。
あとはこれから先、具体的に数字が変わっていくところでございますが、現時点ではこのような見立てを立てているところでございます。
記者
人件費については、2年前の時は、確か5億円ぐらい掛かるというふうに見込んでいらっしゃったと思いますが、そのあたりについては、今回はいかがでしょうか。
教育長
金額につきましては、今のところですけれども、約3億円ほど追加される見込みということで考えているところでございます。
ただ、こちらもまた額が変わってくるところでございますので、今のところの目安ということで御承知いただければ幸いでございます。
記者
小学校6年生までを拡大するという方針を示されましたけれども、こういった教育が山梨県内で行われているということを山梨県内はもちろんですが、県外に対しても広くアピールすることによって、山梨県内の教育環境が充実しているということが広く伝わる、或いはそれが他県でもある種の参考になるかと思うのですけれども、こういったことについての広報についてはどのようにお考えかということをお伺いいたします。
知事
大変重要なポイントだと思っています。
教育関係者の間では知られている話ではありますけれども、広く県民の皆さん、そして、県民の皆さんに留まらず日本国全体に、我々はこういう教育環境の整備をしていますと、おっしゃるとおり、これからしっかり広報に取り組んでいきたいと思いますので、是非、山日新聞さんをはじめ、メディアの皆さんにお力添えを何卒よろしくお願い申し上げたいと思います。
教育長
教育関係者も、この25人学級をやることを都内や県外の大学でも周知させてもらっています。
山梨県の先生は、教えやすい環境だということをPRさせてもらっていまして、最近は、他県で教員をやっている先生が途中で辞められて、山梨県でもう一度先生になろうと応募されている方が増えてきています。
よくお話を伺いますと、25人学級に魅力を感じて、教えやすそうだと思ったと言ってくださる方が結構いらっしゃいまして、こういったいろんなところに教育委員会からも積極的にPRしてもらって、山梨県で教えやすいのだというところで、県外からの人口増に繋がればいいなと考えているところであります。
記者
確か、少人数教育を2年前に導入されたときの財源としては、4年間で貯めていた基金が、確か46億円とかあって、それを充当していくという形で、少人数学級を導入していくという形で導入されたと、財源については確保されたと思いますけれども、今回、それから2年経ちましたけれども、県の基金などの状況については、更に積み増しをして対応できる状況にあるのか、或いは、ここ2年ぐらいちょっと厳しさを増しているのか、そこら辺のところについてはいかがでしょうか。
知事
そこは後ほど、専門家から解説させたいと思います。
ただ、今回、可能になったのは、やはり企業局からの繰入金。
これはしっかり要はいろいろ交渉の結果で、増収が見込まれ、なおかつ、いろんな工夫のもとで、一般会計繰入額を増やす目処をつけられた。
これはやっぱり一つ大きな要因であったと考えています。
課長
先ほど御質問のありました財源につきましては、もともとは、小学校3年生、4年生の導入の際にも議論がありましたけれども、令和6年度以降の電気事業会計の繰入金2億円を増額して対応しておりました。
また、更にそれを超えて必要になる52億円については、余剰財源等の積み上げで、「教育環境・介護基盤整備基金」に積み立てることで問題はなかったわけでございます。
その上で、今後、先ほど教育長からも説明があったと思いますけれども、電気事業会計からの繰入金が更に上乗せされることになりますので、これをもちまして、アクティブの拡充まで含めて、基本的には問題がありません。
これまでですと、令和31年ぐらいには児童数の減少に伴って、問題なく実行できたというところですけれども、小5、小6だと、元々の積立額では足らなかったという部分がありますが、今回の7.5億円の増額に伴って、問題がないということでございます。
あとは先ほど説明の途中で、財政影響はどのぐらいですかというのに3億という説明があったと思いますが、こちらは小5のみで3億円、かつアクティブは含まれておりませんので、御留意ください。
