ページID:108559更新日:2023年4月4日
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防災新館401,402会議室 15時30分から 発表事項 発表事項以外の質問事項 |
知事
まず発表に先立ちまして、一昨日の山梨学院高校、選抜高校野球大会優勝に対しまして、改めてお祝いを申し上げたいと思います。
ここ山梨の地に、初めて大優勝旗を持ってきていただいたその快挙に対しまして、県民の皆様の興奮もいまだ冷めやらない、かく言う私も同様でございます。
令和5年度の始まりに当たり、本県にとりましても極めて幸先の良い始まりを与えていただきましたチームの皆さんに心から感謝を申し上げたいと思います。
県全体の上げ潮ムードをしっかりととらえて、今後の県政に向き合って参りたいと考える次第であります。
記者
山梨学院の関係でお伺いします。過去、山梨学院が全国制覇したサッカーとか駅伝とかありまして、当時イメージアップ大賞を送られているかと思うのですが、今回野球部に対して何かしら考えてる部分はありますでしょうか。
知事
これは(山梨)学院さんと相談の上での話ですが、私どもとしては県庁の芝生広場を舞台にして、優勝報告会を県民の皆さんに対して実施して、喜びを分かち合えるような機会をつくれないか検討しているところです。
併せまして、「イメージアップ大賞」はあまり言葉がどうかと思うのですが、甲子園の大優勝旗を持ち帰っていただいた、こういう偉業に対しまして、我々も含めて多くの県民が、山梨県全体が本当に勇気付けられ、また郷土に対する自信を深める機会をいただいた。こういう偉業に対しまして、しっかりと県として感謝の意を表するものを御提供したいと考えている次第です。
知事
年度の始まりに当たりまして、本年度の県政の基本的な方針について一言申し上げたいと思います。
新型コロナの感染症法上の分類の見直し、いわゆる「5類引き下げ」が目前に迫っておりますが、これを契機といたしまして、ウィズコロナの社会への転換と日常への回復が一気に加速しようとしております。
過渡期ゆえの「先行きの不透明さへの不安感」と、コロナによる閉塞感を打破した先の「成長発展への期待感」が交錯する大変不安定な状況。これが今私どもが直面している状況ではないかと認識をしております。
しかしながら、本県は既にウイルスとの共存を前提といたしまして、ウィズコロナで経済をまわしていく挑戦に先鞭をつけ、そして、全国を牽引するポジションをとって参りました。
ゆえに今、「超感染症社会」のビジョンを掲げて強靱化を進めてきた本県が、いち早くこの混沌から抜け出し、全国トップクラスの豊かさを誇る地域へと成長を遂げる機会、チャンスが開かれているものと考えております。
そして、その実現のためにとるべき大戦略ですが、これは既に民意によって明らかとなっていると考えております。
すなわち、県民の生活基盤を、強く・安心なものとしていく「ふるさとの強靱化」、そして、国の内外に開かれた、開くという字を書いた「開の国」づくり、これらを推し進めた先に「豊かさを一人一人にもれなく届けられるふるさと」山梨を創り上げていくこと。こうした方向性であります。
先の知事選挙におきましては、令和の新時代に入ってからこのかた注力をして参りました「豊かさへの土台づくり」が、県民の皆様から御評価をいただき、さらにその先の「豊かさの実感」への御期待が表明されたところであります。
皆様の御負託にしっかりとお応えすべく、私と全ての山梨県職員は、「豊かさを届ける」というミッション達成に向けまして、全力を尽くして参る所存であります。
この覚悟を基に、以下、今年度の取り組みの要点を申し上げます。
まず、県政の第一の柱「ふるさとの強靱化」についてですが、これは人びとを感染症や自然災害の脅威から守り抜き、あるいは、生活を取り巻く様々な不安あるいは恐怖から解放していくため、山梨で生き・暮らすことが保障される社会へとセーフティーネットを張り巡らせ、そして強めて参ります。
はじめに「感染症に対する強靱化」についてです。
