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防災新館401,402会議室 11時30分から 発表事項 発表事項以外の質問事項 |
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知事
まず初めに「新たな価値を生み出す県立美術館ビジョン」について御報告いたします。
この新たなビジョンですが、公約で掲げました「開の国」プロジェクトを具現化すべく、県立美術館を「外に開かれた価値創造拠点」に進化させるための、基本的な方向性を定めたものであります。
お手元に配付したビジョンの概要を御覧いただければと思います。
このビジョンですが、次の5つの取り組みを柱としております。
1つは特色あるコレクションの成長、2番目としまして、情報・知見の活用による価値創出の強化、3点目、五感に響く美的体験の提供、4点目、「集い」、「出会う」場としての機能強化、5点目、成長を実現する体制の整備、以上5点ですが、新たな取り組みといたしまして、最先端のデジタル技術を活用した魅力的なコンテンツを生み出し、県が実施するふるさと納税返礼品へ活用することで、芸術家の活動支援や美術館活動に還元していきたいと考えております。
これによりまして、美術館が文化的価値のみならず、社会的、経済的な価
値を創出することで、芸術家が集い、活力を生み出す地域の実現を目指して参りたいと思います。
また、ラーニングプログラムやレストラン・カフェ、ショップなど、様々な経路を通じまして、アートの価値を視覚だけではなく、五感を通じて体感いただける美術館を目指すこととしております。
とりわけ、デザインの分野につきましては、日常から遠いものと感じられがちな美術の世界と日々の生活をつなぐ重要な分野として位置付け、取り組みを強化して参りたいと考えております。
令和10年度に迎えます県立美術館50周年に向けまして、本ビジョンを踏まえ、美術館が創出する新たな価値を体感していただけるよう、取り組みを進めて参りたいと思います。
記者
県立美術館ビジョンですけども、ビジョンなので、こういう質問するのはどうかと思うのですけれど、実際に、将来の来場者数だとか、数字的な目標とか、経済的な効果がどうやって出るのかとか、そういったことの試算というのはあるのでしょうか。
知事
まさにこれから始める取り組みでありますし、全く新しい取り組みでもありますので、現時点そういう試算はできない、というようなことだと思います。これからやってみながら、その手応えを踏まえて、さらに高みを目指していこうという段階にきたところで、数字も出せるようになったら出していきたいなと思います。
記者
県立美術館についてはご承知のとおり盗難の問題とか、或いは収蔵品の未登録、紛失などの問題もあって取り組みが進んでいるところだと思いますけれども、こうした課題について、このビジョンの中で何か課題とか、或いは今後の取り組みなどについて、反映されたところというのが何かございましたら、例えばどういうところか、というところも合わせて教えていただければと思います。
課長
このビジョンは美術館が新たな価値を見出せるよう、取り組むべき方向性を示すものでございますので、そういったことについてはこの中では触れてございません。
知事
ある意味収蔵品の管理の万全を期すのも当たり前の話、いろはのいで、本当にしっかりと関係者は反省をして、再発防止をしないといけないわけですが、こういう当たり前のことをまずきっちりやる。その上でこういう新しいことをやるという話になってくるかと思いますので、今その当たり前のことについては鋭意議論をして、早急に対応策を実行に移していきたいと思っております。
記者
県立美術館ビジョンですけども、経済的価値を生み出すというのは全く新しい発想かなと思っております。
その中で、ふるさと納税返礼品への活用というのがありますけども、ちょっと具体的にどういうイメージなのかというのがわからないので、御説明いただけるとありがたいです。
課長
美術館活動で生み出される様々な成果品、デジタルコンテンツですとか、あとは美術館の展覧会の図録ですとか、そういったものも含めて、ふるさと納税の返礼品として提供するようなことを考えています。
知事
美術館本体というよりは、その附属ギャラリーというかギャラリー アンド ラボにしたらいいんじゃないかなという話をしてますが、ここは美術館とは若干、もちろん関連はしておりますけども、本体とは切り離されたところで、例えばデジタルアート、本県の作家、クリエイターが作ったデジタルアートなどを、今メタバースギャラリーもありますけども、そういったところで展示をし、それを私どもとしてはNFTを付けて、寄付をしてくださる方に返礼品としてお届けをしたい。