記者
昨日開かれた全国知事会議において、知事の方からも103万の壁の見直しに対する意見が出て、他県の多くの知事さんからもいろいろ御意見がでていたと思います。
この議論、今後さらに国の方で本格化していくと思いますが、知事として改めて、今後の議論、どのような内容であったりとか、どのような進め方に期待していますか。
知事
103万円の壁の問題そのものについては、これは是非、国でしっかり御議論をいただきたいと思います。
昨今、なかなか物価も上がって、生活状況が厳しさを増す中で、手取りを増やすというのは、これは大変重要な課題だと思っています。
他方において、これが地方財政にはそのままでいくと大変大きな影響が及びます。
この部分、特にその基盤的、先ほど教育の話もそうですけど、地方行政は住民の皆さんの生活に直結する様々な基盤的な仕事を多く行っています。
当然、それには財源が必要で、決して我々も、ばらまいたりしているわけでは全くなくて、必要なところに必要な手をできる限り差し伸べたいという思いでやっているわけですが、それに必要な財源が国における議論によって、大幅に落ち込んでしまうようなことは、それは困ることですので、これはかつてすべてそうだったと思いますが、何がしか減税ないし、そういう対応をとるような場合は、当然地方財政措置を通じて、地方のそれぞれの全国の都道府県、市町村の財政運営に支障が及ばないようにやっていくのが、これまでのやり方でありますので、これからも今回においてもそのような取り扱いをしていただきたいと思います。
ただし、これが極めて恒久的な制度に、時限的に何年間やりますとかいう話ではなくて、恒久的な制度に及ぶわけですので、当然、地方財政に及ぶ影響を相殺するためのその補填措置というのは、制度の見直しをしていただかざるをえないと思います。
やり方も複数の方法があろうかと思いますが、そこはしっかりやっていただきたいと思います。
こうした財源措置の問題は、103万円の壁の引き上げを議論するのは大変結構な話だと思いますが、責任ある政党の御議論としては、そのための財源はどうするのだ、地方財政に対する影響はどうするのだと、ここまでセットで議論をしていただかなければ、これは責任ある政策にはならないと思います。
ちょっとショッキングだったのは、「財源措置については、これは政府与党で考えろ」と突き放すのは、これはちょっといかがなものかと、私は大変残念に思います。
やはりそこまでセットで、どうあるべきだと、国として地方自治体が提供する行政サービスは水準を下げても差し支えないという判断を国全体でされるなら、それはそれで致し方ないのかもしれませんが、私たちは、それは決して適切なやり方とは思いません。
借金をして負担を後世代に押し付ける、これも一つの考え方かもしれませんが、それが本当に正しいのか。
或いは、例えば所得税なら所得税の中で控除枠は引き上げるけれども、例えばより富裕層、お金持ちから、より多くの御負担をいただくような、例えば、累進税率の引き上げですとか、いろんな工夫というのは議論ではあり得るわけなので、是非、そういうところも含めてしっかり議論していただきたいと思います。
物事、良いことと悪いことの両方があって、控除枠を引き上げること自体はみんな賛成されるのでしょうけれども、それをどうするのだというその財源の部分、これはかなり厳しい議論になるし、議論すること自体が本当に厳しく辛い話かもしれませんが、ただやっぱりそこからは是非、逃げないで、正面から向き合っていただきたいと、そういう議論を今後、予算編成過程においてしっかりしていただくことを期待するものであります。
記者
昨日の知事会でも村井知事がおっしゃっていましたけれども、総務省から何がしかの依頼があってこういった発言を知事の皆さんがされているのだと、つまり、けしからんというような話は総務省の指示であるというような、ある種の言説に対して、「そんなことは一切ありませんよ。しっかりと抗議をしていきたい。」というふうにおっしゃっていました。
改めて、国からそういった依頼がなかったかどうか、そして、そのことに対してそういった風説があることについて長崎知事としての受けとめをお伺いいたします。
