知事記者会見(令和6年5月29日水曜日)
ページID:115813更新日:2024年5月30日
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防災新館401,402会議室 11時30分から 冒頭説明 発表事項 発表事項以外の質問事項 |
知事
まず今、司会からお話がありましたように、発表事項の前に、過日報道がなされました、山中湖畔県有地に関する賃料交渉に関しまして、一部報道がありましたが、若干事実と異なる点がありますので、この場をお借りして訂正をさせていただきたいと思います。
ただ、これまで表明をしておりますとおり、県といたしましては、富士急行株式会社とは、相互の信頼関係に基づき、問題の解決を図るべく、現在協議を行っているところであります。従いまして交渉内容そのものをつまびらかにすることは、この信頼関係を破壊することに繋がると考えますので、差し控えたいと思いますのでご理解をいただきたいと思います。
ただし、報道されたところの相手方の主張とされる部分には、誤ったところがありますので訂正をさせていただきたいと思います。
全部で3点ございます。
1点目。まず、転貸承諾に関することですが、県が新たに土地を貸し出す際に、1区画当たり約90万円の承諾料の支払いを求めたということは事実がございません。
決して90万円を支払わないから転貸承諾をしないわけではありません。
この点に関しまして、正確を期すために、現在、県が相手方に示している承諾の条件をご紹介したいと思います。
全部で2つありますが、承諾料の支払い義務があることを認めてください、これが1点目です。
2点目は、この承諾料の額につきましては協議をしましょう。
以上、この2点が受け入れられれば、協議が継続している限り、承諾料の支払いなく転貸を承諾すると投げかけておりますが、現時点においては応じていただいておりません。
そして、2点目の誤りですが、転貸承諾をしないことが、債務不履行に当たるとされている点であります。
契約書上、転貸は原則禁止されております。ただし、県の書面による承諾が得られた場合に限って転貸することができる、このように契約書には定められています。
従いまして、転貸承認をすることが契約書上の義務とはなっておりません。
転貸承諾をすることが、契約書上の義務とは全くなってないわけでありまして、承認をしないことが債務不履行に当たるということは、法律上有り得ないと考えています。これが2点目です。
それから3点目ですが、開発前の地価を基準とした従来の算定方法が、高裁判決で明確に認められたという形で報道がされているようですけれども、この高裁判決ですが、契約の有効性を認めただけとなっています。従来の算定方法が適正であるがゆえに、将来にわたり継続すべきであるなどと判示してるわけでは全くない、とのことです。
この判決におきましては、逆に、造成前の素地価格による低廉に抑えられた賃料額を基準に算定された賃料につきましては、平成29年契約の評価として、相当でない場合もあり得る旨の判示、それはしている。
それは、判決文読んでいただければ明確に記載されておりますので、なぜこのような報道が出ているのか、ちょっとよくわかりませんけれども、そうなっているということであります。
いずれにいたしましても、様々見解の相違があることは、むしろ当然でありまして、であるがゆえに協議をしているわけですから、引き続き私たちとしては富士急行株式会社さんとは、問題の早期の解決を目指して話し合いを進めていきたいと思います。
記者
富士急行の山中湖畔賃料の関係なのですが、交渉の中で富士急行は法的手続きでの解決というのを求めてるかと思うのですが、それを踏まえてそれに対しての知事としての受け止めというのはいかがでしょうか。
知事
現状まだ話し合い続けてますので。
いわゆる調停ですとか裁判というのはあり得るプロセスではありますけれども、我々としては話し合いでお互い納得のもとに決めていくのがベストであるし、そのベストの道を引き続き探っていきたいと思います。
知事
次に、本日の本題であります、富士山吉田ルート通行予約システムの状況、併せて開山に向けた対策の更なる充実についてご報告したいと思います。
まず、予約システムの状況ですが、今月20日から運用開始をした予約システム、本日までシステムトラブルもなく、順調に稼動をしております。
