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更新日:2021年11月29日

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ジカウイルス感染症

ジカウイルス感染症とは

ジカウイルス感染症は、ジカウイルス病と先天性ジカウイルス感染症をいいます。

ジカウイルスを持った蚊がヒトを吸血することによって感染します。基本的に、感染したヒトからほかのヒトに直接感染する病気ではありませんが、輸血や性行為によって感染する場合があります。また、妊娠した女性が感染すると胎児に感染する可能性があります。

アフリカ、中南米、アジア太平洋地域で発生があり、近年では、特に中南米等で流行しています。日本では、2013年以降、海外流行地域で感染し、帰国後発症した症例が報告されていますが、日本国内で感染した症例はありません。

特徴(症状、感染経路等)

症状

軽度の発熱(<38.5℃)、頭痛、関節痛、筋肉痛、斑丘疹、疲労感、倦怠感など

感染経路

ジカウイルスに感染した媒介蚊に刺されることによりヒトへ感染します。

その他、性行為や輸血によって感染する可能性が指摘されています。

発症までの期間(潜伏期間)

ジカウイルスに感染後、症状が現れるまでの期間(潜伏期間)は、2日~12日(多くは2~7日)とされています。

感染者の8割は、感染しても症状が現れない(不顕性感染)とされています。

注意情報

妊娠中にジカウイルスに感染すると、生まれつき脳が小さい異常(小頭症)の児が生まれる可能性があります。

ジカ熱自体の症状は軽症のことが多いですが、手足の麻痺など体に力が入らない重い症状が現れる可能性があります。

WHO(世界保健機関)及び米国CDC(米国疾病予防管理センター)は、ジカ熱が小頭症の原因になることの科学的同意が得られたとしています。

県民の皆様へ

海外渡航を予定される方へ

県では、海外渡航を予定される方に知っていただきたいジカ熱対策などの感染症に関する情報を盛り込んだリーフレットを作成しました。

内容をご覧いただき、ジカ熱を予防する対策をとりましょう。

平成28年6月16日に厚生労働省によるジカウイルス感染症のQ&Aが更新され、性行為を控えることを推奨する期間が4週間から8週間に変更されました。これに伴い、リーフレットの記載も更新しております。

海外渡航者向けリーフレット(PDF:272KB)

妊娠中の方及び妊娠の可能性のある方

流行国地域には渡航しないことを強くお勧めします。

そのため、海外へ渡航される際には最新の流行国地域の情報を入手し、行き先を慎重に検討してください。

海外へ渡航されるすべての方

最新の流行国地域の情報をもとにリスクを十分に検討し、特に流行国地域においては蚊に刺されない対策を徹底してください。

流行国地域へ渡航される方へのお願い

ジカウイルス感染症は、全く症状が出ない不顕性感染が8割を占めるとされております。

流行国地域で媒介蚊に刺された場合、ご自身に症状が無い場合でもジカウイルス感染症である可能性があります。

不顕性感染の患者が感染源となりうるかどうか(刺咬した蚊がウイルスを伝播しうるかどうか)については明らかとなっていません。

したがいまして、ジカウイルス感染症流行地に渡航される方におかれましては、症状の有無にかかわら、次のことに気をつけてください

(1)防蚊対策の徹底

渡航中、蚊に刺されない対策を徹底してください。

日本国内の蚊の活動期(気候・標高にもよりますが、概ね5月~10月)においては、帰国後2週間、蚊に刺されない対策を徹底してください。

【蚊に刺されない対策】

  • 茂みの多い日陰及びその周辺に長期間滞在するときは、肌の露出の少ない服装を心がける。
  • 虫よけ剤(忌避剤)は、定期的に塗り直すなど、用法・用量を守り、正しく使用する。
(2)献血自粛の遵守