知事
まず事実として、少なくとも私のところには総務省から何か言ってきたというようなことは全くありません。
私は、この地方財政の仕事をかなりやってきたものですから、最新の動向はいざ知らず、総務省の皆さんも、我々にとっては後輩みたいなものですから、何か言ってきても、何を言っているのだと思われると思ったのでしょうか、多分僕には何も言ってこないと思います。
その上で、この問題が、要は住民税、そして、所得税の減収をもたらすということイコール地方歳入に直撃する問題であるのは、これは真面目に地方財政に向き合っている各都道府県、そして市町村の首長さんたちは、もう皆、真剣に思っているわけですので、総務省から言われたからやるような見識のない人は、私はほとんどいないのではないかと思います。
皆、自分事で、総務省がそんな発言しないでくださいって言おうが何しようが、ふざけるなと、地方財政どうすんだという話は皆さん共通して言う話だと思います。
これは、言われなくたって、心配の声を上げるのは当然の責務であって、逆に声を上げない人の方が、相当余裕があって羨ましいですねと思わざるを得ないと思います。
なので、普通の自治体は、もう皆心配でしょうがないわけですし、まさにその目の前に住民の皆さんの顔を見ながら日々行政をやっているわけですからそこに大きな行政に穴があくようなことを、それは、座視は誰もしないだろうと思います。
そして、最後の話ですけど、そういう状況であるので、少しでも、地方自治に携わったことがあれば当然わかるわけで、それをあそこの首長はあそこの知事は、総務省に言われたからこんな発言をしているのだというのは不見識の極みだと、地方自治に対して失礼極まりない、コメントするのも嫌なぐらい愚かな発言で、それは我々としては、是非、即刻取り消しをしていただいて、地方自治体に対して謝罪するところから議論をしていただきたいと思います。
記者
今日、富士トラムの問題で、富士吉田市長に説明があったと聞いていて、その後の囲みの取材に対して、堀内市長さんが知事から富士トラム通年営業はしませんということと、五合目の開発規模は大きくしないと言われたとお話になっているようで、その上で、この時点で富士トラムに対して、市として反対する理由はありませんとおっしゃったようです。
今、申し上げたことについて、事実関係の確認と知事の受けとめをお願いします。
知事
私が言葉足らずだったのかもしれませんが、イコモスからは五合目の人工的景観を何とかしろと指摘されており、これは宿題になっているわけです。
これは、重ね重ね申し上げていることでありますし、他方で現状の五合目においては、万が一富士山に火山災害が起こった際に避難するシェルター機能に事欠いている現状があります。
現時点において五合目をどうこうしようと決めてないわけですが、そのような問題意識を持ちながら、これから議論をしていかなければならない課題です。
富士山の自然や今の現状をできる限り維持すべきということも1つの御議論ですし、他方でこの問題をどのように考え、どのように向き合って、どのような解があるか、そこはしっかり議論していかなければならない問題だと思います。
通年営業に関しましては、先般の意見を伺う会の中で、反対する会の上文司代表からは、冬場の富士山に人が全く立ち入ることを否定するものではないと伺っています。
ただ、神聖さや静寂さなど、そういったものを尊重されないのは困るというお話がありましたので、御趣旨を踏まえながら、何をどこまでどうやるのかということを考えて議論をする必要があると思っております。
といいますのも、片方で、通年営業を求める皆さんもいらっしゃいます。
そうした様々な利害関係といいますか、関係者の御意見の中で、何をどうすれば一番いいのか。
そこは予め決めないで、しっかりとした議論をこれからやっていこうということになろうかと思います。
記者
トラムについて冬はやりませんということを方針として決めていることではなくて、継続して議論していきましょうと申し上げたということになるんですかね。
知事
私はそう理解しています。
それが富士吉田市長さんと違う理解でしたら、恐らく私の説明の仕方や話し方が悪かったのかもしれません。