そこで頂いた収益、寄付額の当然3割はそのクリエイターに購入資金としてお支払いする。そういう意味では本県のクリエイターの振興、応援に役立つというのが一点。
残り7割を私どもとしてはまだこれからしっかり議論していかないといけませんが、その半分を美術館の運営経費に充当し、さらなる機能の強化を図っていきたい。そして残りの半分は、新たな芸術家、クリエイターさんの応援資金にできないだろうかと。こういう形で芸術家を育てて、育てた方に作品をご提供していただき、それをまた返礼品として愛好家の方々のふるさと納税に活用させていただき、その収益をまた今申し上げたような形で、ぐるぐる循環をさせていく。今、このようなイメージを考えてます。これはデジタルに限らないわけですけども。
今まで結局美術館は決まった価値のものしか展示をしなかったわけですし、関わってこなかったんじゃないかなと私は問題意識を持っています。
ただ、それをやっていては、本当に新しい若い人とか、若くなくてもいいですけど、新しくアートの分野に参画しようという人を育てる機能が十分ではなかったわけで、そういうところにしっかり美術館自体が関わることで裾野を広くして、より多くの新しい芸術的価値が美術館を通じて育ち、また花開いていくような。そういう意味で何でもかんでも載っけるわけではないのですが、それは美術館が蓄積した知見をもとにしっかりスクリーニングをしていただいて、本当に世の中に対して提供する価値のあるものを選んでそれを今言ったシステムに載せて回していくようなことができればと、こういう実験をやってみたいということであります。
知事
障害のある方への自動車税の減免制度の見直しにつきまして御報告申し上げます。
今回の制度改正ですが、公約に掲げました「ふるさと強靱化」の一環といたしまして、障害のある方に対する「生活基盤の保障」を一層手厚くしていこうという取り組みであります。
自動車は、障害のある方にとりまして重要な生活手段の一つとなっていることから、県におきましては、自動車税の障害者減免制度を設け、税制上の配慮を行っているところです。
本年3月に、やまなしパートナーズ・レターにおきまして、精神障害者保健福祉手帳1級の取得者が、自動車を運転する場合に、自動車税の減免を受けられないことへの疑問の声が県に寄せられたところでございます。
また近年、精神疾患を有する外来患者及び在宅の知的障害者が増加傾向にある中、介護者である家族などの高齢化が進み、その運転に頼ることが困難となり、障害者御自身による運転が必要とされる場面も今後想定されるところであります。
このような背景のもと、障害者団体にも御相談する中で、多様性を認め合う共生社会の実現に向け、障害者の方々の社会参画が一層進むよう、障害特性に応じたきめ細かい支援が必要であると考え、制度の見直しに着手したところであります。
来たる6月議会におきまして、精神障害者保健福祉手帳1級所持者並びに療育手帳障害程度A所持者の本人運転につきまして、自動車税の減免対象とする県税条例の改正案を提出する方向で今、作業を進めております。
知事
子どもの権利相談室・やまなしスマイルを開設することといたしました。
今回御報告するこの施策ですが、こちらも先ほど同様、公約に掲げました「ふるさと強靱化」を一層進めていくため、全国に先駆けて充実を図ってきた子育て支援策をさらに前に進めるべく取り組みをするものでございます。
県におきましては、(令和4年)3月に制定されました「やまなし子ども条例」に基づきまして、本日「山梨県子ども支援委員会」を設置いたしました。
この条例ですが、議会の御尽力のもとで制定されたものであり、「ふるさと強靱化」に向けてともに歩んでくださる議員各位に、この場をお借りいたしまして感謝を申し上げる次第です。
この山梨県子ども支援委員会ですが、子どもに対する虐待などの権利侵害について調査審議し、子どもの権利を保障することを目的とした機関であり、県が進めている子どもの権利・利益を守る取り組みを更に強化するものと位置付けております。
併せまして、本日午後1時から「子どもの権利相談室・やまなしスマイル」をスタートさせます。
この相談室におきましては、学校内や家庭内でのトラブル、勉強や将来に対する不安、日常の困りごとなど、あらゆる相談に応じることとしております。
また、子どもだけではなく、保護者の皆様や教職員、施設職員の皆様など子どもに関わる大人の皆様からの相談も受け付けることとしております。
県では、この相談室を子どもの権利擁護に関する相談窓口として、不当な差別やいじめ、体罰など、すべての子どもに対する権利侵害の救済に向けた支援を行って参りたいと考えております。
記者