システムの導入にあたりましては否定的なご意見もありましたが、全国の多くの皆様からは大変好意的に受け入れられ、順調な滑り出しとなったものと認識をしています。
昨日28日までの累計予約者数は13,726人で、予約状況は開始直後に比べて落ち着いてきてはおりますが、着々と増えている状況です。
また当初、開山期間中を通しまして比較的均一に予約が入っておりましたが、現在は週末の予約が増加傾向にあります。
ただし、現状どの日も予約枠は十分残っておりますので、安心して登山計画を立てていただきたいと思います。
なお、直近の予約状況ですが、富士登山オフィシャルサイトで確認できますので、ご参考にしていただきたいと思います。
次に、再来月1日の富士山の開山に向け、登山規制を円滑に実施するため、対策の更なる充実を図ることといたしました。
具体的には、まず1点目、登山者が5合目に到達する前に、登山規制や登山者数の状況を周知するため、麓の鉄道駅や富士山パーキングに新たにスタッフを配備することといたしました。
また、5合目の受付或いはゲート前の状況をリアルタイムで配信するためのカメラの設置や、通信環境の整備改善を図っていきます。
更に3点目ですが、昨年見られた状況ですけども、登山道での寝込み、或いはたき火、登山道を外れるといった大変危険な行為を的確に指導できるように、巡回指導員を増員いたします。
これに加えまして、今年の夏の規制状況を検証いたしまして、来年の対応の改善につなげていくため、登山者動向の調査分析も行って参りたいと思います。
これらは、これまで関係者からいただいたご意見或いはご要望を踏まえたものであり、開山が迫る中、早急な準備が必要となることから、予備費を活用して行います。
予備費の充用規模ですが、6,700万円余となっております。
いずれにしても、関係者の皆様のご理解とご協力をいただきながら、登山規制が無事スタートできるように、引き続きしっかり取り組んでいきたいと思います。
本件は以上です。
記者
富士山の追加の対策についてお伺いいたします。
現状まだ残すところ1ヶ月で開山ということですけれども、当初予定していたよりも、その情報周知であったりだとか、巡回指導員の拡充ということをこの時点で早めに手を打つということについて、知事として、対策の必要性を改めてどのように感じていらっしゃるのか教えてください。
知事
今年は本当にある意味富士山をめぐるオーバーツーリズム問題の正念場だと思っています。
ここをしっかりマネジメント、コントロールすることで1つはオーバーツーリズムの負荷を緩和方向に向けさせるかどうかというのが問われるんだろうと思います。
特に今回人数のキャップをかけてやるわけですので、初めてのことですからいろんな混乱が生じるんだろうなということは覚悟をしなければならないんですが、少なくとも、ただその混乱を少しでも小さいものにしていくべきです。できる限りのことは早急に行いたいと思っています。
立ち上がるまでに若干時間のかかることも多くあるでしょうし、また更に今後必要な、いろんな関係者のご意見、工夫、そういうものも取り入れ、追加もあるとは思いますが、基本はとにかくできる限りの努力を、混乱が生じないようにするための努力をしていきたいと考えています。
今回の対応はその一環であります。
記者
先ほど予約システムでは、やはり週末であったりだとかの予約がもうすでに埋まりつつある、増えてきているということで、やはり平日と週末ということで、対策というのも、走り始めてから順次、ということでよろしいでしょうか。
知事
十分あると思います。
まだ週末はそうは言っても埋まりつつあるわけではなく、まだまだ余裕がありますが、ただやっぱり週末の方の予約が多いと。
今後そういう予約状況の情報も踏まえながら、どういう体制を組んでいくのがいいのかっていうのは考えていきたいと思います。
もちろん空いているときと混んでるときは対応が違うと思いますし、今年はただ初めてのケースなので、予約状況でこれだけ混んでいれば、実際のところはやっぱりこれぐらいの混み具合になって、そうなったときにどれぐらいの体制とかこうやるべきことが必要か今年しっかりデータを取りながら、やっていきたいと思いますが、ただ状況に応じた対応を変えないといけないってのはおっしゃる通りだと思います。
記者
富士山の予約システムなのですけれども、今現状で累計予約者数1万3700人、去年の吉田ルートの登山者数が13万人なので、大体1割程度かなと思うのですけれども、この人数の評価について教えていただけますでしょうか。