まずは「5類への引き下げ」という転換に、社会が円滑に順応できるよう、医療提供体制の最適化はもとよりのこと、人びとの価値観や行動の変化に至るまで、きめ細かく目配りをし、的確に対応して参ります。
併せまして、グリーン・ゾーン認証制度につきましても、これが山梨にもたらしたブランド価値というものはしっかりと保持しつつも、「日常回復」と整合的な制度に変貌を遂げるべく抜本的に見直しを行います。
また、山梨県CDC「感染症対策センター」は、この2年間、変転するコロナの感染状況に対しまして、試行錯誤をしながら、実務対応力という足腰を強化し、そして「生きた実例」を知見として蓄積して参りました。
これからは、このコロナ対応の「検証結果」も生かしつつ、知見を体系化していき、社会をシステマティックに動かす「司令塔」としての真価を高めていくべき「CDC第2ステージ」へと進んで参ります。
当面のミッションといたしましては、まさに「使える」実践的なアクションプランの策定など、感染症発生時の迅速・的確な対応指針のとりまとめに、着実な成果を上げるべく取り組んで参ります。
次に「自然災害に対する強靱化」についてです。
大型台風による被災で明らかとなりました本県の脆弱性を克服し、県民生活や産業活動の「生命線」である交通、そして電力供給などの生活インフラを、一層強いものとして参ります。
また、富士山噴火や水害対策など、本県が内包する広域災害のリスクに対しましても、正面からしっかりと向き合って、県民の命を守る実践的な力を備えた「リアルな対策」をハード・ソフトの両面から構築し、強化して参ります。
次に「地域経済基盤の強靱化」について申し述べます。
感染症の流行や物価高騰といった外的な要因に対しましても、しなやかに対応し、県内企業が経営のダメージを最小化して事業継続できるような経済基盤づくりが必要となっております。
そして、その際に重視すべきは、グリーン・ゾーン認証制度において実証してきたような「積み上げ型」の政策思想であると考えております。
すなわち、県が企画し、実行する政策におきましては、一時的なその場限りの効果にとどまらず、生産コストの削減や業務の効率化など、企業の経営構造の革新、或いは収益性の向上をもたらす永続的な効果の獲得をしっかりと視野に入れ、推進して参りたいと考えております。
併せまして、強くしなやかな経済基盤には「人」の存在が不可欠でありますので、「人財づくり」を重要な行政課題と捉え、「キャリアアップ・ユニバーシティ構想」のもと、県内経済を支え、成長をもたらす人材を育てていくこと、
そうした人材が力を発揮することで、県内企業が経営の革新を成し遂げ、時代にキャッチアップし、さらには時代に先行できるようにすること、これにより企業の財務体質に大きな余力がもたらされ、賃上げが日常的なものとなっていくこと、こうした好循環が、回り始める「起点」となるべき「人財」が県内各地で続々と生まれる姿を目指して、「財(たから)」の字を用いた「人財づくり」に積極的に関与して参りたいと思います。
次に生活基盤の強靱化についてです。
山梨の地に暮らす人ならば誰でも、その人生においていかなる状況にあろうとも、取り残されずに生活の安心が保障される、医療・福祉の社会基盤を整えて参ります。
まず、「介護待機者ゼロ社会」の実現によりまして、長年社会に御貢献をいただいた高齢者の福祉増進とあわせて、介護の負担に直面する人びとの介護離職による貧困への転落に対する恐怖を解消して参ります。
次に、医療に関しましては、デジタルの力で距離の制約を克服し、医療を必要とする人が、場所を問わず、必要な医療サービスを受けられるデジタル医療の普及を図って参ります。
こうした「デジタル医療立県」の実現によりまして、県民医療の強靱化のみならず、県内各地域の「暮らしの安心度」を高めることで、新たな人流づくりにもつなげていきたいと考えております。
また、障害者福祉に関しましては、県内いかなる地域におきましても等しく、障害のある方が自分らしく安心して暮らし、活躍できる社会環境づくりを一層進めて参ります。当面、農福連携・産福連携などを通じ工賃の抜本的向上に全庁を挙げた取り組みを進めて参ります。