子どもの権利相談室・やまなしスマイルの件ですけれども、去年の4月、総合教育センターに相談支援センターを立ち上げたと思うのですけれども、そちらとの棲み分けというか違いはどのようなところでしょうか。
課長
県内には、教育委員会の相談支援センターとか、子育て相談総合窓口かるがも、県警でもヤングテレホンなど様々な相談支援機関がございます。
このうち子どもの権利相談室では、権利侵害のほか、悩みごと困りごとに関する相談を行うものであります。最大の特徴は、子どもの意見や意向を最優先し、子どもの最善の利益を考慮した問題解決を図るというものになります。
他の相談支援機関との棲み分けを厳格に実施する予定はなく、まず、あらゆる事案に対してワンストップで受け付ける予定でございます。
知事
いろいろないじめの案件を見ていても、教育の体系内ではどうしても十分な子どもの権利救済が図られないようなケースというのも、これは本県のみならず他県においても全国的に見られるところです。
したがって、ここ(子どもの権利相談室・やまなしスマイル)の意味は、教育関係の体系から外れたところで、その外側において子どもの権利救済に対して介入できるというところに意義があるものと位置付けております。
こういう様々複数の路線があることで、権利侵害に直面した子どもが学校の
ルートで行く場合もあれば、そっちがどうしても動きませんという場合は、こっちのルートもありますと。複数のルートが用意されていることが、やはり権利救済の万全を図るという観点からは重要であり、そういう観点を踏まえて、今後の運用も議論を進めていきたいと思っています。
知事
前浜松市長の鈴木康友さんの県顧問就任について御報告をいたします。
本日、鈴木さんを本県の顧問としてお願いすることといたしました。鈴木前市長さんにおかれましては、浜松市長時代、山梨県との間で地域の幸福度を高める新たな価値の創出を目的に、産業施策を中心に幸福循環地域連携に関する共同宣言を発表したところであります。
鈴木前市長さんの卓越したリーダーシップや企画力のもと、積極的な企業誘致、或いはスタートアップに対する支援事業の立ち上げなどに取り組み、数々の大きな成果を収めています。
そこで今般、市長を御退任されたことを機会に、私ども山梨県の発展のために、これまでの経験、或いは知見をお借りできないか御相談をしたところ、御快諾をいただきました。
具体的に、今年度の重要項目として取り組みますスタートアップ関連の施策や、本県の主要産業の一つでもあります、ものづくり関連産業の振興施策などにアドバイスをいただきたいと考えております。
記者
田坂先生も含めて、今、県に顧問という方は、何人いらっしゃるのか、それぞれの役割、どういうふうに分担されているのかというのをちょっと教えていただきたいです。
参事
現在、今回の鈴木さんを含めて7名おります。
それぞれが特定の分野を限って、御指導、御助言をいただくということになっております。
今、名前が出ました田坂さんでありますと、県内の高付加価値化などのアドバイスを求めたりしております。
あと、感染症対策ですとか、ブランドプロモーション等顧問がおり、アドバイスをいただいております。
記者
全国知事会議の山梨県での開催が24日から26日までということで、セッションでは少子化対策などが検討されているようですけれども、どういった会議をされていきたいか、お考えがあればお願いします。
知事
特に人口減少問題は引き続きポストコロナにおける最重要課題で、いよいよ本格的に、遅すぎるぐらいのタイミングなのだろうと思いますが、改めてこの全国知事会で問題意識が共有されるだろうと思います。
人口減少を踏まえ、それをどう対処していくのか、また、当面続く人口減少自体ではなくて、その人口減少に伴う社会的な問題に対してどう向き合っていくのか、こういう問題が議論の一つの柱になろうかと思います。
そして、もう一つ大きな柱は山梨県で行う全国知事会で、しかも北杜市ということで、環境問題がもう一つの大きな柱になるのではないか、今こんなことも平井会長ともお話をさせていただいております。
私どもとしては、来たるべきカーボンニュートラルに向けて、再生可能エネルギーをどうやって普及させていくのだろう、その際にめったやたらにやると本県が前に直面したような問題も起こるわけですし、それに対しては我々は条例を制定した取り組みを進めているわけですが、この再生可能エネルギーの普及自体の持続可能性の確保、こんなことも一つのテーマになりうるのかと思います。水なんかも入るかもしれませんが、環境というのも大きな柱にしていきたい、こういうことを議論をする場にしていきたいと思います。
記者