その点は改めてお詫びをしないといけないわけですが、ただ、話し合いや議論をする前に、これでいきましょうということはないので、引き続き、我々の問題意識も共有をしていきながら、富士吉田市長さんをはじめ、御心配される皆さんの御意見もいただきながら、最適解を見出す努力をしっかりとしていきたいと思います。
記者
富士トラム構想についてお伺いします。
本日、富士吉田市長に説明に伺ったり、あるいは今後、反対団体等への説明も予定されていたりすると思いますが、構想自体、富士北麓地域、更にはリニア新駅がある甲府市も含めて県内全域で関わってくるテーマかと思います。
そういった点を踏まえて、今後、説明であったりとか、地元への理解、更には広い地域での理解促進に向けた取り組みであったりは、どのようにお考えでしょうか。
知事
全県に関わる問題だと思いますので、全県の皆さんにしっかりと説明していきたいと思っています。
そういう意味では、これまで国中地域の皆さんは、あまりこの問題についての関心も、決して高いかというと、そうでもないのかなとも思いますので、まず12月16日に甲府市、そして19日に南アルプス市で、私が出席して直接、市民の皆さんに説明し、また対話していきたいと思います。
今、会場が取れた順に企画しているのですけれども、当然、富士吉田市をはじめ、富士五湖周辺の各市町村、甲府盆地、或いは峡南地域、東部地域、これは全県で対話しながら、理解いただき、また、更なる良いお知恵を、あるいは反対論も含めてしっかりいただいて、そこで議論を積み重ねるようにしていきたいと思います。
記者
県の人口のことですけども、79万人をもうすぐ割り込みそうだということです。
昨年から、県は人口減少危機突破宣言を出されて、色々な少子化対策をなされています。
今時点で、その人口が79万切りそうなことについての受けとめと、これまでの取り組んできたことについて、知事としてどういうふうに評価され、今後、更に加速すべき対策はどういうものがあるのかということについて教えていただきたいと思います。
知事
今回の減少の中で、主に自然減が大きく響いてきたかと思います。
社会増減については、若干の増加となっているということのようですが、お亡くなりになる方の数が新たに生まれた人の数を大幅に上回ったと、こういう構造になっているわけです。
したがって、私たちとしては、生まれる子どもの数をいかに増やしていくか、ここが人口減少問題のずっと大きな課題であって、私たちはその点に対して、しっかりターゲットを絞って取り組みを進めて参りました。
その生まれる子どもの数をどうやって増やすのだということは、世界は別として、少なくとも日本の今の現状においては、結婚される方の数を増やしていく、婚姻数自体がかつてと比べて大幅に減少して、婚姻したカップルの数が、出産適齢期、その年代のカップルの数が少なくなっている、ここは一つ大きな問題で、まず結婚の数をどうやって増やしていくか、これは一つ大きな課題だと思います。
ではどうして結婚しないのだと、色々調べますと、結婚したくてもできない方が、色々な理由で、そこには経済的な理由もあるのかもしれません、様々な理由もあるかもしれませんが、そういう背景要因をしっかりとあぶり出して、その背景要因を解消する、少なくとも結婚を希望される方が全員良きパートナーを見つけ、そして、現に実際に色々な心配なく結婚に踏み切れるような、そういう社会環境を作っていくことがまず重要かと思っています。
それと併せまして、結婚した後、実際、本当に子どもをどうするのだという議論は、次の議論ですが、ここは色々な場で繰り返し申し上げているように、やはり所得の問題が大きいかなと思っています。
20年前は、大体年収300万円を超えると子どもを持とうとされた方が多くありました。
今現時点でどうかというとそれは500万円の数字になっています。
20年前の300万円と今の500万円、これは物価の上昇では説明できない数字ですので、これは一体何故ここが変わってきているのかと、おそらく将来に対する所得増加に対する期待値、これが低下してしまっているのは大きな原因ではないだろうかと。