更に、科学的な知見に基づく自殺対策へのさらなるブラッシュアップで「自殺リスクの低い社会づくり」を進めるとともに、依存症やひきこもりの状態に陥った方々の再挑戦を温かく応援する包摂的な社会への移行も図って参ります。
次に「子育て支援の充実」についてであります。
ご案内のとおり、政府は、この1日に「子ども家庭庁」を発足させるとともに、少子化対策を最重要課題として実現する」との方針を表明しています。
一方、本県では既に、4年前の機構改革で「子育て支援局」を設置し、全国に先駆けて様々な先進的な取り組みに挑戦して参りました。
その成果を今後の力に換え、政府のクローズアップも追い風にしながら、「結婚・妊娠・出産から子育てまでの切れ目ない支援」を充実させ「子育てしやすさ日本一やまなし」を目指して若い世代が集まる姿を描きながら、引き続き意欲的に施策を推進、展開して参ります。
なお、あわせまして、少子化対策は、必ずしもイコール子育て支援策というわけではありません。より広い意味での少子化対策、すなわち、若い人たちの生活の先行きの見通しがきくような社会経済基盤を作っていくこと、或いは、子育てに対しまして、男女問わず、キャリアへの影響がなくなるような雇用環境、労働環境のあり方、女性の社会進出の支援推進、あわせて男性の家庭進出、こういったものにもしっかりと取り組みを進めて参りたいと考える次第であります。
次に、県政の第2の柱、開くという字を書いて「『開の国』づくり」におきましては、道路交通体系の整備など、目に見える物理的な「開化」とともに、文明開化の「開」、開くに化けるですが、開化とともに、多様性を受け入れ、歓迎する、意識の上での「開化」も進め、これらを土台として、県の外との交流を深化・拡大させ、そして県民の皆様のほか、県外の事業者の方々も含め、
「山梨のためにひと肌脱いでいこうじゃないか」というメンバーシップを持つ、全てのステークホルダーの御参画をいただき、あらゆる可能性に最大限のチャレンジをする。こうした考え方に立って進めて参りたいと考えます。
まず、交通体系を内外に開く取り組みについて申し述べます。
リニア中央新幹線の開業を見据え、「ヒト」「モノ」そして「富」を呼び込み循環させる広域道路ネットワークや、地域内道路ネットワークの整備を着実に進めて参ります。
また、新たな人の流れをつくり出す交通体系や、「空飛ぶクルマ」などの移動や交通における新しいテクノロジーの社会実装の可能性を、技術の加速的な進歩にしっかりキャッチアップしながら追求をして参ります。
さらには、リニアの開業効果の向上と全県波及のあらゆる可能性を追求していくため、空港開設の可能性についても、専門的見地からしっかりと研究、検討を進めて参ります。
加えまして、期成同盟会の活動などを通じまして、リニア事業全体が現状の膠着状況から、進捗状況に移れるよう、これはしっかり山梨県として貢献をするべく、積極的に汗をかいて参りたいと考えております。
次に、卓越した上質さと機能性を備えた地域空間の創出について申し述べます。
本県が世界に誇る宝物と言うべき富士五湖地域におきまして、「国内最高の観光リゾート地」と「最先端の首都機能」を融合させた先進地域「富士五湖自然首都圏」を創出するべく、官民協働のもと、取り組みを進めて参ります。
併せまして富士山登山鉄道構想につきましても、先の知事選における民意を背景といたしまして、実現に向けた具体的な検討を加速して参ります。なお、その際には、「富士山」という世界の宝物をお預かりをしている地元自治体の責務として、その保全、活用のあり方についての議論をしっかりと喚起しながら、丁寧に進めて参りたいと思います。
次に、多様性を尊重する共生社会化への挑戦について申し述べます。
山梨県が今後においても豊かな地域であり続けるための「基礎条件」を整えるため、多様な個性や価値感を持った人材が集まり、お互いを尊重し、磨き合うことを通じて集合知を発揮し、イノベーションを起こし続ける場所への進化に挑戦をして参ります。
