ページID:109156更新日:2023年5月29日
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防災新館401,402会議室 11時30分から 発表事項 発表事項以外の質問事項 |
知事
令和3年度から実施して参りました山梨県地震被害想定調査について、この度、結果が取りまとまりましたので、公表いたします。
今回の調査におきましては、本県への影響が大きいとされます南海トラフの巨大地震や、首都直下地震のほか、政府の地震調査研究推進本部が新たに主要活断層に選定した身延断層などを加えた9つの地震を対象に被害想定を行ったところです。
調査に当たりましては、最新の知見や、近年の災害から得られた教訓を踏まえ、想定できる最大の被害を見積もったものであります。
また、地震によります被害をできる限り減らす対策の検討に活用できるよう、被害の因果関係や、低減の効果を明らかにし、誰が何をしたら被害を軽減できるのかも示したものです。
県民の皆様におかれましては、家屋の耐震化や家具の固定、水・食料の備蓄など、事前の対策を講じていただくとともに、地域で実施されます訓練への積極的な参加を是非ともよろしくお願い申し上げます。
県におきましても、この調査結果を地域防災計画など各種の計画に反映させて参ります。併せまして、市町村や関係機関と連携しながら、より一層の地震対策の強化を図り、被害を最小限に抑えられるよう、しっかりと取り組みを進めて参りたいと思います。
記者
この地震の調査結果についてですが、最大の被害を見積もったものということでしたけれども、知事のこの調査結果に対する受け止めを教えてください。
知事
平成8年に実施した前回の調査から約25年経過しましたが、今回の調査では、あらゆる最悪のケースをしっかり見定めた上で、それに対して実際に何をどうすればいいのかを公表したという点で、大きな進展があったと思います。
やはり災害対策は、地震や火山などあらゆる災害に対し楽観的にとか、怖いものに目をつぶらずに、しっかりと現実を見るところから出発することが、逆に、私は多くの皆さんにとって安心の根拠になると思っております。
そういう意味では、今回の調査結果は、ちょっと背筋が凍るような大きな被害の数字にはなりますが、ただ他方で、例えば南海トラフの巨大地震の被害予測において、死者が大体3000人を超え、そのうち2800人を超える方が建物倒壊によって亡くなると考えられていますが、耐震化さえすれば、この2800人をゼロに(近づけることが)できることも言われています。
是非、県民の皆様には、このリアルな姿を御覧いただき、しっかりと理解をいただきたい。その上で、県においては、リアルな防災対策を進めていきたいと思います。今回の調査結果は、そういう契機になったと思います。
知事
本県におきましては、平成24年から、「思いやりパーキング制度」の導入をしておりますが、現在、県内の約500施設で利用をしていただいております。
この制度ですが、障害のある方や、高齢者、妊産婦など、車の乗り降りや移動に配慮が必要な方の外出を支援をしていくため、対象の方に利用証を交付し、公共施設、或いは商業施設などに設置された「思いやり駐車場」を御利用いただくものです。
この度、双子や三つ子といった多胎児を育てる御家庭の利用期限を、産後1年6箇月から3年へと延長し、6月1日から運用を開始することといたしました。
これは双子や三つ子をお持ちの御家庭では、大型のベビーカーの使用など、お子さんが3歳ぐらいになるまでは、車の乗り降りに、より多くの配慮が必要となってくることから、利用期限を3年としたところであります。
今回の利用期間の延長によりまして、是非こうした御家庭の皆様が、より安全に、そして、安心して外出できるようになることを期待しているところでございます。
記者
富士山の登山者の関係でお伺いさせていただきます。世界遺産登録から10年になったということ、コロナも少し落ち着いてきたということで、今、夏山シーズンの富士山の山小屋の予約がほぼいっぱいになっていると。弾丸登山の増加も懸念される中で、富士吉田市の堀内市長から「登山者数の制限も時限的に検討すべきだ」という発言があったのですが、これに対し、登山道を管理する県としてはどのように受け止めて対策をしていこうという考えがあるのかお伺いしたいです。
知事
私どもとしましては、富士スバルラインの営業時間の短縮という形で、できる限りのことをやっていると、このように認識をしています。
本当に厄介なことに、登山道は道路法の管轄下にありまして、この道路法におきましては、「登山者数の抑制を目的とした規制をかけることができない」と。そういう状況の中で、我々に何ができるかといったら、富士スバルラインの営業時間の短縮でもって、この問題に対してお答えをしていきたいというのが現時点の考え方です。
また今後、登山者数の適正化について、山小屋関係の皆様から御要望もいただいておりますので、地元の富士吉田市さんと、山小屋などの関係者の皆さんと、私ども県、さらには国も含めて、しっかり意思疎通をしながら、どういうふうにするのが一番よろしいのか、また登山者の皆さんにとっても、安全が確保され、より豊かな時間を過ごしていただきながら、なおかつ山小屋や関係者の皆さんにとっても、しっかりビジネスとして成り立ち得る、そして、富士山全体の環境や、安全が確保されるこの道筋を探すべく、しっかりと意見交換をして、知恵を出し合い、解決策を作り上げていきたいと、こう考えています。
記者