1ヶ月前としては結構周知が広がってるのか、それともまだまだ周知が広がっていないのか、県としての受け止めというものを伺えますでしょうか。
知事
多分予約が本格的に入ってくるのはこれからだと思います。
まだ1ヶ月2ヶ月も前ですから、今の段階で登山計画を立てる方もいらっしゃるでしょうけれども、ご自身のいろいろな状況も踏まえて直前に考えて、予約される方も多くなってくるので、これから予約者数は増えてくると思っています。
知事
ベトナム人労働者家族医療傷害保険加入支援事業について、お話をしたいと思います。
先般、この募集開始についてご案内をいたしましたところ、一部SNS上で、誤解に基づく情報が拡散したことから、改めて今回、私から説明をさせていただきたいと思います。
まず制度構築の背景ですけれども、これは少子高齢化により労働人口が縮小していく状況に我が国全体であるわけですが、そういう状況の中で、特に地方においては、中小零細企業中心に人手不足が深刻化している状況であるのはご案内の通りです。
山梨県におきましてもその例外ではなく、人口減少対策、或いは労働力確保に向けた多岐にわたる取り組みを展開はしているものの、多くの県内企業で現在進行形で労働力不足が進行し、そして人材獲得に大変なご苦労をされているところであります。
働き手の確保が非常に大きな社会問題となっている中にありまして、外国人労働者は、日本経済、ひいては、本県の経済にとりましても、もはやなくてはならない重要な存在になりつつあると、こう認識をしております。
実際のところ、山梨県の外国人雇用事業所数ですが、令和5年10月時点で1,900ヶ所と、年々増加しておりましてこの10年間で2倍以上となっております。
他方、海外に目を向けましても、世界各国で人材獲得に積極的な施策展開を進め、ここはもはや大変厳しい国際競争にさらされてるところであります。
極めて激しさを増す国際競争の中にありまして、我が国は、円安の進行などが要因となって、外国人労働者にとって魅力が薄れ、だんだん選ばれない国になりつつある、そういう状況になりうるということは心しておく必要があると思います。
加えまして、日本国内でも人材獲得競争というのは厳しさを増していて、地方と都市部の賃金格差が著しい中、何も手を尽くさず、本県が選ばれると考えるのは非現実的だろうと考えるべきだと思います。
従いまして外国人の皆様に、世界の中で日本を、そして日本の中でも山梨県を選んでいただき、活躍いただけるような魅力づくりを進め、県内企業が外国人材を獲得しやすくなる仕組みづくりが必要であると、これが全体的な状況認識であります。
そうした中で、この新保険ですが、これはまず1つ、県内の外国人労働者の内訳ですが、令和5年10月末時点で、ベトナム人が3,019人と最も多く、昨年9月には、友好姉妹県省を締結しましたクアンビン省をはじめ、ベトナム全土から、今後、多くの人材がお越しいただけるように、今取り組みを進めているところであります。
こうした状況を踏まえまして山梨県で働くベトナム人労働者が安心して働き、そして暮らしていただけるように、全国に先駆け母国在住のご家族を、医療面から支える保険制度を、現地の保険会社と連携し、構築をしたところであります。
ベトナムでは、公的健康保険制度の対象病院が限定されるという利便性の低さから、ベトナム人労働者を雇う国内の企業がこれを補完する民間保険を整備して、人材確保につなげているというケースがあります。
これはすでに報道されているところでありますが、こうしたことも参考にし、この度、東京海上ベトナムと連携をし、この枠組みを県内企業が、人材獲得のために利活用できるようにしたところであります。
そして、県内企業の利活用を支援するため、保険への加入にあたり、従業員が払った保険料に、企業が一定の助成をした場合、県がその半分を企業に補助する仕組みを7月から実施するものであります。
すなわち、これは人材獲得をしていくために、ベトナム人の労働者を必要とする企業が、ベトナム人労働者のために、この保険制度に入る場合に、その当該企業の取り組みを支援するということ。
つまり、県内企業の人材獲得を支援する、そのための施策でありまして、一部には直接県費で母国在住のご家族の医療費を支払うとか、そういう事実でない情報が伝わっておりますので、この場をお借りいたしまして訂正をしたいと思います。