我々はそのように考えておりまして、したがって、今すぐ社会全体が所得を上げさせることはなかなか難しいとしても、頑張った人がちゃんと報われるような、努力が報われるような社会にしていくことが必要だろうということで、今、私たちはスリーアップ運動に取り組んでいるのは御案内のとおりです。
こういう運動をさらにしっかり進めて、頑張れば所得は上がり得るのだという確信を持ってもらえれば、今、仮に現状300万円、ここは実は所得階層でいうと一番大きな塊なのですけども、今、それが年収でも、自分たちは頑張っているのだから、いずれその所得が上がるはずだと、そういう確信を持ってもらえるような社会づくり、これから更にアクセルを踏んでいかないといけないと思っています。
あともう一つ、そうは言っても頑張ったと、子どもも生まれたけど、本当はもう一人欲しいのだけど、でも今の住居の状態ではちょっと厳しいねと、実際私たちの調査でも住環境と、持てる子どもの数と相関関係がある、これが分かっておりますので、30代とかの若い皆さんに、どうやったらその子育てに十分なスペースがある住環境を提供することができるのだろうか、こういうことも重要なテーマとして、今後、取り組みを進めていきたいと考えています。
人口が減少するのは、本当に痛恨の限りではあるのですけども、ただ、何もしなければ始まらないわけですので、とにかくできることをしっかり着実に、今、申し上げたようなことを中心にできればと考えています。
記者
補足で教えてください。
スリーアップ運動も含めて、オール山梨の体制で取り組んでいかないといけないと思うのですけども、その辺の取り組み状況については、知事は今うまくいっている、或いはもっとやらないといけない、という意味だとどういうふうに考えていますか。
知事
このスリーアップに参加していただいている企業の数自体は増えておりますが、まだまだそれぞれ各企業さんに自分事として取り組んでいただく、また働かれる皆さんにも、そういう確信を早く持ってもらえるようにすることが必要だと思っております。
まだ取り組みは道半ばです。
また、スキルアップのためのプラットフォームであるキャリアアップ・ユニバーシティ、これは県が責任を持っておりますが、ここの内容もしっかり充実をさせて、ここでしっかり学べば、学んだことが役に立って、自分の会社の収益が上がったねと、職場はそれに対して給与アップという形で報いてくれているねと、こういう循環をつくるためにキャリアアップ・ユニバーシティは大変重要な存在だと思っておりますが、ここの内容の充実を図るべく、更に不断の見直しはしていきたいと思います。
記者
SNSを活用した選挙戦についてお伺いいたします。
昨今行われました、衆院選、兵庫県知事選、ひいては名古屋市長選など、SNSを用いた選挙戦というのが非常に多く注目を浴びていますし、結果に大きく影響したという事例も見受けられます。
メリットとして、若い層であったり、今まで選挙に疎かった人が触れやすくなったりという一方、例えば増税派であるとか、移民推進派であるだとか嘘、デマのような書き込みをされて、炎上してしまうというような事例も、ある程度見受けられました。
知事におきまして、SNsを活用した選挙戦というものを今現在どう見てらっしゃるかという所見をお伺いできればと思います。
知事
ここは今後、研究が必要な分野かなと思っております。
これは選挙ではないのですけれども、例えば、山梨県の取り組みの中でも、外国人労働者の医療保険に対する補助、これが思わぬ炎上したこともあります。
いろんな皆さんが関心をお持ちのことに対して、いかに的確に、正しい情報を提供するか。
このやり方はどうするのだ、また、いろんな考えをお持ちの皆さんのその考えをいかに認識して、それに対してどう対話をしていくか。
これは日々苦しみながら取り組みを進め、暗中模索しておりますが、引き続きコミュニケーションをしっかりと進めさせていただいて、本当に多くの人が、我々は集合知という言葉を使っておりますけれども、いがみ合うとか分断するとかではなくて、良い意見を出し合って、一つの社会を、方向性を、世論が決まるような、そんな環境を作るべく、諸々の研究とか勉強をしていきたいと考えています。