一般的に帰国後4週間は献血できないこととなっておりますので、献血自粛の遵守をお願いします。

(3)性行為における注意

渡航中及び流行地域から帰国後少なくとも6か月間(パートナーが妊娠中の場合妊娠期間中)は、性行為の際にはコンドームを使用するか性行為を控えてください。

相談窓口

妊婦の方々の感染防止や不安解消のため、電話相談窓口を保健所、市町村に設置しています。

お聞きになりたいことがありましたらお気軽にご相談ください。

県内相談窓口一覧(PDF:86KB)

海外の動向

流行地

WHOは次表のとおり、ジカウイルス感染症の地理的分布についてカテゴリー1から4に分類しました。

分類 定義
カテゴリー1 2015年以降初めて又は感染伝播の中断を経て再び、蚊媒介の感染事例が報告され、現在も感染伝播が起きている地域
カテゴリー2 2015年以前にウイルス循環が確認され、又は2015年以降に感染の新興若しくは再興の時期を経過し、その後も中断なく感染伝播が起きている地域
カテゴリー3 過去の感染伝播は途絶えているが、今後再燃する可能性のある地域
カテゴリー4 主な媒介蚊(ネッタイシマカ)が定着しているが、蚊媒介の感染は確認されたことのない地域

 
厚生労働省では、カテゴリー1とカテゴリー2の地域を流行地域として注意を呼びかけています。

なお、流行地に関する最新の情報は、次のホームページで随時更新されています。

最新の流行地情報(厚生労働省ホームページ)

WHOのジカウイルス感染症の国別分類(2017年4月3日現在)

カテゴリー1 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
アフリカ地域(AFRO)

アンゴラ カーボベルデ ギニアビサウ

アメリカ地域(AMRO/PAHO)

アンギラ アンティグア・バーブーダ アルゼンチン アルバ バハマ バルバドス ベリーズ ボリビア ボネール、シント・ユースタティウス、サバ ブラジル 英領バージン諸島 ケイマン諸島 コロンビア コスタリカ キューバ キュラソー島 ドミニカ国 ドミニカ共和国 エクアドル エルサルバドル 仏領ギアナ グレナダ グアドループ グアテマラ ガイアナ ホンジュラス ジャマイカ マルティニーク メキシコ モントセラト ニカラグア パナマ パラグアイ ペルー  プエルトリコ サン・バルテルミー島 セントクリストファー・ネーヴィス セントルシア セント・マーティン島 セントビンセント及びグレナディーン諸島 シント・マールテン スリナム トリニダード・トバゴ タークス・カイコス諸島 米国 米領バージン諸島 ベネズエラ

南東アジア地域(SEARO)

モルディブ

西太平洋地域(WPRO)

米領サモア フィジー マーシャル諸島 ミクロネシア連邦 パラオ パプアニューギニア サモア シンガポール  ソロモン諸島 トンガ

カテゴリー2 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
アフリカ地域(AFRO)

ブルキナファソ ブルンジ カメルーン 中央アフリカ コートジボワール ガボン ナイジェリア セネガル ウガンダ

アメリカ地域(AMRO/PAHO)

ハイチ

南東アジア地域(SEARO)

インドネシア タイ バングラデシュ

西太平洋地域(WPRO)

カンボジア ラオス マレーシア フィリピン ベトナム

カテゴリー3 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
アメリカ地域(AMRO/PAHO)

イースター島-チリ

西太平洋地域(WPRO)

クック諸島 仏領ポリネシア ニューカレドニア バヌアツ

カテゴリー4 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
アフリカ地域(AFRO)

ベナン ボツワナ チャド コモロ コンゴ共和国 コンゴ民主共和国 赤道ギニア エリトリア エチオピア ガンビア ガーナ ギニア ケニア リベリア マダガスカル マラウイ マリ モーリシャス マヨット モザンビーク ナミビア ニジェール レユニオン ルワンダ サントメ・プリンシペ セーシェル シエラレオネ 南アフリカ 南スーダン トーゴ タンザニア ザンビア ジンバブエ

アメリカ地域(AMRO/PAHO)

ウルグアイ

東地中海地域(EMRO)

ジブチ エジプト オマーン パキスタン サウジアラビア ソマリア スーダン イエメン

ヨーロッパ地域(EURO)