「人材の豊潤さ」と、「経済的な豊かさ」とは比例する。そして、「人材の豊潤さ」は、人びとの幸福度を示す指標となる。このように考える次第でございます。
ゆえに、自らの心に「偏狭さ」「不寛容」があれば、これと向き合い、克服し、「自分と異なる存在」をこそ歓迎する。
この努力を意識的に行っていく必要があると考えています。
県民一人ひとりが、この境地に達するのは、もちろん容易なことではありませんが、これを早期に成し遂げられた地域だけが、今後において豊かさを享受できる時代が到来していると言っても過言ではなかろうと思います。
こうした切迫感を持って、しっかりと取り組んで参りたいと考えます。
まず、「男女共同参画先進県」の理想の実現に向けまして、ジェンダーバイアスの解消を進展させるべく、県民の意識レベルの向上を強力に進めて参りたいと思います。
また、性の多様性の尊重に関しましては、差別偏見の撲滅に向けた啓発とともに、「パートナーシップ宣誓制度」の導入に向けた議論の加速化など、社会環境の整備も進めて参ります。
さらに、多文化共生の推進に関しましては、外国籍の住民が、地域コミュニティの一員としての高い自己肯定感を持って「第2のふるさと」山梨で安心して暮らし、しっかりと活躍できる温かい社会への転換を後押しして参ります。
次に、教育の充実について申し述べます。
引き続き、最重要課題の一つとして取り組んで参りますが、基本的な考え方に変わりはございません。
すなわち、ここ山梨の地では、その家庭環境や置かれた条件に関わらず、全ての子どもが、その可能性が一つ残らず花開かすことができるよう、教育の力でこれを実現することであります。
これまで少人数教育の推進を中核的な施策として取り組んで参りましたが、今後は、これを基軸としながらも、さらにきめ細かく、教育ニーズへの対応力を強化して参ります。
すなわち、教員の一斉授業から児童生徒中心への授業観の転換や、生活困窮世帯の子弟の大学進学率向上を目指す施策、不登校などの困難を抱える子どもたちのリトライに対する支援等であります。
また、すでに小学校4年生までの導入が決まっている25人学級につきましては、学びの最適化を図る観点から、それより上の学年への導入のあり方につきましては、科学的・専門的な検討を進めて参りたいと考えております。
加えまして、教職員の事務負担の抜本的軽減につきましても、大胆に取り組みを行って参りたいと思います。
なお、この点につきましては近日中に考え、取り組み方針を発表したいと思います。
次に、地域経済の安定成長と高付加価値化をもたらす取り組みについて申し述べます。
まず、これまで相当程度成果を上げてきました「メディカル・デバイス・コリドー構想」につきましては、さらなる攻めの姿勢で、対象分野の拡大や海外展開などによりまして、より高いレベルでの安定成長を狙いとした「次のフェーズ」への進化を図って参ります。
また、地場産業に関しましては、山梨の伝統に根差した「心地よく機能的な山梨ライフ」の価値を体現するものであり、コーポレートブランド「やまなし」に直結する製品群として、ブランド力を高め、外への発信を強めて参ります。
次に、農業につきましては、「県産果実輸出額の飛躍的拡大」などの勢いを持続・発展させるべく、国内外の消費者向けに、農畜水産物の品目ごとに、生産・流通・販売の全ての局面について、最適な戦略を立て、そしてこれを実行し、究極目標であります、生産者所得の向上に取り組んで参ります。
次に、林業につきましては、県内の林業を牽引する人材の育成や、県産木材から富を生み出す体制の強化とビジネスモデルの高度化を進め、持続可能で成長性豊かな産業への進化を促し、支援をして参ります。
次に観光につきましては、ウィズコロナへの転換で本格回復する観光需要、これをしっかりと取り組みつつも、薄利多売への先祖返りからは決別するという強い意識のもとに、この一時的な好況に惑わされず、しっかりと将来に向けて持続可能な、高付加価値化路線を引き続き強化、加速させて参ります。
また、文化芸術やスポーツから新たな価値を掘り起こし、地域活性化や経済成長に生かす取り組みにつきましても、これをしっかりと進めて参りたいと思います。
