ページID:110244更新日:2023年8月7日
ここから本文です。
防災新館401,402会議室 17時30分から 発表事項 |
知事
本日、令和5年8月4日に東京高等裁判所において下されました控訴審判決につきましては、司法の判断としてこれを尊重し、最終的に受入れることといたしました。
これは富士急行株式会社とは富士山の世界遺産10周年を契機として未来志向で互いに協力すべき点は一致をしており、既に、県有地問題だけにとどまらない大局的視野に立った富士北麓地域の発展に向けた話し合いを重ねていることも踏まえた判断であります。
今回控訴は棄却されましたが、その内容は第一審に比べ県の主張を大幅に取り入れるものでありました。
まず何よりも判決におきまして、「土地の造成による本件各不動産の価値の増加については、最終的にはこの価値の増加分は本件各不動産の所有者である控訴人」、これは県のことですが、「控訴人に帰属すべきもの」と判示されております。
このことは山林素地を基礎とする賃料算定方法を今後においても永続的に採らざるを得ないことを明確に否定するものであったと解釈できます。
これによりまして、今後の適正な賃料改定への基盤が形成されたと考えております。
しかしながら、その上で、判決は、一つに過去の反復継続された当事者間の合意が極めて重要とされ、そしてまた、県が主体的に賃料額の相当性を検討した上で、富士急行との合意に至っていることから、「本来は平成9年契約及び平成29年契約における適正賃料額の算定の際に、直近合意時点及び価格時点における新規賃料と現行賃料との間にかい離があり、本来こうした事情についても総合的に勘案して適正賃料額を算定すべきであるといい得る」とされているにもかかわらず、地方自治法上の違法性を認めさせるには至らなかったわけであります。
このことはすなわち、賃料の適正性についてより多角的に精査することなく合意に至った当時の判断・責任が極めて重いことを物語っており、この点につきましては批判や誹りを免れないものであろうかと思います。
今回の裁判の意義ですが、まず山中湖畔県有地の賃料につきましては、従前より報道や議会の一部から適正さに疑義が呈され、更には、住民監査請求、住民訴訟を通じまして、住民からも同様の指摘がなされたものであります。
県民から選挙によって選ばれた知事としましては、こうした指摘を闇に葬るのではなく、是正する可能性がある以上は、県民の利益の最大化のために、貸付けのあり方等につきまして、適正化を図るべく考えられる最大限の努力を尽くすべきことは当然の責務であると考えています。
その上で、訴訟の意義につきましては以下のとおりであると考えております。
一つ目は、まず、県有地問題という「争点の存在」が明らかになったことであります。
すなわち、この一連のプロセス、そして、この裁判がなければ、これまでどおり県有地の賃料額は一種のタブーである状態が将来にわたり続いたということであろうかと思います。
これまで公に議論されたことのない、問題が白日のもとに晒され、大いに議論されたことは大変意義があることと考えています。
二つ目といたしましては、県有地の問題を通じまして、県有地の賃料額は「適正な」金額でなければならない、このことは今や県民のコンセンサスになったと言っても差し支えなかろうと考えております。
そして三つ目ですが、今回の控訴審判決によりまして、「土地の造成による本件各不動産自体の価値の増加については、最終的にはこの価値の増加分は本件各不動産の所有者である控訴人に帰属すべきもの」と判示されたことによりまして、今後の適正な賃料改定への基盤が形成できたことであります。
最後に山梨県としての最大の教訓といたしましては、県有地の賃料額を安易に利用者サイドと合意をした結果、かくも多大な損失を県に与えてしまったということは組織として大いに反省すべきだろうということであります。
今後の対応でございますが、県といたしましては、富士急行が現在負担している賃料の額は、山中湖畔県有地の経済的価値に比して依然として低廉であると、この認識には変わりはございません。
従いまして、今後その是正を図る必要があるとも考えております。
併せまして、将来において二度とこのような重大な事態を生じさせないため、透明性があり、県民の利益を最大化させる新たな貸付けのルールを作っていく必要性を改めて強く認識した次第であります。
記者
2点質問ですけれども、1点はこれで訴訟は一区切りになるのかと思います。これまで多額の弁護士費用とか訴訟費用もかかっていると思いますけれども、その辺を踏まえて、改めてこの訴訟の意義を教えていただきたいのと、もう1点は今後について、富士急行側が、素地価格を基礎とした継続賃料というものを前提だとおっしゃっていますけれども、その辺の受け止めと今後の進め方を教えてください。
知事
まず、今回の判決におきまして、何よりも土地の造成による本件各不動産自体の価値の増加については、最終的にはこの価値の増加分は、本件各不動産の所有者である控訴人に帰属すべきものであると、こういう重要な判示がなされています。