昨日知事は東京でのリニア期成同盟会に出席されまして、山梨と静岡の水問題の件については、同盟会で議論・意見を交わしていくという場を提案されました。この提案について各県からも、賛同を得る声が聞かれたと思うのですけども、この場での議論に期待することであったり、リニア早期開通を求めている声が多い中で、今回のタイミングをどういうふうにとらえていらっしゃるか、考えを伺わせてください。
知事
まず、昨日のリニア建設促進期成同盟会、この場におきまして、私どもの方からリニア全通後の国内の高速交通体系の研究会の御報告と併せ、今お話をいただきました、ボーリング調査問題もその一部ですが、水問題に関して静岡県が直面してる問題を、沿線自治体全体でしっかりと議論しようという提案をいたしました。
これまで大井川に関する水問題については、JR東海と静岡県、そこに国が入る中で、議論を積み重ねてきたわけですが、山梨県も含めてその周辺の自治体が、必ずしもこの議論全体の詳細を承知しているわけではありません。
その中で、多くの県民の皆さん、或いは沿線地域住民の皆さんに対する説明責任というものは私どもにもありますので、そういう意味で、まず静岡県の問題意識はどういうところにあるのか、それをしっかりと御説明をいただいた上で、どこからどこまでが期成同盟会としてしっかりと向き合っていくべき問題なのか、どこから先は論拠がないんじゃないか、我々として釘を刺すべき問題なのか、ここをしっかり切り分けていこうということだと思います。
いずれにしても環境問題は極めて重要な話で、このリニアという最新鋭の技術が、環境と両立しないといけないわけですし、トンネルを掘るだけではなくて、今後の運用においてもその問題は大切になってくるわけです。
それに対してどれぐらいの影響がどういう形で及んでくるのか、それはやはり科学的な議論の積み重ねこそが大切だろうと思いますし、山梨県のみならず長野県も沿線の皆さんもそうだと思いますが、私たちはもう一回、当事者だけではなく、客観的な土俵に上げて、そこでみんなで共有できる論点・議論にこの問題をしていく、そのための取り組みにしていきたいと私は考えております。
いよいよ先行ボーリング調査が県境にまで近づいているわけですが、先行ボーリング調査の水問題というお話で、ここは我々としてもしっかり進めてもらわないといけないと思っていますけれども、このタイミングでしっかりこの議論をしていくことで、トンネル問題全体を私どもとしては客観的な土俵に上げ、そして共有する。沿線地域全体もなるほどそうだと、しっかり向き合うべき問題だというものにしていきたい、そのためのタイミングが近づいてるんだろうと考えています。
記者
リニア問題で、今回、川勝知事と長崎知事の意見が対立するような形に、ボーリング調査やめるべき、進めるべきということで、突然対立に局面としてはなってしまったのですけども、知事としては開の国の戦略を進めている中では、静岡というのはすごく重要なパートナーだと思います。
今回の問題でしこりみたいのが起きるかどうか、どういうふうに考えていらっしゃいますか。
知事
全くしこりはないと思います。
極めて冷静な議論を山梨県も静岡県もしているわけでありまして、別に感情的な議論、感情的なぶつけ合いでは全くないです。
証拠というか現れとして、昨日の自民党のリニア特別委員会の後に川勝知事も私も記者会見に臨みましたが、その場でまず行政権の問題については、川勝知事も自分が山梨県の立場だったら同じように行動するというお話をして、その点問題があったことについては、それはもうずっと前に申し訳なかったというお話もいただいてますので、私たちもそれを元に了としておりますし、川勝知事はそういう御理解をしてくださっているというのが1点です。
それから、情報共有をしていこうという話は静岡の川勝知事が大変高く評価をしてくださっていて、ある意味この重要な問題について、静岡県が1人立っていたわけでありますが、それをみんなで仲間としてシェアしようということでもありますので、それは決して静岡とぶつかるような問題ではないです。
さらにもう一つは、昨日の高速交通体系の中で私どもから初めて公の場で、静岡空港新駅というのができたらすごい話になると、新幹線直結の空港、或いは空港直結の新幹線駅、これは世の中にないわけでありまして、こういうものができたときのインパクトはものすごいものになるでしょうねという提案を期成同盟会、或いは自民党委員会の場でも差し上げて、それに対して川勝知事も大変高い評価をしてくださっています。
こういうことで私ども山梨県と静岡県が言うべきことはしっかり言いますし、正していただくべきことは正していただきますが、基本的にはリニア建設を促進しようという大きなところで一致をしておりますし、静岡山梨を含めた地域の発展を図るべきいうところでも全く価値感は一緒なわけでありますので、今回のこの議論というのはある意味でそのプロセスの生理現象の一つだと思っています。