まず文化芸術の振興に関しましては、すでに従来型の文化行政の枠組みであります芸術文化の鑑賞や実践活動の支援、或いは文化財の保護といった殻を打ち破り、新たな価値の創造、文化立県の確立に向けた取り組みに、大きく舵を切っております。
今後も文化芸術の新たな価値を開き、開の国山梨づくりの主要な因子として成長させるべく、例えば、県内外のクリエイターの活動支援と、価値の創出発信、或いは、もうすでに取り組みが始まっておりますメタバースプロジェクトの推進など、新たな価値の創造拠点としての、県立美術館のビジョンの推進、或いはワイン県山梨のさらなる訴求や美食文化の展開による経済効果の獲得などなど、新たな取り組みに積極的なトライをして参ります。
またスポーツの活性化につきましても、スポーツの成長産業化という新機軸を打ち出し、この取り組みをすでに進めているところであります。
これまでに取り組んで参りました実証実験の成果などの蓄積を土台といたしまして、他産業との連携によるビジネスモデルの多様化や、収益性の追求を進め、スポーツで稼げる経済構造の確立に向けて、引き続き力を入れて参ります。
以上、今後の県政の取り組み方針の一端を述べて参りましたが、すべてに共通いたしますのは、あらゆる施策は、県民の豊かさの実感という一点に向かって収束していくべきものであるという点であります。
現在、県庁各部局におきましては、6月の議会に向けまして政策予算の編成や、新たな総合計画の策定に向けた検討作業が鋭意進められているところでありますが、特に成果を形にすることを強く意識をし、究極目標たる豊かさへのロードマップを描いて、県民の皆様にお示ししたいと考えているところであります。
最後に、豊かさ共創の時代へと、我々行政は、県民の皆様とどう向き合うべきか、考えを申し述べたいと思います。
県民一人一人の手に、豊かさの実感を届ける。そのためにこそ、これまで申し述べました諸策が基礎となって参ります。その際に忘れてはならないことがあります。我々行政は、なぜ県民とともに、県民のために、豊かさを追求し続けるのか。或いは、我々はどのような豊かさを追求し続けるのか。その視点を忘れては、豊かさへの道はありえないものと考えております。
人それぞれの幸福こそが、豊かさの尺度であることは、言うに及ばないことであろうかと思います。
しかしながら、個々の幸福、幸せを育むためにこそ、社会全体、行政そのものが、しっかりと豊かさの方向性を見据え、考え続けなければなりません。
もちろんこのことは、何も本県だけのことではなくて、日本全体が、或いは成熟した社会そのものが、正面から見据えるべきテーマであるということにほかならないものではないでしょうか。
山梨県が追求する豊かさとは、人それぞれで異なるべき幸福と豊かさを、それぞれの方にどう実感してもらえるのか、それぞれの方にどう届けられるのか、ということであると考えて参りました。
これまでの日本社会が、ある共通の豊かさ像の下で前進できた時代、これはもう終わりを迎えておりますが、このような時代を経て、これからの成熟した社会と時代におきましては、多様な価値をどう承認し合い、そしてどう理解し合えるのかが求められていると考えております。
それぞれの個性が大きな広がりと明るい展望を持って満たされるときにこそ、この豊かさというものは、初めて実感しうるもの、身近に感じられるものとなるのではないかと考えます。
我が山梨県が挑戦するのは、まさにこれまでの日本社会が経験したことのない新しい豊かさの創造であるべきです。
そのプロセスにおきまして、行政には、県民それぞれに豊かさへの道を預け、ゆだねるのではなく、県民とともに築くものとする姿勢が求められるものと考えます。
すなわち、行政側の価値と方法を押し付けるのではなく、生活者の個性に寄り添った姿勢こそが、最優先されるべきものであるはずです。
行政におけるそうした姿勢が伴ってこそ、県民自身に豊かさの充足感と、そして納得という意味での実感を育んでもらえるものと考える次第であります。
この1年間皆様のお力添えをぜひよろしくお願いを申し上げます。