ジョージア 葡領マデイラ自治地域 ロシア連邦 トルコ

南東アジア地域(SEARO)

ブータン インド ミャンマー ネパール スリランカ 東ティモール

西太平洋地域(WPRO)

オーストラリア ブルネイダルサラーム 中国 クリスマス諸島 グアム キリバス ナウル ニウエ 北マリアナ諸島 トケラウ ツバル ウォリス・フツナ

世界保健機関(WHO)の対応

平成28年2月1日、世界保健機関(WHO)緊急委員会は、小頭症及び神経障害の集団発生に関する「国際的に懸念される公衆の保健上の緊急事態」(Public Health Emergency of International Concern(PHEIC))を宣言しました。(WHO声明(PDF:209KB)

【PHEICとは】

PHEICは、国際保健規則(IHR2005)に基づき、世界保健機関(WHO)緊急委員会において、対象とされる事象(本事例の場合は小頭症及び神経障害の集団発生)が次の4つの基準のうち2つ以上に当てはまると判断した場合に宣言されるもの。

  1. その事象の公衆保健上の影響は深刻か?
  2. その事象は通常と異なる又は予期しないものか?
  3. 国際的拡大の危険性が大きいか?
  4. 国際旅行又は取引が規制される危険性が大きいか?

PHEICとされる「小頭症及び神経障害の集団発生」がジカウイルスと関連している可能性があることから、国際的に次の対応をとっていくこととされました。

  • ジカウイルスの伝播がみられる地域及びそのリスクのある地域において、小頭症及びギラン・バレー症候群に関するサーベイランスの標準化及び強化
  • 小頭症及び神経障害の集団発生について、ジカウイルス及びその他の因子等との因果関係に関する研究

 

平成28年11月18日、WHOの緊急委員会は、ジカウイルスとそれに起因する事象については、公衆衛生上の重要な課題として引き続き解決に向けて尽力する必要があるものの、IHR2005に定義するPHEICの要件を満たさなくなったと判断しました。このことを受けて、WHO事務局長は同日、小頭症と神経障害の集団発生に関するPHEICの終了を宣言しました。

国内の対策・対応

日本では、海外の動向を踏まえ、平成28年2月15日、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律による四類感染症(政令事項)にジカウイルス感染症を位置づけました。

これにより、ジカウイルス感染症を診断した医師は、直ちに県(保健所)へ届け出ることとなり、県(保健所)としては、必要な対応を行うこととなります。

また、ジカウイルス感染症は、蚊媒介感染症とされることから、平常時及び発生時において、デング熱と同様の対策・対応を行うこととなります。この対策・対応については、デング熱(蚊媒介感染症)のページ(サイト内ページ)をご覧ください。

医療機関向け情報

ジカウイルス感染症を疑う症例の要件

ジカウイルス感染症を疑う症例の要件(H28.2.24.)(PDF:117KB)

診療ガイドライン、診療Q&A

蚊媒介感染症の診療ガイドライン(第5版)(PDF:2,211KB)

ジカウイルス感染症診療Q&A(H29.3.13.更新)(PDF:712KB)

診療・検査体制

ジカウイルス感染症の診療体制(妊婦を対象とするジカウイルス感染症の検査体制)(PDF:676KB)

法令上の取り扱い

感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律

全数把握対象(4類感染症)であり、診断した医師は直ちに最寄りの保健所に届け出なければならない。

届出基準はこちら

関連情報

上記の情報のほか、詳細な情報は、厚生労働省によるQ&A及び国立感染症研究所によるリスクアセスメントをご覧ください。

ジカウイルス感染症に関するQ&A2016.12.14.(PDF:345KB)

ジカウイルス感染症のリスクアセスメント2017.4.3.(PDF:530KB)

最新の流行国地域その他参考情報については、下記リンク(外部ページ)をご確認ください。

このページに関するお問い合わせ先

山梨県感染症対策センター感染症対策グループ 
住所:〒400-8501 甲府市丸の内1-6-1
電話番号:055(223)1321   ファクス番号:055(223)1649

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