これはまさに、私どもの一番の主張の根幹部分でありまして、そこが裁判所に認められたと、これは大変大きな意義があろうかと思います。これによりまして、今後、将来における賃料の算定について、時価に基づく適正な賃料算定に大きな道が開かれたということでは、これまでの裁判含めまして、極めて大きな意義があったと考えています。これが1点です。
2点目のご質問に対するお答えといたしましては、この点についてはご指摘のとおり、富士急行さんと我々はまだ認識の違いがありますが、今後は現契約というものの存在を前提に、契約の3年ごとに賃料の改定交渉がありますので、ここで私どもはやはり時価、これが極めて自然な考え方ですので、つまり、開発による土地の価値の増加分は、最終的には地主である県に帰属する、こういう判断が示されたことを踏まえまして、私どもはその土地の増加分、すなわち、これは山林原野の土地の増加分もイコール現況価格、現在の価格ですから、その価格に基づいて、継続賃料はいろんな算定方法ありますが、この一般的なルールに基づいて賃料の引き上げをしていただくべく、賃借人である富士急行さんとしっかり交渉していきたいと思います。
記者
今の知事のお話の中で、ある意味当たり前かなという感じを受け止めておるんですけども、これまでの価格交渉でこういう前提で交渉はされていなかったという、そういうご認識なんでしょうか。
知事
全くそのとおりです。これは判決文の中にもそういう前提になっていなかったということが示されていて、この当たり前の状態というものを今後の賃料交渉において、富士急行さんとしっかりやって、ご理解を得ていきたいと思います。
記者
そういう意味では、今回訴訟を起こす前に、こういう前提で交渉するという、そういう選択肢もあったのではないかなという気はするんですけれども、その辺はいかがでしょう。
知事
その点につきましては、これまでの経緯の中で、私たちは、住民訴訟に関する和解案というのを出したんです。2回出していますけれども、2回目はまさに先々に向かって話し合いをさせてくださいと、こういう和解案を議会にお諮りをしたんですが、時の議会がそうじゃない、裁判をやれということで訴訟手続きに入っていったと。
また、これは住民訴訟ですけれども、その住民訴訟をやっているうちに、また、富士急行さんから賃借権の存在の確認訴訟があり、それを受けることになりました。そして、反訴いたしましたけども、これは同じ論点のものを2回に分けてやるよりは1回でやった方がお互いよかろうということで、反訴をする中で、双方の主張を一体的な裁判の中で議論しましょうということで、これまで議論してきた、こういう経緯がございます。
なので、もともとは私たちの話し合いで、こういうことを議論したかったわけですが、これは議会のご意思とも言えるものであって、我々としては致し方なかったと言わざるを得ないかなと思っています。
記者
この控訴審にかかる費用として12月議会に2600万円2871万円の補正で出されて可決されてますし、これまでの裁判費用そのものを県が負担することについての受け止めを教えてください。
知事
そこは裁判には法律で決められた費用がかかりますし、また、判決の結果、その裁判費用は県の負担にすると、こういう判示ですので、それに従うのは法律に基づくもので当然だと思っています。
やはり今回の判決におきまして繰り返しになりますが、土地の造成による本件各不動産自体の価値の増加については、最終的にはこの価値の増加分は、本件各不動産の所有者である控訴人に帰属すべきものと、こういう大きな、ある意味、今後の適正な賃料改定の基盤を得たわけですので、私たちにとって、十分以上の価値があったと考えています。
記者
富士急さん側は県のホームページに記載されている内容について、修正を求めるよう主張するということもおっしゃっているんですが、この点、県のホームページに掲載されているものについてはどういうふうに対応を考えられていますでしょうか。
知事
今回の判決を踏まえまして、アップトゥデートするべきものはアップトゥデートしていきたいと思います。
記者
富士急行さんとの関係なのですが、今回、未来志向で取り組むということですが、これを象徴するような形で、知事と、富士急の社長とかで一緒に協力して取り組んでいくというようなことをアピールする場は用意されているんでしょうか。
知事
はい。用意しています。
局長
それに関しましては、富士五湖自然首都圏構想においてご協力いただけると認識しておりますので、今後そのような場を設定するように調整していきたいと思っております。
記者
これまでを言えば裁判で戦ってきた敵同士が、一つの方向で、前を一緒に向くということなので、できれば、県と富士急が一緒に並んで、協力しているような場所があって、未来志向でお互いに確認できる方がいいと思うんですが、それについてはどうでしょうか。
知事
全くおっしゃるとおりだと認識しております。全く同意見、同じ考えであります。従いまして、それを象徴するような場を、象徴するような場所で、しっかりとやりたいと思います。詳細は、山梨県の意思決定は早いんですが、向こうさんが最終調整をされているようですので、その調整が済み次第、公表したいと思います。