先般、(関東地方)知事会で、川勝さんとも会われてお話をされたと思うのですが、これまでも静岡県側の対応というのは、ちょっと山梨に対して失礼なところが多くて、その度に知事が大人の対応という形で事を大きくしなかった状況だと思うのです。
今回の問題についても、最終的にはまだ工事のボーリング調査の中止を求めるということを川勝さんがおっしゃっている状況の中で、事前連絡をしなかったことに対する非礼は詫びましたけれども、ボーリング調査の中止をまだ継続しているということでいくと、あまり本質的な問題は変わっていないような気がするのですが、これについてはどういうふうに考えていらっしゃいますか。
知事
まず、静岡県がJR東海に対して話をされてるのは、あくまでもお願いベースの話で、何がしか行政権の発動が背景にあるものではないという御回答をいただいておりますので、それはそれで当事者間でいろんな意見交換をしていただくのがよろしかろうと(思います)。
川勝知事には、山梨県の頭越しで何がしか行政権の発動のような誤解を受けるやり方について、そこは陳謝をしていただきましたので、私どもはそれで良しとしようと、そういう受け止めをしております。
他方で、このボーリング調査ですが、私たちとしてはこれは是非、進めていただかなければ困るものだと認識をしております。
と申しますのは、まず一つは大前提として、山梨県内における正当な企業活動については、その正当な企業活動の環境を整備し、そしてこれを保護していくこと、これは山梨県にとりまして重要な責務であると私たちは考えています。
この点、JR東海のリニアに関する工事につきましても、これは同様でありまして、正当な範囲内において、その企業活動を山梨県として保護していかなければならないのは当然のことであると考えています。
そういう基本的な考え方を土台として、今回のボーリング調査についてどう考えるかということなのですが、今ご案内のとおり、山梨県内では本坑の掘削が始まっております。これを先に進めるに当たりましては、何よりもまず工事の安全確保が大切になって参ります。
作業員のまさに命に関わる問題でありますので、我々としてはこのトンネル掘削が安全に進められるかどうか、これを進めていくための情報収集活動として、この事前の調査である先進坑のボーリング調査は不可欠であると考えています。
当然トンネル工事を進めれば、これも半ば常識的な話だろうと思いますけれども、一定量の水が出るというのはトンネルを掘る以上は当たり前の話でありますので、ただ、これがどれぐらいの量の水が出るのか、この量次第ではまさに作業員の命に関わってくると思いますので、ここは精緻な、しっかりとした事前の科学的な調査が重要だろうと思います。
まさに、このボーリング調査はそのために行っていただかなければならないものだと私たちは理解をしております。
JR東海に対しましては、山梨県としては作業員の安全を確保する意味で、まずしっかりと先進坑のボーリング調査をやって、今後工事が安全に進められるかどうかを見極めていただきたいと、このことはお願いをしていきたいと思います。
従って、我々はどれぐらいの量の水が出るかが重要で、これがどこの水かというのは、議論自体が何かふわふわした議論で、現状においてもよく理解できない話ですが、それはいずれにせよ二義的な関心事項であるというふうに位置付けています。
これが今の我々の立場ですが、他方で、静岡県が水資源に関する重大な関心を持っていること、或いはこれに関する川勝知事の立場、これも私どもはしっかりと理解をしておりますし、また、重要な問題であると、重要な視点として受け止めなければならないと考えています。
この点、静岡県の説明によりますと、先ほどもお話をしましたが、静岡県とJRとの対話は、静岡県の水資源、自然環境に悪影響を及ぼすなどの水の流出があった場合の水の戻し方について対話するものだと、このように理解をしております。
翻って現時点のこの先進ボーリング調査の実績によりますと、流出する水の量はそもそも微量でありますし、かつ、直径12センチの穴を掘ることによって流出する量は想定されるよりもかなり少ないので、これが静岡県の生態系に直ちに深刻な影響を与えるものとは私どもは判断をしておりません。
ただし、静岡県が御懸念のように、ボーリング調査による地下水の流出が静岡県の水資源、自然環境に対して一定の範囲を超えて影響を及ぼしうると判断される場合には、是非とも私どもに対しまして、その旨しっかりと御説明をいただき、我々はそれを踏まえて真剣に検討して参りたいというのが我々の考え方でございます。
その結果、この先進坑といえどもこの掘削によって、大井川の水系に重大な影響が及ぶような場合には、これはもはや正当な企業活動とは言いがたいと判断すべきだと思いますので、その場合には、工事の様々な手法について工夫改善するよう、山梨県としてはJR東海に対してしっかりと求めていきたいと思います。
私どもの考え方は以上のとおりでありますが、この静岡県の御懸念というものはリニア沿線地域全体で共有すべき問題であると私は考えております。
各地、様々悩みというのはこれからいろいろ出てくるわけですが、期成同盟会というのはまさにそれぞれのリニアに関しての悩み、或いは課題、問題点を共有し、いろんな知恵を出し合い、協力をし合いながら、もちろんJRや国も含めてみんなで知恵を出し合って力を合わせながら、その課題というものを解決する場であると私どもは理解をしております。
今度の期成同盟会の総会が今月末の31日にございますので、その場におきまして、この静岡県の問題意識を沿線都府県で共有をして、なおかつ、そこでそれぞれの県のお考えをぶつけ合ったり交わし合ったりする、こういう機会を作るべく私どもから期成同盟会の皆さんに提案をしていきたいと、このように考えております。