今回の保険制度ですが、ベトナム全病院の受診をカバーできて、かつ受診後に支払われる保険金によって、家族の自己負担を実質1割にすることができ、これはベトナム人労働者にとっても魅力的なものであろうと思います。
私どもとしては、より多くのベトナム人労働者の皆様、そして雇用先企業が、この制度を活用をしていただければありがたいと考えています。
本日公表すべきことは以上です。
記者
ベトナム人労働者家族向けの医療傷害保険に関して1点お伺いします。
先ほど知事からもお話ありましたけれども、SNSで批判を浴びましたが、それに便乗する形で排外主義的なコメントが見受けられました。
このことについての受けとめをお伺いいたします。
知事
まさに、それは大変残念なことだと思います。
治安が悪化するんじゃないかなど色々な話がありますが、私たちとしては、孤立させることこそ治安の悪化に繋がり得るわけで、山梨県は、外国から日本に働きに来られた方々に山梨県を「第2のふるさと」だと思っていただけるように、しっかり包摂をして、山梨県社会の中で働き、自己肯定感持って貢献していただけるような環境づくりをしていきたいと思います。
冒頭申し上げましたように、もはや外国から来られる働き手なしに、山梨県経済を維持していくこと、或いは、経済だけではなく、福祉を維持していくことも厳しくなりつつあるというのは、良い悪いを除いて、ファクトとして、そういう状況なんだろうと思います。
そうした中で、移民政策の大きなものは国においてしっかり議論をしていただきたいと思いますが、もう既に私たちの目の前には、3000人を超えるベトナムの方々がお越しになってるわけですから、この方々が本当に安心して、働いていただいただけるように、そして、山梨県という地域社会の主要メンバーとして貢献していただけるように、環境整備はしっかりして、いずれにしても、今いる仲間ですから、皆さんの困りごとは我々の困りごとと認識して、包摂をしていきたいと思います。
記者
静岡県知事選に関して、本日、鈴木康友新知事が初登庁されました。改めて新知事誕生に関してコメントを頂戴したいと思います。
知事
まずは、鈴木新知事のご就任を心からお喜びを申し上げたいと思います。
これまで静岡県と山梨県は前知事のもと、いくつか問題はあるにしても、全般的には極めて良好な、協力関係を構築してきました。
もちろん鈴木新知事、浜松市長を務め、浜松市と山梨県の交流もあり、そのあと山梨県の顧問で、いろいろ浜松市長時代に培われたノウハウも我々に教えていただいたこともございますので、これから今までの良好な関係を更に高めていけるんじゃないかと期待をしています。
当面、静岡県と抱える問題は幾つもありますが、1つは医療機器の製造について静岡県と引き続き連携してやっていきたいと思いますし、富士山の規制の問題も、本来であれば、静岡・山梨で統一的になった方がいいわけですので、今年は間に合いませんでしたけれども、今後この富士山のオーバーツーリズム、或いは自然環境保護についてもしっかりとコミュニケーションとっていきたいと思いますし、また良い話だけではなくて噴火する場合の火山防災対策もより一層緊密に連携をしながら取り組みを進めていきたいと思います。
なお、リニア中央新幹線に関しましても、来る期成同盟会の総会で私たちのこれまでの研究成果を発表したいとは思っておりますが、その中で静岡県の立場も十分踏まえたものを期成同盟会全体の総意として打ち上げたいと思っておりますので、必ずや鈴木知事にもご理解いただけるのではないかなと。そうした中で懸案事項をいかに解決するかというスタンスから、鈴木知事は向き合っていただけるものだと私は信じていますし、そのために山梨県は協力を惜しまずに、最大限の支援をしていきたいと思います。
いずれにしても富士山を囲む両県ですので、繰り返しになりますが、これまで以上の親しい関係、お互いそれぞれWin-Winになる関係を構築していきたいと思います。
記者
今お話がありました、リニア期成同盟会、来週ございますけれども、それまでに、鈴木知事とお会いされるとか、直接お話されるようなご予定というのはありますか。
知事
できる限り早く接触をして、場合によっては静岡県に行ってもいい。いろいろざっくばらんに意見交換もしたいですし、そういう意味ではできる限り早い段階で機会を見つけていきたいと思います。
シャトル外交ではないですけど、行ったり来たりお互いできたらいい。
記者
これまでには、当選以後お話しされたということありますか。
知事
多分まだ就任直後ドタバタでしょうから、少し落ち着いたところでまた電話をかけて、お話ししたいと思います。