私からは以上です。
記者
富士山登山鉄道に関して、具体的な取り組みを進めていきたいというようなこともありましたけれども、現時点で何かイメージするものがあるのかというところを伺いたい。
知事
まずは自然を破壊するだとか、いろいろな、中身もよく御存知ない中でのイメージが先行していますが、しっかりもう少しわかりやすい形で、例えばこういうものですよ、という具体的なイメージも示しながら、それを実行していくための組織体制、実行主体の組成のあり方ですとか、こういうものを具体的に構想を練って、それを実行するためのエンティティの立ち上げの準備を進めていきたいと考えています。
記者
何かしらの、例えばロードマップみたいなものというのは、実現に向けていつまでに、どう取り組むみたいなところまで、今の段階でいかがですか。
知事
それもそのプロセスの中で示すことを目標にしていきたいと思います。
記者
「年度始めに寄せて」の中での知事のご発言に対して質問させてください。
リニアに関してご発言がございました。リニアは今、膠着状態の中で、それが前進するように山梨県としても貢献するべく積極的に汗をかきたい、このようにおっしゃっていたと思いますが、具体的にどのような取り組みを促していかれるでしょうか。
また、2027年の開業について、なかなか実現が難しいと1人の県民、1個人としても思っているのですが、知事は2027年の開業というその時期について、今どのように捉えていらっしゃるか、この2点についてお伺いさせてください。
知事
まず初めに後者から申し上げますと、2027年、今年は23年ですから、この時点において、南アルプスのトンネル問題が片付いていないということは、JR東海さんも言っていますけれども、事実上極めて困難であると言わざるを得ないと思います。
私としては、さはさりながら、まずはできる限り、この静岡県との間でしっかり理解を得て、それで工事が着工されるのを、可及的速やかにすることで、できる限り早い時期での開業ができるようになることに期待をしたいと思っています。
そこに向けて、山梨県として、今お話がありましたように、しっかりとした貢献を進めて参りたいと思います。そのために、まずはいろんな水の問題に対する本質的な御心配もあるのかもしれませんが、さらに大きなバックグラウンドとしては、静岡県の皆さんに、リニアに対して、まだ何と言うか十分なイメージを持っていただけるような材料が届けられていないのではないかなと、私はそのように考えています。何もリニア中央新幹線は沿線だけが利益を受けるわけではなくて、当然東海道新幹線との関係において、東海道新幹線の沿線地域の静岡もメリットを受ける、或いは、受けるものでなければならないと、私は考えてます。
東海道新幹線と中央新幹線は一体となって、両新幹線の沿線地域が地域に対して大きな福音をもたらすものになるべきであるし、我々としては、それを実現しなければならないと考えています。そういう意味におきまして、今、期成同盟会においてリニア全通後の、要は東京から名古屋、そして大阪に至るまでの高速交通体系の全体像を描いて、今申し上げた、その両線全ての地域にメリットがもたらされる、実際の姿、アイデアというものを、沿線自治体の皆さんとしっかりと研究をして、それを提示をして、そして静岡県の皆さんも含めて、全ての沿線の自治体の皆さんが、1日も早くリニアができないかなと、こう思っていただくような機運を作っていく必要があろうかと考えています。
当然、その中には東海道新幹線の静岡空港駅というものも、私はしっかりと検討するべきものだろうと考えておりますし、その他、「こだま」或いは「ひかり」、これはすでに国の方でもお話をしてくださってるようですけれども、静岡への沿線の停車本数の増加。こういうものも含めて絵を書いて、国全体でこのメリットをしっかりと共有する、この取り組みを山梨県が中心となって進めていきたいと考えている次第です。
記者
確認ですが、そうした国だったり自治体だったり、皆さんが共通のメリットというものを感じられるような舞台を山梨県が中心となって作っていかれる、そういう理解でお間違いないでしょうか。