記者
今も質問が出た静岡の知事選に関係してなのですけれども、山梨の顧問をお務めということなのですが、他県の現職の知事がなかなか他の県の顧問を続けるということはなかろうかとは思うのですが、この顧問という地位がどうなりそうかということと、この間、鈴木さんに顧問としてどんな貢献していただいたのかということ、それに対する知事の評価について教えてください。
知事
もうすでに26日付けで顧問はお辞めいただいております。なので、前顧問ですね。
これまでのところで、特に、スタートアップ支援について、浜松は大先進地なわけですから、そこのいろんな知見をいただいて、今、我々のところで咀嚼をし、県政に役立てていきたいと思っています。
また、いろんな人脈、人の繋がりも、惜しみなくご紹介もいただいておりますので、こういうこれまで顧問としていろいろご指導いただいたことは、我々の血となり肉として、山梨県民の皆さんのために役立てていきたいと思っています。
記者
先日頂戴したコメントなんですけれども、その中にも「高い見識と豊富な行政経験を」というのは、これは客観的事実だろうと思うんですが、その他に素晴らしい人物という一言が入っておりまして、2つの組織が連携を深めていく上で、トップの信頼関係というのは重要なことではないかと思うんですけれども、知事から見てその鈴木さん、素晴らしい人物だと、さらに今後、連携していく上で鈴木さんに対する見方というか、現時点で感じてらっしゃる信頼だったり、友情だったり、またそれを感じる具体的な何かエピソードみたいものがあったらご紹介いただけたらなと思います。
知事
浜松市長をお辞めになられて、真っ先に山梨県に遊びに来ていただいて、これがあったから友情が深まったというわけではないんですけど、本当にざっくばらんに、山梨ワインを傾けながら、夜を通して意見交換をしたというのは大変印象に残っています。
また、今回知事選挙に立候補される際も、かなり早い段階でお電話で、「立候補するよ」という話はいただいていて、そんな重要な情報もいただいている訳ですので、信頼をしていただいているのかなと思います。
いずれにしても、今後、静岡県を代表される静岡県知事と山梨との形のなかで、おっしゃるように、いろいろ波風もあるときはあろうかと思いますが、そこは今まで以上に、個人的な意見交換をする中で、より安定的な関係の構築に寄与できると確信しています。
記者
先般ですけれども「富士山の未来を考える市民の会」の方から質問状が提出されました計4点になりますけれども、6月16日までの回答を求めていますが、現時点で知事のお考えがあればお伺いいたします。
知事
今回のご質問は、雰囲気だけで賛成反対と言ってる状況に疑問を呈されて、ちゃんとその事実を確認し認識を深めてから、それぞれのスタンスを決めようじゃないかと、こういうお話ですので、我々としてはこういう動きは歓迎をし、そして真摯に向き合っていきたいと思いますし、またコミュニケーションをしっかり図っていきたいと思います。
記者
リニア工事をめぐって質問です。
岐阜県で井戸などの水位の低下が判明したことに加えて、JR東海の県への報告が大幅に遅れたことが問題視されておりますが、知事の受け止めとJR東海に対して求めることなどありましたらお願いします。
知事
水位の低下については、JR東海さんには、誠意をもって対応していただきたいと思います。
特にリニア工事絡みで環境に影響が及んだ場合は、やはり速やかに対応していただくことが、地域との関係においても、何よりも大切なことだと思っています。
そういう意味では、ちょっと今回の岐阜県の事例がいつ発覚してどうなったのかは承知しておりませんが、ただ山梨県の例でいきますと、トンネル掘削土の置き場から一部重金属の数値が、国の基準を上回るものが出た時がありましたが、その時も、JR東海は真摯に対応していただいて、その後も継続的にずっと調査もして、毎回その調査結果も我々いただいてますが、そういうことをやっていただいているので、そう意味では環境問題に関して、本当にJR東海が特に気を使って、特に地域住民の皆さんに不安が起こらないように、情報の速やかな公開と、そしてそれに対する適切な対応を速やかに講じること、これを引き続き心がけていただけるとありがたいなと思います。
記者
オーバーツーリズムの関係で、富士河口湖町と富士吉田市が、宿泊税の検討をするということですが、県もコロナ前は検討されたということですが、今時点で、県として宿泊税を新たに検討を始めるみたいなことを考えていらっしゃるかどうか教えてください。
知事
県全体の観光基盤を構築する上で、財源の確保は大変重要な問題です。そういう意味で、宿泊税は有力な手段になるわけですが、ここをどうするかは、各市町村の状況も踏まえながら、コミュニケーションを取らないといけないことと思っています。市町村だけではなく、関係業界も含めてですね。
税金ですので税をいただくということは、やはり慎重に慎重を期すべきだと思いますので、これから少し我々の方も、どう財源を確保するかについて、宿泊税も含めて、少し頭の体操をしていきたいと思っています。
記者
今、国会の方で地方自治法の改正が大詰めを迎えてます。
特に焦点となってるのが非常時の国の指示権の拡大の問題なんですけども、コロナのときに山梨県としては長崎知事のリーダーシップで、割と国とは別の形で優先的に取り組みをされましたけど、今回の国の指示権の拡大について、どういうふうに評価されているのか、歓迎なのか、賛否いろいろありますが、どういうふうな立場でしょうか。
知事
一つは、この指示権がどう使われるかが本当に大きな課題だと思うんですけども、コロナのときに、1つ困ったというか、こうなったらいいなっていうのは、各県、各自治体でバラバラになっちゃうことがあるんです。
ここをもうちょっと足並み揃えた方がいいよなと思ったことは幾度ともありまして、例えば、それは制度化されましたけれども、休業補償をどうするかという問題なんかを、どこどこがやったからうちもやれとか、そんな話になりがちなんですけれども、他方で、その当時は財政措置がなかったわけですから、財政措置があるところとないところ、財源があるところとないところでできることも違ってくるのは残念ながら事実だったんですけれども。そういった中でどういう足並みを揃えるか。足並みが揃わないと不必要な混乱ってのは起こりうるんだろうなと実感をいたしました。
また、これは私も含めて大反省、自戒も込めて申し上げますけど、各県の首長さんの手柄合戦みたいな状況も決して好ましい話じゃなかったんじゃないかと思うので、ある意味、国がリーダーシップを持って整合的にやっていく必要がある分野ってのは、特にパンデミックのときは多かったんじゃないかなと思います。
他方で、国は必ずしもその地方の情報を持ってないなと実感したときもありました。霞が関の机の上で山梨の状況をどこまで知ってるんだと憤りを覚えたこともあります。
当時、年は忘れましたけど春先で、山梨の場合は感染状況がある程度落ち着いていて、なおかつ私が言ったのは桃の花見の話だったんですけれども、落ち着いた状況を踏まえれば、屋外で花見をするのは問題なかろうと。これは私どもの有識者にも確認した上で、そういう話をしたわけですが、その状況をとらえて、東京とかの密の状況と一緒になって、お花見はけしからんとお叱りをいただいたのは、ちょっと承服しがたいこともありました。
また、まん延防止等重点措置を我々の県が必要ないですよと言いながら、国が全体でやるのだから山梨県やってくれって言われました。逆に今度は足並みを揃えろと言われた方ですけど、これはやはりお金も出ていくし、足並みを揃えるべき部分と、それぞれの状況に応じてやるべき部分の、しっかり区分けが政府の方はできてなかったのかなと正直言って思います。
そういう意味で、この指示権というものがどうなるかは、どう国が地元とコミュニケーションをとっていただき、真摯に我々の声を聞いていただき、我々の状況というものを真摯に把握をしていただく。これがあって初めて国の全体の施策はうまくいくのかなと。それができればいいんですけど、そういうものがない中で指示権を振り回されてもちょっと困るよな、という思いはします。
記者
コミュニケーションをとるための仕組みっていうのは、はっきり言って弱いと思うんですけども、そういったところについて、何らかの施策は、指示権を必要とする場合にはそういった対処が必要だということでよろしいでしょうか。
知事
おっしゃる通りだと思います。
やっぱり指示権を発動するにあたっては、やれといきなり言うんじゃなくて、指示をされる側も、なるほどそうですよねと思うぐらいまでコミュニケーションをとっていただくことが重要かなと思います。
こういう考え方もあるんだけど、そこまで言うんだったらわかりましたと言って、その指示に基づいてやると。こういう使い方を心がけていただきたいなと思います。