知事
既に沿線都道府県で作っております期成同盟会の中に研究会を立ち上げておりまして、私どもは研究会の事務局という形で仕切りますので、この中でしっかり絵を書いて、そして期成同盟会の意見として国、或いはJRはじめ関係のところにぶつけていきたい。問うていきたいと考えています。
記者
リニアに関して、品川-名古屋の全線開通がかなり厳しい中で、知事の頭の中には、甲府-品川の先行開業というものがあるように思うんですが、今どういうふうに考えていらっしゃいますか。
知事
まずそもそも、南アルプスのトンネルを抜いて全線開通するまで、どれくらい時間かかるのか。いずれどこかの段階でこの静岡県との問題が片づいて、実際に南アルプスのトンネル工事に着工しますとなった時に、大体いつごろ開通するという目処が出てくるのだろうと思いますが、それ次第なのだろうと思います。
そこにそんなに時間がかからなければ、当然、全線開通を最優先する。これも当たり前のことだろうと思いますが、ただ大変な難事業になる可能性もあるということも指摘もされておりますので、そこに本当に時間がかかるようであれば、当然、先に甲府から品川までの線路ができて、これは全線開通するまで、野ざらしにしておくというのは、ちょっと我々としても迷惑ですし、JRの経営のあり方としても、どうなんですかということになろうかと思いますので、その場合は部分開通、要は、甲府まで先行開業させて、少しでも資金を回収されたらどうでしょうかと。こういう話というのは当然出てくるだろうし、我々もそういう場合は、しっかり主張していきたいと思っています。
また、JR東海がそういう経営判断ができるような環境整備、これは先ほど申し上げましたが、例えばエアポートの設置も含めて、そういう環境整備というものも、我々としては考えていくことも必要なのではないか。このように今、構想をしています。
記者
それでいくと、先ほど期成同盟会の中で事務局をやって、ある程度絵姿を描いていくという話がありましたけども、その中に部分開通ということは、盛り込む可能性はあるんでしょうか。
知事
あくまでも全線開通後の高速交通体系をお示しするというのが我々のミッションですから、部分開通というものは、その中では考えていません。
記者
先ほど(午後)3時から新教育長の会見がありまして、前任の教育長から引き継いで県の教育を前進させるように邁進したいという決意がございました。
前任の教育長をこれまで三代続けて任期1年で交代ということが続いておりまして、前任の手島教育長も任期3年でしたけれども、2年を残して1年で退任して降旗教育長になりました。知事は教育長の任期については、どのようにお考えでしょうか。
知事
適材適所でやっております。以上でございます。
記者
期間については、1年交代が3年間続いてますけれども、これについてはいかがでしょうか。
知事
そこも適材適所で考えていきます。
記者
その任期については、1年に限定はされていないという理解でよろしいでしょうか。
知事
それも適材適所です。同じことの繰り返しですのでよろしいですか。違う質問をお願いします。
記者
県議会議員選挙の立候補者数の中で女性の人数が山梨県は3人で、比率でいうとNHKの調べでは全国で最低ということになりました。
先ほどの冒頭でもありましたがジェンダーギャップをどのように埋めていかれるか伺えればと思います。
知事
それはそれぞれの地域事情だとかがあって、一概にああだ、こうだは言えないわけですけれども、市議会レベルで見ると、多少増えていらっしゃるかもしれませんし、行政レベルで言いますと、今日、県庁の入庁者の中には、かなり半分(近く)、女性が相当程度、目立っていましたので、広い意味での政治行政という枠組みで言えば、進んでるのかなと思いますし、また、そういう中から、我こそは県会議員に立候補するとか、或いはその先に知事選に立候補するとか、そういう意欲を持った方が出てくることを期待したいと思いますし、またそういう社会になるように私自身持っていきたいと思っています。